定量化と体系化に最新加工等の進化を加え希望を反映
’90年代のカスタムブームから30年以上の時を経た現在。カスタムも多様化したなと実感することも多い。使い勝手を高めたり、ポジションを好みに合わせたり、ルックスを好みに仕立てる。エンジンの排気量を拡大したり各部加工、吸排気系の変更によって出力やレスポンスを変化させる。
太い、グリップの高いタイヤを履きたいから足まわりを変える、ブレーキを変える、それにあった車体の強さを求める。ディメンションも適正なものに変える。
ひとくくりで個性化と言えばそうで、ボルトオンも大幅な加工もカスタムには違いない。ただその中でも、旧車を元にしてより良い走りを求めようとするカスタム、特にコンプリートカスタムの世界は、かつてとは異なり、大幅な進化がある。その進化は、加工や使用素材/パーツ等に著しい。
純正補修やオーバーサイズピストンの使用で純正の調子に戻すようなレベルで済んでいた以前と違い、まずそれ以上の状態=パワーも過渡特性も、変な振動が出ないことや静粛性もだろう=を作り出すことを標準と考える。そこにスープアップ要素を加え、かつ高い耐久性も見込む。どの車両にも市販車に求められるようなレベルの質が必要で、それを定量化する。スペシャルパーツを作るにしてもきちんと当該部の数値を採ってきちんと機能を発揮し、ルックスも満たすようにというのも含んでいいだろう。また加工も、例えば17インチ最適のトレール量をもたらすフォークオフセットや、車体姿勢等の数値を体系化し定量化していく。
その上で、それぞれの車両のオーナーがほしいスタイルや機能を盛り込んでいくという具合だ。そこでこのRCM-623(RCMはサンクチュアリーのコンプリートで、Radical Construction Manufactureの略。623はその通算製作番号)・Z1-Rだ。
各部は前述したような内容を適用してZ1-Rの前後18インチ(元々はKZ1000の19/18を18/18化)を前後17インチに合わせ、そこにオーナーの「ノンカウルで丸目一灯のZ1-Rを」というリクエストを合わせ、さらにRCM-001(サンクチュアリー・中村さんの愛車だ)が’90年代、RCMの成立直前に使っていたパールホワイトで仕上げている。
エンジンもサンクチュアリーの内燃機加工部門、DiNx(ディンクス)で精密加工した1045cc仕様をきっちりサンクチュアリーで組み上げることで元気よく、ロングライフも見込んだ内容に仕上げている。不安なく走れることは言うまでもなく、そこに作り込みもパーツも、もちろんパッケージとしての高い満足感も加える。そんな、今のカスタムを表現した1台でもある。
Detailed Description詳細説明

Z1-Rからビキニカウルを外し丸目一灯化しメーターはZ1000Mk.Ⅱ用に変更。左右マスターはNISSNN製を使う。

ベースは13ℓ容量タンクを持つZ1-Rの1型。外装はオーナーの好みで、RCM-001が使ったパールホワイトをベースに使って仕上げている。

シートは着座部の幅を狭くして足着き性も高めたナイトロレーシングZ1-R専用RCMコンセプトシートで、現在では手作業で製作されるものだ。

ステップはナイトロレーシング。油圧駆動化されたクラッチのレリーズはナイトロレーシングのクラッチレリーズKIT Type2をブラック/ブラックの組み合わせで使う。

エンジンはオーバーホールに重点を置いたライフパッケージ仕様で気遣いなく乗れる仕立て。1mmオーバーサイズのDiNxφ71mm鍛造ピストンとDiNx精密ホーニングによって1015から1045cc化し、バルブ/バルブガイド/バルブシートカットの同軸芯度にこだわったシリンダーヘッド加工、クランクの組み立て精度等にも配慮してDiNxが加工し、サンクチュアリーメカニックがそれを精密に組んでいる。オイルクーラーはナイトロレーシングOILクーラーKIT 9インチ13段フラットタイプだ。

キャブレターはTMR36mm、点火もウオタニSP-2で安心度も高い。

O・Zレーシングのアルミ鍛造、GASS RS-Aホイールでサイズを前後2.15-18から3.50-17/5.50-17に変えた足まわり。フロントはノーブレストE×MパッケージでオーリンズRWUフォーク(φ36→43mm)をマウント、フロントブレーキはブレンボ・アキシャルCNC 4Pキャリパー+サンスター“RCMコンセプト”ディスクの組み合わせ。

リヤブレーキはブレンボP2-CR84 2Pリアキャリパー+サンスターφ250ディスク。排気系はナイトロレーシングのチタン手曲げEXマフラー・ヒートポリッシュに同じくナイトロレーシングのストレイトチタンサイレンサー V-Ⅰ ヒートポリッシュを組み合わせる。

リヤサスはスカルプチャーR.C.M専用ワイドスイングアームにオーリンズ・レジェンド・ツイン(KA132)を組み合わせる。フレームもサンクチュアリーの17インチ対応補強やリヤショックのワイドレイダウンなどの加工を行っている。ドライブチェーンはEK530RCM(BK;GP)をセットしている。