確実性の高いベース車にオーダーを柔軟に反映する
ACサンクチュアリーのコンプリートカスタム、RCM(Radical Construction Manufacture)による、シリアルナンバー559モデル。18インチ仕様で仕立てられ、エンジンはφ71mm鍛造ピストンによる1045cc、RCMで言うライフパッケージで構成される。いわばスタンダードライクなルックスをスムーズに楽しむという内容だが、その中に発展性もあるという。同店・中村さんに聞こう。
「RCMのエンジン仕様は排気量もより大きくしてパワー感を楽しむパワーパッケージ、この車両のように純正より少しだけ排気量を拡大して長く楽しめるように設定するライフパッケージがあるんですが、両者の違いはじつはそうしたパワーやライフと異なるところにあります。
簡単に言えば使用パーツ。パワーパッケージでは排気量を大きくして圧縮比も高まります。ですからそれに合わせて新気の吸入/排気の排出量を大きくするビッグバルブやハイカムを使う、合わせてインナーシム化する。パーツのスペックが違ってくるからそれに合わせた加工も加わる。
ライフパッケージはピストンを換えたりはしますがカムやバルブの数値は純正オーバーサイズプラスで、パワーパッケージほどの加工ではない。そこが違いです。でも、両者ともバルブガイド打ち替えやボーリングに精密ホーニングなど、精密内燃機加工とオーバーホールに精密組み立てという作業は同じ。あとは使い方などで変わると思っていただければいいでしょう」
なるほど、加工は同じ。この車両でも同店で勧めるトロコイド式オイルポンプも組まれているが、これも純正よりスペックアップしたエンジンになって放熱量が増す、あるいは純正より大きいオイルクーラーを使うなら、それが後からだとしても組んでいたいパーツだという。オイル循環量が増して放熱に有利になるからだ。ならば後々のスープアップにも適している。
その上でこの車両は18インチで純正ライクな仕様でと製作。そのために全長が800mmと18インチ化に適しているφ43mmのゼファー1100用フォークを再生/セットアップして使った。使用パーツのカラーや雰囲気を固定せず、このように作りたい仕様に柔軟に対応する。その適合力や発展性も、RCMの魅力ということだろう。
Detailed Description詳細説明

スカルプチャーφ43ステムKIT Type1でオフセットを60から40mmとし、純正ライクなルックスという選択でφ43mmのゼファー1100フォークをクランプする。

POSHスーパーバイクバーにセットされる左右マスターはブレンボRCSだ。リザーバーとつなぐホースのカバー処理にも注目したい。

角型デザインの純正外装に載せられるZ1000Mk.II純正濃紺のカラーは、奥進がペイントしたものだ。

シートはデイトナRCMコンセプトCOZYシートと、各部にはRCMらしいパーツ群が使われる。

エンジンはφ71mmのピスタルレーシング製鍛造ピストンで1015から1045cc仕様に。クランクは芯出ししクランクケースはポンピングロス低減加工され、潤滑系ではオイルポンプにサンクチュアリーメカニックブランド・Z前期系トロコイドオイルポンプKITを組んでいる。バルブはガイドをオーバーサイズ品に入れ替えてPAMS HFバルブを組むなど加工はきっちりフルに行われる。オイルクーラーはナイトロレーシング9インチ13段ストレートを組み、トロコイドオイルポンプできちんと送られ循環されるオイルで放熱特性も良化させている。

吸排気はファンネル仕様のミクニTMRφ38mmキャブレター。EXにはナイトロレーシング・手曲げスチールメガホンEXマフラーと組み合わせた。

ステップはノーブレスト・バックステップKIT。現在のモデルはかつてのものよりステップバー位置がやや緩やかになり、最適化が進められている。タンデムステップもノーブレストの汎用タンデムステップ ブラケットKIT タイプ-1 タンデムバー付きが使われる。

フロントブレーキはブレンボ・アキシャル4Pキャリパー+サンスターφ320ホールタイプディスクだ。

リヤブレーキはブレンボP2-RS84リアキャリパー+サンスターφ250ディスク。スイングアームはスカルプチャー・18インチ用スイングアームブラックコートで、リヤショックにはオーリンズ・レジェンド・ツイン(KA132)を選択。

前後ホイールはアルミ鍛造のPMCソード・ヘリテイジで純正1.85-19/2.15-18から2.75-18/4.00-18サイズに変更しチェーンラインは純正85mmから91mmに8mmオフセットされる。ドライブチェーンはEK530RCMのBK;GPだ。