カスタムの原点を追うような試行錯誤にも注目の1台
2012年型純正色のパールスターダストホワイト×メタリックスパークブラックをベースとして、ブラックを軸に選ばれたパーツの色味も含めてシンプルに見えながら、しゃぼん玉本店店長・中村さん(ホロさん)プロデュースの下、同店でしっかり手を入れたオーナー・松本さんのカスタムDAEG。足まわりのアップグレードや制動力向上、軽量化。さらに操作性の向上という具合にしゃぼん玉のZRXシリーズノウハウを元にして各部に手を入れていく。それが進む中で、別の味=方向性も知りたいという要望が出てきた。そこから、クローズドコース走行を前提としてあえてFIからキャブレター仕様へと燃料供給を変更し試しているという、新しいトライも行われているものだ。ここではミラー等も装着して、公道仕様のイメージで撮影を行っている。
純正のようなまとまり感も持ちつつしっかりと手の入ったことが分かる各部の作りは参考にできる一方、換装されたキャブレター自体も単に付けられる(簡単に言えばエンジンは6速か5速かの違いはあるが、排気量等はDAEGと前作のZRX1200Rで同じ)のでなく、セラコート・ブラック仕上げとしてルックスの変化も見せたりと、複数の要素を持たせる。これまでにもキャブレター車をFI化する等の試みはあったが、FI車をキャブ化するとどうなるかは例が少なく、どう作り込むといいのかも含めて興味が湧く部分とも言える。スロットルの取り回しや特性の作り込み。点火系も変わってくる。試行錯誤を重ねながら作業を進めているとのことで、このようにひとまずの形になっている。セットアップの余地も残され、それは同店の今後の新しいノウハウにつながってくるはずだ。
1100/1200/DAEGと3タイプあるZRX、それぞれのベースの特徴を生かし、あるいは相違をあえて強調することで各オーナーの望む方向の車両をを作リ出すしゃぼん玉。可能ならば来店してもらって、対話すること。それによってより各オーナーに合わせた車両作りの相談が出来るし、実際にそうしてきたともしゃぼん玉の取締役社長・滝川さんは言う。加えて、ZRXシリーズが持つ“味”は今後とも残していきたいとも続けてくれる。
「例えば手を入れた時の性格などの変わり方。’90年代当時のカスタムブームの頃は、レベルこそそう高いとは言えませんでしたが、手を入れて良くする、良くなった時の感動は大きかった。そうした、変わって良くなること。またその上で、変わらないで良い部分。ZRXならば初代1100の回転のパンチ(1200/DAEG比で1.4mm短いストロークが鋭い回転上昇にもつながっていた)。そして水冷4気筒でツインショックの水冷ネイキッドというZRXらしい特性は後者で、そこに性能や使い勝手を良くなる手段を加えたい。。
そうして走りの性能も上がれば達成感も出ます。サーキットもです。600スーパースポーツ車にラップタイムでは適わないとしても、この味のあるバイク、ZRXでやっているというところがいい。こういう走りが出来るバイクなんだよと。そこは伝えていきたい。そのためのカスタムを考えていいと思います」
街中からツーリング、サーキットまで。何でも出来るベースと捉えているからこそ、発想も幅を持って対応したい。純正FIからのあえてのキャブレター化。これからどう進むのかにも興味が湧くし、まずほかに見ないスタイルもしゃぼん玉なら相談できるという安心にもつながるはずだ。
Detailed Description詳細説明
メーターはワンオフパネルにモトガジェット・モトスコープ クラシック(右、エンジン回転計)と同モトスコープ クラシック スピード(左、速度計)をマウント。物理キー(いわゆるキーとキーシリンダー)は撤去されスマートキー化されている。左右マスターはゲイルスピードVRC、ステムはウイリー・ストリートEvoでフォークオフセットはDAEG純正の30から28mmに変更している。左右のハンドルバーエンドにウインカーも備えている。
ライダー側をディンプル表皮、タンデム側をバックスキン調表皮としたシートはスプリームシートで、ライダーホールド性も考慮されたものだ。
ステップはナイトロレーシングのZRX1100/1200、ZRX1200DAEGバックステップKIT。リヤマスターシリンダーもフロントに合わせてゲイルスピード・リアマスターを使う。
スプロケットカバー等はノーマルでドライブチェーンは純正525サイズからEKのThreeD 520Zにコンバートした。
エンジンは1164ccの排気量はそのままにヴォスナー鍛造ピストンで圧縮比をアップ、ヨシムラST-1カムも組まれる。アルミ削り出しのトップエンドオイルフィッティングはウイリー製を装着。増加する発熱量に合わせて冷却系は右側に水温センサー用ボスを標準装備するしゃぼん玉ZRX1100/1200R/DAEG用オリジナルビッグラジエターで強化、これに合わせたオリジナルビッグラジエター用コアガードも装着する。
吸気は純正のFIからFCRキャブレターとした上でウオタニSP2で点火制御。そのキャブレターはオリジナルセラコート・ブラック仕様で装着する。施工についてはしゃぼん玉に相談を。
フロントフォークはハイパープロ・インナーブラックAH1フォーク ver.1.2 φ43でスクーデリアオクムラ・MEチューニングが施される。フロントブレーキはゲイルスピードElaborate フロント4Pラジアルキャリパー+しゃぼん玉特注プラスμディスクの組み合わせだ。
ウイリー・ハンドメイドのBIG目の字断面スイングアームはOW-Bタイプエンドの標準タイプでブラック仕上げ。前後ホイールはO・Zレーシングのマグネシウム合金鍛造、OZ-6Sカッティーバでサイズはリヤが純正より1サイズ広い3.50-17/6.00-17をチョイス。
リヤブレーキはゲイルスピードElaborate 2Pキャリパー+プラスμリジッドディスクで排気系はしゃぼん玉オリジナルチタンマフラー。リヤショックはハイパープロ・ツインショックピギーバックタイプをオクムラMEチューニングを施して装着する。