C型・D型の特徴も知り抜いて相互のスペックを活用する
「お店が出来た当時から18〜19年の付き合いになるオーナーさんの車両です。ZZR1100のD型を望まれていたのですが、当店にあったC型を購入いただいて。それ以来、長くいろいろ手を入れてます」
K-2プロジェクト・北村さんが履歴を言うこの車両。外装もきれいで最近の仕上げかと思ったが、撮影時点でペイントは12年経っているという。
「私が’08年まで乗っていたC型カスタムのデザインを引き継いでくれたんです。それまでに2度塗っていてこれが3度目の塗装ですが、さすがYFデザインさんで、きれいなままです」
各部の内容もしっかりしていて、エンジンはワイセコ2mmオーバーサイズピストンやハイカムが入り、ヘッドまわりもライトながらチューニングして強化される。さらに注目したいのは足まわりだ。
「フロントフォークはZRX用オーリンズを装着していますがそのまま付けてしまうと車高が変わるので、装着当時にボトムピースを削り出しで作って車高を合わせ、サスの機能を引き出しつつZZRにマッチングさせました。アクスルシャフトもD型のサイズに拡大(φ17→20mm)して強化してます。
リヤもC型ノーマルは少し下がり気味でバンクした時にサイドを擦りがちになるんですが、スポーツ性は高めたい。ですから車高を上げています。これも自然に上がるようにウイリーさんのスイングアームをD型用でほんの少し長く作ってもらい、サスの動きを見ながら合わせました」と、こちらもZZR・C型/D型の細かい違いを知るK-2だからこそのセッティングが行われている。
ところでこれだけスポーツ方向に振ると、車両の性格も変わるかと思いがちだが、そこは心配なかった。
「ZZR1100はC型もD型も元々ツアラーですから、こうしたカスタムを行っても長距離の快適性やツーリングの楽しさはちゃんと残るんです」とも北村さん。ベースの性格がきちんと残せているということだが、それは元々のポテンシャルをきちんと引き出した上で軽快さのポイントを押さえ、ネガが出ないようにセッティングできているからこそ。型式の違いだけでなく性格やその変化まで、ZZRのすみずみまで知り尽くしたK-2らしさが全面に出ているから、こうして長く、しかも気に入って乗り続けられるということだ。
Detailed Description詳細説明
メーターにはヨシムラ・デジタルテンプメーターを追加、純正ステム&ハンドルに付くマスターはフロントブレーキ用がブレンボ・レーシング、クラッチ用がブレンボ・ビレット。
3度目という塗装はYFデザインによりK-2北村さんのZZR1100Cのデザインを踏襲し、撮影時点で12年を経過していたがとてもきれいな状態を見せていた。
シートも作り直しされているが、こうした細かい部分への配慮も車両と長く付き合う理由になるだろう。
ステップはミクニレーシングデベロップメント(現アグラス)を使い、車両への入力を確実に行えるようにしている。
カウルサイドに入るロゴ類もすべてペイント仕上げ。そのカウル内に収まるエンジンはワイセコの2mmオーバーサイズ鍛造ピストンで1052→1108cc化しヘッドまわりもチューニングしヨシムラST-1カムもセットされ元気な走りも支える。
フレームと燃料タンクの間から見えるキャブレター。ダウンドラフトタイプのFCRφ41mmを装着てある。
フロントフォークはオーリンズ正立のZRX用で、換装後もZZR1100本来の車高を維持して性能を引き出すべくボトムピースを製作。合わせてフロントアクスルもC型のφ17mmからD型のφ20mmとして剛性を高めた。フロントブレーキはブレンボCNC 4Pキャリパー+ワークスエキスパンド・ヨシムラリミテッドディスク(限定生産品)の組み合わせだ。
リヤブレーキはブレンボCNC 2Pキャリパー+サンスター・ワークスエキスパンドディスクの組み合わせ。フルチタン右出しの排気系はDLCコートのサイレンサーにノジマエンジニアリングとK-2Projectのダブルネームが入ったプレートが付けられる。
シルバーアルマイトのスイングアームもウイリーにD型用としてオーダーしたもので、ホイサイズ。タイヤはピレリ・ディアブロロッソⅢで120/70ZR17・180/55ZR17サイズを履く。ールはマルケジーニM7RSの3.50-17/6.00-17。