エンジンはSTDスペックで車体はアップグレードも
憧れの車両を手に入れて今楽しむ。名車揃いとも言える900モデルにはそんな傾向も高めと言える。そこでこのCB900Fだ。’82年のアメリカ、市販車ベースの車両で競うAMAスーパーバイクシリーズ。その開幕戦・デイトナ100マイルでフレディ・スペンサーが駆って優勝したCB900F。元々1979年型FZから北米市場にも投入されていたCB750Fだが、’81年にCB900Fが投入されたので’81年型AMA・CB-Fレーサーではサイドカバーに900ロゴを記した。’82年にはそれ以前同様にCB750Fロゴに戻っている。ただエンジンは900Fをベースにレギュレーションの上限1025ccに近い1023cc化などが図られていた。
それをモチーフに、現代のパーツも多く使いながらレストアを施し、かつカスタムを進めたという車両で、エンジンは純正901cc状態でオイルにじみなし。吸排気はFCR+メガホンEXで効率を高め、オイルクーラーも大型化する。
車体側は純正でエンジン着脱用に分割されていた右側ダウンチューブを溶接加工(最初から一体化しているCB1100R同様で、CB-Fにとっては補強になる)しリヤショックマウント部をレイダウン加工している。足まわりはダイマグホイールで前後17インチ化され、フロントフォークはCB1000SFでスイングアームはアルミ角型に変更、ブレーキもマスターをブレンボラジアルとし(クラッチ側もこれに合わせてホルダーを変更している)、ブレンボキャリパーにディスクも変更され、きちんとアップグレードされる。
こうした構成は基本的にストリートでの使用を優先したもので、今乗るCB900Fという見方をしても好感が抱けるのがいい。じつはウィズミー・プロフェッショナルレーシングの委託販売車両とのことで、キャブレターセッティングとハンドリングの最終製作仕様決定を多くのマシンテストで知られる同社・丸山 浩さんが担当している。加えるなら丸山さんはCB900Fカスタムも長らく手がけたり、現代の空冷CB1100/RSのルックスをCB-F化する“プロジェクトF”も提供と、CB-Fには造詣が深い。その上で、走りに100点満点の90点という高い点を付けたというものだ。
そんなバックアップ、裏付けがあるならなおのこと好感は高まる。憧れの雰囲気も、当時の旗艦的に支持された「900」というベース排気量も、楽しむには好適と言える。’24年12月現在でまだ販売中なので、詳細や価格はウィズミーへ問い合わせするといいだろう。
Detailed Description詳細説明
メーターランプはすべてLED化されメータークッション、メーターケーブルは新品交換。フロントマスターはブレンボRCSでクラッチホルダーはKOHKEN。ステムやスイッチ類はホンダ新型モデル用に交換されている。そのステムは換装時に上下ステムベアリングを新品交換して使われる。
カラーリングは'82AMA仕様='82年北米CB750F純正のシルバーで、タンク前端両側のベルレイオイル・ステッカーも同様。サイドカバーロゴはCB900Fとしている。
ステップキットはかつてカスタムブームの頃に人気となったチェイスモーターサイクル製。現在は絶版だ。
空冷DOHC4バルブ901ccの直4エンジンはノーマルで使い、ヘッドカバーガスケットからのオイルにじみ等はなし。ケースカバーをAMAレーサー同様にAHM(アメリカンホンダモーター)ロゴ入りに変更、オイルクーラーも9インチ13段で熱だれを抑え、レギュレーターとスターターリレーは新品交換してハーネスも一部新品にされる。
FCRφ35mmキャブレターはWITH ME+丸山さんがセッティングしその履歴も残されているという。
クイックリリース仕様のフロントフォークはCB1000SF、フロントキャリパーはブレンボ・アキシャル4ピストンをISA BOLZENボルトで締結。
リヤブレーキキャリパーはブレンボ2ピストン。マフラーはチェイスモーターサイクルのメガホンショートを装着する。
リヤサスはスイングアームをアルミ角型に変更しオーリンズ・グランド・ツインを延長加工した上で組み合わせる。前後ホイールはダイマグ製3本スポーク・18インチでタイヤはブリヂストン BT-016でサイズは110/80ZR18・150/70ZR18。