当時のスタイルに敬意を払いつつ現代的な手法も加える
代表の飯田さんが自身のGS1200SSに20年近く手を入れてきたことが高じてショップ開店に至り、およそ5年を経た飯田レーシングファクトリー。GS1200SSを初めとして多くの油冷車オーナーが車両製作や整備、車両のアップデート作業を次々依頼しているという。作業内容は同店ブログにも上げられ、それを自らの車両に投影した上で同店に作業を依頼するユーザーも多いという。このGSX-R1100Jオーナーの佐々木さんもそんなひとりで、飯田さんのGS1200SS・1号機を見てかっこいいと感じたのが、同店との付き合いの原点だった。
仕上がりを見て分かるように、GSX-R1100Jの魅力を生かしながら現役当時のヨシムラ・トルネード1200ボンネビル(GSX-R1100ベースのチューンドコンプリート車両。同車用パーツも当時いくつか販売された)用パーツを組むのが主に手が入り、当時スタイルを生かす手法も各部にしっかりと施されているのも特徴だ。だがそれだけに終わらず、現代パーツも組み合わせて内容も進化させた車両になっている。
元々はフルノーマルの車両を手に入れ、飯田レーシングファクトリーでレストアを兼ねて全面整備を行う。その後キャブレター、フロントマスターを変更しヨシムラST-1カム組み込みと、内容をステップアップしてきた。外観は当時のスタイルをキープしながら、現代化を図るという形だ。
今回は佐々木さんがこの車両にいずれ付けたいと入手していたヨシムラショーワφ41mmフロントフォーク、同じくヨシムラ・ボンネビルステムキットが組まれてさらにステップアップ。ホイールは純正3本スポークからマグタンJB1となり、フロントフェンダーもヨシムラのプレス成形品、ステップも当時のヨシムラ製にと換えられた。
かつての油冷カスタムの中心、ヨシムラ製パーツを今流に味わうというように手が入ったわけだ。ホイールもJB1の5本スポークデザインは当時のスタイルにも合う上に現代の鍛造(しかもマグ)の芯のある感じと回転の良さが加わる。ステップも本来はリヤマスターの干渉を避けるためにカウルの前下端をカットして装着するところが、飯田さんがブラケットを作り直してカウルカットなしで装着するように配慮する。ニッシンキャリパー用だったフロントキャリパーサポートも注目で、これは新作されているのだが、当時の塗膜の厚いフォークへ装着するために製作工場と寸法の摺り合わせを行うなど、細かい作業も経て行われている。これは嬉しい。
このような配慮によって、当時ヨシムラパーツを使ってスープアップしたGSX-R1100カスタムのようなイメージが外観に作られ、もちろん内容もきちんと作られた。パーツのこと、時代背景を理解しながら現代の要素や手法で全体をフォローする。オーナーの希望をいい形で作り込んだ一例と言っていいだろう。
Detailed Description詳細説明
ヨシムラ・ボンネビルステムKITに飯田レーシングファクトリーでキーシリンダーステーを製作して装着。メーターは純正でヨシムラ・プログレス2テンプメーターを追加している。
外装はGSX-R1100J純正をリペイント、スクリーンはヨシムラ・ウインドアーマー。トップブリッジ下に収まるハンドルはデイトナ・セパレートで左右マスターはブレンボRCSだ。
φ76×58mmの1052cc油冷エンジンはフルメンテナンスを行った上でヨシムラST-1カムを組み、飯田レーシングファクトリーオリジナルオイルキャッチタンクをセット。点火はウオタニSP-Ⅱユニットを使う。
吸排気はサイドリンクのTMR-MJNφ40mm+エキパイ部に西村コーティング・レーシング1000塗装を行ったUSヨシムラマフラーの組み合わせ。
アウターチューブにヨシムラ刻印の入ったフロントフォークはオーナー・佐々木さんがこの車両に装着するため入手した当時のヨシムラ・ショーワφ41mmでフェンダーも当時のプレス製ヨシムラ製品に換装。フロントブレーキはブレンボP4-40Cキャリパー+サンスター・ネオクラシックφ310ディスクとして当時感を崩さずに性能を高めている。キャリパーサポートも塗膜の厚いこのフォークにきちんと装着できるように作った。
リヤブレーキははGSX-R1100J純正。ステップは当時のヨシムラ製で、リヤマスターの干渉を避けるためにカウルの前下端をカットして装着するものだったが、ブラケットを作り直してカウルカットなしで装着できるようにしている。
リヤサスはオーリンズSU635ショックをGSX-R1100純正アルミスイングアームに組み合わせる。ホイールは今回MAGTAN JB1の3.00-18/4.50-18サイズに換装し、110/80ZR18・160/60ZR18サイズのブリヂストンT32タイヤを履く。