リターン&車両完成後に遭った大アクシデントから甦る
若い頃に乗っていた1100カタナ。ただ、信頼を寄せていたタイヤが廃番化し、それに代わるものがなく、自然と乗らなくなっていった。そんなオーナー・まぁさんが同僚にツーリングに誘われ、レンタルのゼファー1100でバイクの楽しさを思い出し、リターンした。
でも、乗るならカタナだ。そう考えて人づてで車両を探す。CRキャブやKERKERマフラー、GSX-Rの足まわりが付いたものを入手し、気がついたところをその都度自ら手直ししながら3年かけていい形にまとまる──。だが今からおよそ4年前、右直事故に遭ってしまう。
「フレームも曲がって廃車でした。使えたのは燃料タンクとリヤショックだけ。私も入院することになったのですが、これ(カタナ)は直そうとフレームを買って、好きなように作ろうと考えたんです。それで病院から外出許可が出たときにお店に行って、パーツ集めから始めました。
フレームのタンデムステップ部カットとピボット後ろ補強への塗装、それから赤銀の外装塗装は頼みました。エンジンはヘッドカバーが割れていたので交換して耐熱塗装。あとはどうしよう、こうしようと思案しながら自分で組んでいきました」
そう、まぁさんは説明してくれる。塗装と補強以外はほぼ自分で作業していったということだが、それだけではこのまとまりはなかなか出せない。タイヤなどからもきっちりした走り込みが窺えるが、それもできあがった車両の状態が良くなければ難しいはずだ。
「私は4輪のモータースポーツクラブにも入っていて、そこでミッションを下ろしたりクラッチを調整したりとか、作業の手伝いをいろいろやってたんです。バイクはリターンしてからいじるようになったんです」
濃いめの趣味の延長の中に自然な下地は築かれていて、冒頭のように車両の手直しをしていくうちにそれはぐっと磨かれていったのだろう。そうしてこのようにきっちりした仕上がりが得られたわけだ。
自分の好きなように作れて他にないカタナになったとまぁさん。撮影後には、走行5万kmを超えたというエンジンが下ろされ、フルオーバーホールを兼ねて1261cc化するとともにクロスミッションが入る。それが完成すれば、また新たな走りが楽しめる。その時の話も聞いてみたい。
Detailed Description詳細説明
フロントカウルはユニコーン製FRP。フロントマスターシリンダーはゲイルスピードVRCでクラッチホルダーもゲイルスピードとし、ルックスを合わせるとともに軽い作動と良好なタッチを得ている。
ユニコーンステム(アルミ削り出し43パイステムキット[17インチ用])を使い、トップブリッジ手前側にハイパープロ・ステアリングダンパーを横置きでセットする。ハンドルはφ43mm用セパレート、メーターはパネルを300km/h表示としてデイトナ・モトレーダーGPSとヨシムラ・プログレス2マルチテンプメーターを追加した。
ツートーンのシートは純正でテールカウルは社外カーボンに変更済みだ。
フレームはタンデムステップブラケットをカットし、ピボット部上に補強を加えた上で塗装している。ステップはヨシムラ手曲チタンサイクロン(ここではサイレンサーをバナナタイプからZ1用に換えている)装着時に必須のGSX1100S/GSX750S ヨシムラステップKITを使う。
アクティブ13段オイルクーラーやウオタニSP2電装、アドバンテージFCCクラッチKIT等も使われるエンジンは現状で耐熱塗装とヨシムラST-L1カム組み込み以外ノーマルだが、撮影後にパワーゲームでオーバーホールするとともに1261cc化とクロスミッション組み込みを行っていた。並行する燃料タンクのアルミ化と合わせて楽しみが増しそうだ。
キャブレターはTMR-MJNのブラックアブソリュートにデュアルスタックファンネルを組み合わせている。
フロントフォークはゼファー1100用φ43mmでフロントブレーキはブレンボ4ピストンキャリパー+ゼファー1100用サンスターφ320mmディスク。フロントホイールはマルケジーニ3本スポークの3.50-17サイズで、フロントフェンダーにはコワースのゼファー1100用を装着。
ブレンボ2ピストンキャリパーをTG-RUNのリヤキャリパーサポート GSX-R1100(86-88)/750(85-87)(ブレンボ 84mm)でマウントし、サンスター・プレミアムレーシングディスクを組み合わせたリヤブレーキまわり。
リヤサスはXJR400純正にスタビライザーを追加工したスイングアームにハイパープロショックを組み合わせる。リヤホイールはGSX-R1100用5.50-17サイズを履く。