信頼の置けるエンジンに今後の延命とスムーズさを追加
「17~18年ほどお付き合いのあるお客さんの車両で、本当に乗りやすいんですよ」。トレーディングガレージナカガワ(TGN)の中川さんがこう言うニンジャ。作りも、経緯も気になってくる。
「元々1度カスタムをされていた車両でしたが、最初に来店された時にウイリースイングアームを組んだり足まわりを作り直したりして、全体をセットアップしました。車体側の仕様は以後、それを引き継いでいます。
エンジンは最初1050cc仕様でした。今は2基目になっていて、当社のTGN#1108メニューのコンプリートエンジンを積んでいます。ビッグバルブにハイカム、ベリリウムカッパーシートリングなども組んで、クランクもジャーナルラッピングしています。その後、8年ほど前にオーバーホールしています」
こう中川さんは続ける。今回は車検とメンテナンス一式を行うという入庫のタイミングで車両を撮影させていただいた。確かにペンスケ製ステム&ステップにWPフロントフォーク、そしてホワイトのダイマグ3本スポークホイールといった使用パーツ群からは、一瞬時代を感じる(逆にそれがニンジャカスタムらしい良さも醸し出している)。だがそんな歴史も思わせながら各部はじつにきれいに維持され、今あえて当時のパーツで、当時のスタイルで作ったと言われてもおかしくない凜々しささえ見せてくる。
「あれ、TGNで施工しているR-Shot#M(対象物の表面硬度を高め、摺動抵抗も減らすTGN独自の表面処理)は?」と考える人もいるだろう。でもそれも既にこれからの予定に入っている。元々R-Shot#Mを開発する以前から、中川さんはこの車両にも施されるTGN#1108はじめ多彩なニンジャ系エンジンチューニング=加工や重量合わせ、耐久力アップなどのメニューをまとめていて、それらは高出力で乗りやすいと定評を既に得ていた。
枯渇していくGPZ900R用エンジンパーツの補完のためにR-Shot#Mを開発したのだが、それは摺動性の高さから、スムーズで乗りやすいという特性を高める副次効果も生み出した。このエンジンでも同様と考えると、TGNエンジンメニューとR-Shot#Mの相乗効果によって、冒頭の乗りやすさはより高く、車両もさらに長く楽しまれることになりそうだ。両者が組み合わさった後の印象も、オーナーに聞いてみたくなる。
Detailed Description詳細説明
TGNオーダー製作カーボンメーターパネル中央にスタックST200エンジン回転計を組む。速度や時刻は右上のアクティブ・デジタルマルチモニタで、燃料はSP武川メーター、水温/油温はヨシムラ・デジタルテンプメーターで表示される。セパレートアップからバー仕様としたハンドルはハリケーンバー。左右マスターにはゲイルスピードVRCをセット。
シートはシングルシートスタイルに変更。その他の外装はノーマルスタイルを継承しながらフロントにはヘッドライトルーバー、サイドにしゃぼん玉カーボンアッパーカウルエンドを備えている。
ステップはペンスケ。ダウンチューブはケイファクトリーで油圧クラッチシリンダーはウイリーだ。
コンプリート2基目となる現在のエンジンはφ78mmワイセコ鍛造ピストンにZX-11クランク(ストロークはGPZ900Rの55から58mmに)を組み合わせた1108cc仕様のTGN#1108コンプリート。ピストン/コンロッドの重量バランスや各部バリ取り、Be-Cuバルブシートにビッグバルブ等も組み、TGNオイルバイパスやTGN・DOS-R(ダイレクトオイルジェット。カムまわりにオイルを直接噴出させる)等も組む。
キャブレターはFCRφ39mmをセット。点火系はTGN・D.I.S.(ダイレクトイグニッションシステム)を組み、現代モデルのように点火コイルと点火プラグを一体化して点火を強化するとともに別体コイルを廃したことでタンク下にスペースの余裕も生み出した。
WP倒立フォークはペンスケステムにセットされ、フロントブレーキはブレンボ・アキシャルCNC 4Pキャリパーにサンスター・プレミアムレーシングディスクの組み合わせとする。
リヤブレーキはブレンボCNC 2Pキャリパー+サンスター・プレミアムレーシングディスク。マフラーはノジマエンジニアリング×TGNコラボレートによるS/C(スパイラルコレクター)のフルチタン4-1を装着。
ウイリースイングアームには17インチニンジャ用オーリンズKA203ショックを組む。ホワイトのマグホイールはダイマグ3本スポークで、3.50-17/5.50-17サイズを履く。これに組み合わされるタイヤはブリヂストンS22で120/70ZR17・180/55ZR17サイズだ。