問題がなかったエンジンにも先を考えた内容を追加
1984年から2003年の足かけ20年、生産されたニンジャ=GPZ900R。1991年以降は日本仕様とマレーシア仕様が中心で、生産された車両の多くは日本のユーザーが購入していた。だから車両の総数は多い。でも、生産を終了して20年以上が経つことが、車両入手の壁になってしまう。詳しいショップ経由で良好な中古車を手に入れるか、実働している車両を手に入れるか。分解整備前提のベースと考えれば選択肢はもっと広がる。この車両の場合は、2番目の考えに3番目の手法をミックスしたというのが近いだろうか。ニンジャに乗りたいというオーナーが探して、カスタム車を手に入れた。それをベースに再カスタム化が進行中というものだ。
撮影時点で908ccの排気量をはじめとしてエンジンはノーマルだが、状態は悪くなく、ラジエーター/オイルクーラーを大型化して冷却性を向上。ニンジャで弱点と言われる吸気側カムまわりを中心に潤滑用のオイル供給量を増やすトレーディングガレージナカガワのオイルバイパスを追加。点火系もTGナカガワのDIS(ダイレクトイグニッションシステム。コイルと点火プラグキャップを一体化)と同じくHIR(点火ユニット)を加えて、安定かつ強化した点火ができるようにした。キャブレターはFCRφ39mm、排気系はチタン4-1。本体ノーマルとは言え、スムーズさや信頼性を強化するメニューが施される点に共感が抱ける。
こうしてエンジンの状態がいいうちに、車体まわりと操作系の作り込みが行われている。オーナーのスリムで小柄な体格に合わせたもので、シートの形状変更/内部加工に表皮変更。3.50-17/5.50-17サイズのホイールやスイングアームは入手時点でZZR1200用になっていたが、オーリンズフロントフォークやリヤショックを使い車高も調整、ブレーキは前後ともブレンボキャリパー+サンスターディスクにと、今流の安心感と性能を持たせている。細部手直しも行って、オーナーフィッティングも順調のようだ。こうした入手車両の見極めと、その後の作業手順の立て方は参考にしていい。
この先は必要に応じて手を入れ、エンジンもいずれはオーバーホールなどのメニューも視野に入ってくる。それについても定期整備などを通じて作業のタイミングをショップ=TGナカガワで提案することもできるだろうから、心配はないということだ。
Detailed Description詳細説明
ステアリングステムの変更によって17インチ化とφ43mmフォーク化に対応。メーターはエンジン回転計をULTRAにし、デイトナ・アクアプローバ×2(電圧用と油温/水温用)、プロテック・ギヤインジケーターを追加。マスターは右がブレンボRCSコルサコルタで左がRCS。ハンドルはテーパーバーだ。
外装はノーマルを基本に燃料タンクへのエアブリーダー追加、サイドのディフューザー追加などが行われる。カラーはA1ブルーのパターンをベースにしてブルー部分に濃淡を付けたストライプを追加、テールカウルの青/グレーの境界はGPZ750R・G1にも近い。
シートは表皮張り替えと内部加工でオーナーの体格に合わせつつ、全体のニンジャイメージを崩さないものとした。
ステップおよびダウンチューブのコンビネーションキットはナイトロレーシング、クラッチレリーズはケイファクトリー。サイドカバー下にはブルドッカータゴスのTAGOSヒールプレートも加えられている。
エンジンはφ72.5×55mmのノーマル908cc仕様だが、TGナカガワのオイルバイパス(カムまわりのオイル供給を増やす)、DIS(ダイレクトイグニッションシステム。コイルと点火プラグキャップを一体化している)、HIR(点火ユニット)を加える。冷却系も大容量化され、今後手を入れたことも視野に入れた余力が残された仕様だ。
キャブレターはFCRφ39mm、対となる排気系はチタン4-1。シリンダーヘッド横にオイルバイパスとそこへのオイルラインも見える。アクティブ・サブフレームも装着される。
フロントフォークはオーリンズ正立φ43mmで、ウイリー製キャリパーサポートによってブレンボGP4-RXキャリパーをサンスター・ワークスエキスパンドディスクと組み合わせた。
スイングアームと3.50-17/5.50-17サイズの3本スポークホイールはZZR1200純正で、これは入手時点での仕様。ドライブチェーンはRKの50XXW(530サイズ相当)だ。
リヤブレーキはトウジエンジニアリング製サポートでブレンボGP2-SSキャリパーをサンスター・ワークスエキスパンドディスクに組み合わせる。リヤショックはオーリンズKA203を装着した。