ノーマルの特性を巧みに伸ばしていくノウハウ
フラッグシップという位置づけで高速性能や長距離走行性能を高める一方で、鈍重さのないスポーティなハンドリングを持った、ZZR1100(C/D)。’90〜’01年の展開時点で、バイクのひとつの完成形を作っていた印象がある。
この車両はそんなZZR1100の後期型、Dタイプをベースにしたカスタムだ。各部にカーボンパーツを配して軽快感を、そしてその軽快感を落ち着かせるレッドとブラックのカラーとのまとまりもきれいな1台となっている。
「当店にいらっしゃったのは3〜4年くらい前(2020年頃)です。同じZZRオーナーさんの紹介でした。その時に車両のフロントまわりは既に手を入れられた状態。それでリヤサスを換えて、以後メンテナンス等を継続して行っています」と、K-2プロジェクトの北村さん。
そこからは前後ブレーキの交換やスイングアームの加工にセットアップなど、多くのパートの作業が同店で進められた。その対象ともなった前後のゲイルスピード・エラボレートキャリパーにもフロントディスクにも、オーナーこだわりのレッド×ブラックカラーが反映されている。
ところでZZR1100ももう20〜30年級のモデルだが、この経年に対しては何か手が入っているのだろうか。
「オーナーさんからは長く乗りたいという要望がありました。ZZR1100も純正、社外ともパーツは減ってきましたので、エンジンはヘビーチューニングを行うのではなく、後継機ZZR1200への換装という手段を採りました。ノーマルの安心感、まだパーツに融通が利く、その上でトルクがアップするという点で選んだものです。公認車検も取得しました」
1100、1200、1400(含むZX-14R)と、多く、そして長くZZRシリーズを扱っているK-2のノウハウ。換装後にはカムカバーを外すのにエンジンをずらして行う必要がある点や、オイルパンからのクーラーライン取り出しが1100とは違う点などは要注意というが、そこもきちんと把握しているのは心強い。ネガは少ない上に軽くトルクフルで、操作性にも配慮する作り。これなら確かに長く乗っていけるはずだ。
Detailed Description詳細説明
ヘッドライトはZX-9R用を使いフロントカウルを加工。スクリーンもショート化する。サイドカウルはハーフタイプのカーボンに、アンダーカウルは別体タイプにし、シャープな印象を作り込んでいる。
アッパーカウルインナーやフロントフェンダーもカーボンで、ミラー(マジカルレーシング・NK-1ミラータイプ3ヘッド)はバータイプ化したハンドル側に移設し、視認性や取り回しの向上を狙う。操作性の向上も狙い、左右マスターはゲイルスピード・エラボレートを使う。バーハンドル化し、その右側にはヨシムラ・プログレスメーター2を追加。
シートは表皮/形状を変更し、足の動きをスムーズにしている。
長く乗るという目標に対してエンジンはZZR1100の1052ccからめっきシリンダー化&ボア×ストローク拡大(φ76×58mm→φ79×59.4mm)したZZR1200の1164ccノーマルにユニット換装。ラジエーターおよびオイルクーラーも大型化されている。ステップはWR's、クラッチレリーズ(スレーブシリンダー)はケイファクトリー製だ。
キャブレターはZZR1100、換装したエンジンのベースとなるZZR1200ともCVKD40を使っていることもあり、ここでもCVKD40を使う。
フロントフォークは来店時に既に倒立タイプに換装されていた。フロントブレーキはラジアルマウントのゲイルスピード・エラボレートキャリパーにサンスター・ワークスエキスパンドディスクを組み合わせる。
リヤブレーキはキャリパーがラジアルマウントのゲイルスピード・エラボレート、ディスクがサンスター・ワークスエキスパンドディスクとなっている。
リヤサスはK-2でオーリンズフルアジャスタブルショック(KA3092)に換装、純正スイングアーム加工も行った。前後ホイールはゲイルスピードType-RでZZR1100純正からリヤを1サイズアップした3.50-17/6.00-17を履く。