「RVFの完成形」をテーマに、往時を知れば刮目の車両
「実はこのバイク、前オーナーがいまして。m-techさんで製作中から憧れて、譲ってもらったものです」とは、このRVF/RC45を’08年に入手以来、乗り続けている現オーナーのレイン・マイスターさん。この車両は’23年10月22日、神奈川県・箱根で行われた「モトライダーズフェスタ」でのH&Lカスタムコンテスト=バイク・ビルドオフでGPZ900R・A10とともに同得票で1位を得た。
RVF/RC45と言えば、1994年に市販車ベースのレースレギュレーションがTTF-1からスーパーバイク(750cc。後に現在の1000ccへ)に移行する際、そのホモロゲーションモデルとして現れたもの。ホンダ・ワークスのHRCも同車で参戦を続けたが、その最終型の両持ちスイングアーム仕様こそがRVFの最終形とレイン・マイスターさんは考え、この車両にはそれが再現されていた。これがひとつ。もうひとつ、ワークスNR(NR750。市販車でなく、1987年のル・マン24時間耐久レースに参戦した車両)をオマージュしたカラーリングに惹かれた。それが入手の経緯だったという。経年劣化した外観塗装は、前述のコンテスト直前に再塗装して仕立て直した。
先の両持ちスイングアームなど、各部には眺めるほどに今では入手困難なパーツが散りばめられていて、それらをフィッティングしたのは冒頭のように、京都のm-tech。「(RVF/RC45は)レースの現場でイジリ倒しましたから」と笑う代表・松本さんのノウハウが活かされている。
「同じモノを……と言われても、もうパーツも揃えられない」(松本さん)という、希少なバイクをさらに希少パーツでカスタムした、このRC45。会場では往時のレースシーンを知るギャラリーの質問攻めに遭ったのは言うまでもない。
Detailed Description詳細説明
フロントカウルはSPOT FRP製のカーボンケブラー品をベースに、m-techで2眼仕様にモディファイ。ヘッドライトはRC30純正を流用。
タコ/スピードメーターはSTACK ST700SR。パネルにはヨシムラPRO-GRESS2メーターも追加する。写真では見えにくいが、トップブリッジはm-techによるワンオフ品に置換されている。
クラッチマスター、およびフロントブレーキのマスターシリンダーはブレンボ レーシングラジアルCNC。車体左側に備わるステアリングダンパーはオーリンズだ。
シングルシートカウルを装着。1987年にル・マン24H耐久を走ったワークスNR(オーバルピストンV4でプロトタイプクラスに出走)風カラーリングは再塗装でリフレッシュ済み。
ボア×ストローク:φ72×46mm、749ccの90度V型4気筒エンジンとPGM-FI(インジェクション)は純正。アルミツインスパーフレームも同様だ。
アップタイプ左右出しのカーボンシェルサイレンサーを持ったワークスRVFの“お約束”、アクラポヴィッチのマフラーを装着する。
オーリンズ正倒立フロントフォークはHRC向け仕様がベース。フロントブレーキはブレンボ削り出し4Pキャリパー+ブレンボφ320mmディスクの組み合わせ。
オーリンズリヤショックもHRC向け仕様がベースとなっている。
リヤブレーキはNISSIN NL5キャリパー+HRCディスク。そんなスペシャルパーツ群をフィッティングする細かなパーツもm-techがワンオフで対応。なお注目の両持ちスイングアームはm-techのワンオフで耐久レース用クイックリリース仕様(自社で整備しやすいためとm-tech松本さんは笑う)。前後ホイールはHRC製マグを履く。