足まわりとポジション設定が走りの楽しさを予感させる
SDG昭和電機グループの工業ショー展示用デモバイクとしてケイファクトリーが製作したZ900RSカスタム。ショーに国内4メーカーの車両があることで話題作りにもなるということが起点だが、SDG昭和電機グループの今のバイクとの関わりも紹介しておこう。
2023年の鈴鹿8耐、「SDGホンダレーシング」には国内外のさまざまなレースで活躍しているSDG昭和電機グループのライダーが集結した。参戦が決まっていた名越哲平選手と國井勇輝選手は、普段は全日本ロード選手権を走り、浦本修充選手はスペインのスーパーバイク選手権を走るライダー。この3人組という盤石の体制が敷かれた。ところが、國井選手がトレーニング中の怪我で離脱し、代わってアジアロード選手権のASB1000を戦う埜口遥希選手が抜擢されたのだ。鈴鹿8耐は初参戦。
CBR1000RR-Rを駆るSDGホンダレーシング、決勝レースは序盤から上位争いを繰り広げ、終盤の天候が崩れた難しいコンディションの中でも表彰台争いを展開した。
同じ8耐にTOHOレーシングから参戦した榎戸育寛選手は、全日本ロードレースを走るSDG昭和電機グループの広報社員ライダーだ。
決勝の暫定結果ではそのTOHOレーシングが2位、SDGホンダレーシングが3位となって、表彰台にSDG昭和電機グループの4選手が立つという快挙を達成。その後、残念ながらTOHOレーシングは車両規定違反で失格となってしまったが、このように’23年の鈴鹿8耐は、SDG昭和電機グループのライダーへのサポート活動を象徴するレースだったとも言える。
それだけでなく、SDG昭和電機グループが扱う送風機『ウインドレーサー』は、猛暑の鈴鹿8耐で多くのピット環境を快適に整えてくれた。本業の環境整備にも、レースにも。そんな下地があるから、デモ車両の意味も熟知しているわけだ。
そしてこのZ900RS。カラーリングはそのSDG昭和電機カラー。バイク好きとしての付き合いを原点にケイファクトリーが製作を担当し、同社製Z900RSパーツやワンオフパーツを駆使している。カウルを装着してハンドルを低くすることでイメージを一新。アンダーカウルはGPZ900R用で、ビレットダウンチューブに沿うように丁寧に加工して装着しているのもポイントだ。そのイメージに合うような戦闘的なポジションと、細部までこだわって作り込まれた足まわりが、走りの楽しさを予感させてくれる、ネオクラシックから少し進んだスポーツネイキッド。そんな印象と各パーツに、ショーなどのイベントでも目を惹くことは確かで、そこから冒頭のように話題が広がるのは間違いない。
Detailed Description詳細説明
SDG昭和電機グループのトリコロールカラーによく映えるゴールドのフルエキ、「CLR-RG+ チタンフルエキ ヘキサゴンサイレンサー JMCA認証」('23〜/31万3500円、〜'22/29万1500円)。チタンに焼き色をつけたケイファクトリーらしい仕上がりだ。
エキパイの両サイドには「アンダーチューブ」(バフ仕様/18万1500円、スーパーブラック/19万2500円)を装着(写真は開発中のもの)。ジュラルミン削り出しでフレームの剛性を高め、ねじれを抑制する。ノーマルフレーム、マフラーも使用可だ。
4ポジションから選べるアルミ削り出しステップキットの「ライディングステップ」(6万3800〜6万6000円)は、ブラックとシルバーのラインナップのうちシルバーを装着する。ペダル部分は5mmの可動域を持ち、ほかに耐震性に優れるゴム製ステップバー仕様も用意されている。ライディングステップのステップバー位置はノーマル比でバック×アップが20mm×50mm、20mm×60mm、30mm×50mm、30mm×60mmに移動できる4ポジションの設定。
90×30mmのビッグサイズ目の字角パイプを使用した、オリジナルスイングアーム、「ビッグサイズ新型目の字スイングアーム」(24万4200円)を装着。縦剛性をしっかりと確保しつつ、横方向はしなやかな味付けが施される。写真はカラーオーダー(+2万2000円)のブラック仕様だ。
外装はSDG昭和電機グループのレーサー用カラーリングをモチーフにしたトリコロールカラーを、Z900RSにアレンジしてペイントしている。
フロントカウルはドレミコレクション製Z900RSストーンカウルで、ボディ側同様にSDG昭和電機グループカラーで仕立てる。オールアルミ製で軽量な仕上がりを持つケイファクトリー製アルミ削り出しトリプルツリーはプロトタイプ。注目すべきはカウリングのステーやマスターシリンダーカップのステーで、どれも当然ワンオフ品だが、細部のディテールまで丁寧に作り込まれているのが分かる。
ケイファクトリー製可変式クイックハンドルキットによってバーからセパレートハンドル化。バーエンドやレバーガードも同社製だ。フロントブレーキのマスターシリンダーはラジアルポンプのブレンボRCSを選択。
アップマフラー対応のケイファクトリー製ジュラルミン削り出し「タンデムステッププレート(左右セット)」(2万7500円)。「ノーマル位置対応アルミマフラーステー」(1万3200円)との併用も可能。タンデムステップバーは純正も使えるがここではケイファクトリー製「タンデムステップバー単品(カワサキ用)」(8250円)を装着した。
エンジンまわりでは2021年型以降のラジエーターに対応する、「サイドカバー タイプII」(2万8600円)を装着。写真のアルミポリッシュのほか、ブラックもチョイスできる。「エンジンスライダー」(1万2980円)も装着。
飛び石などからラジエーターコアを保護する、ケイファクトリー製「ラジエター・コアガード」。ここでは写真の「Rタイプ」を装着。ほかにRタイプ・ブラック仕様、センターにロゴの入るCタイプもある。Z900RSは'18〜'20年型、'21年型〜でラジエターサイズが異なるので、購入の際には注意が要る。
フロントサスペンションにはオーリンズ製倒立タイプをチョイス。ブレーキディスクはサンスター製ワークスエキスパンドディスクで、ブレンボ製484カフェレーサー CNC 4Pキャリパーとの組み合わせとする。前後ホイールはBST製カーボンのMANBA 7 TEKで大幅なバネ下の軽量化を達成。サイズは3.50-17/6.00-17となる。タイヤはBSのRS11を履く。
ノーマル比マイナス10mm〜プラス10mmの範囲でリヤサスリンクのロッド長を調整(車高は±20mmで調整)できるケイファクトリー製「リンクロッド」(2万460円)。ノーマルと同形状のアルミ削り出しの「リンクプレート(左右セット」(1万6500円)は、写真のスーパーブラックとメタリックシルバーがラインナップされている。