独特で柔軟な個性をさらに楽しめるようにする
’84年のGPZ900R、初代Ninjaをルーツとする水冷カワサキ旗艦の歴史。’86年のGPZ1000RXでは排気量拡大やダブルクレードルフレーム化等を行い、’88年のZX-10では1バルブ1ロッカー化やダウンドラフト吸気化、アルミツインスパーフレームになるなどのアップデートを受ける。さらに’90年のZZR1100(C型、排気量拡大やラムエアダクト新設)で完成型となったかに見えたが、さらに’93年、ZZR1100には細部をより詰めたD型が現れる。GPZ900Rの左サイドカムチェーン4気筒エンジンはこのZZRで1052ccにまで拡大、フレームはアルミペリメター、充実の足まわりや空力性能で300km/hの世界も手中にしたこのモデルは、旗艦というバイクのあり方の見本ともなり、2001年のD7型まで販売が続けられた。
写真はその’97年型D3を元に、K-2プロジェクトで手を入れたものだ。同店はカワサキ水冷旗艦モデルを多く扱うが、開店当初はZZR1100が多かった印象もある。この車両もそんな当時からのものだろうか。K-2・北村さんに聞いた。
「facebookのコミュニティ経由で当店にいらしたのが4年ほど前なんです。当時はホイールやマフラーが換わっていたというくらいでした。そこからは段階的に手が入るのですが、そのペースは早かった」
フロントフォーク換装やフロントキャリパーのラジアルマウント化が同店での当初の作業だったというが、オーナーはその効果を気に入り、さらに作業メニューが加わっていったという。
「ポジションもたくさん試されたのですが、その上で今が一番しっくりくる設定になっているようです。エンジンもオーバーホールした上で鍛造ピストンを入れ、圧縮も上がってます」
ZX-9Rヘッドライトを加工インストールしたフロントカウルを含め、フレアやタンク上のレースパターン、サイドの幾何学パターンで外観をまとめるペイントもポイントだ。
「オーナーさんはご自分でレベルの高い塗装もできるんですが、プロのペイントを見てみたいということで、フルペイントしました。デザイン案も決めてらして、当店でペイント・オブ・ジョーカーさんに打ち合わせし、依頼しました」と、これもお気に入り要素になる。
北村さんによればZZR1100は後のZX-14/Rに比べれば優しめで長距離ツーリングが楽な、GT的な車両だという。そんな特性も知り抜き、旗艦らしさをそのままに軽さも質も高めた1100。まだまだこの先も楽しまれるはずだ。
Detailed Description詳細説明
フロントカウルはZX-9Rのヘッドライト(ZZR1100純正は上下辺が緩い曲線の逆台形)を組み込んだ上で成型、サイドカウルはハーフタイプに変更している。
燃料タンクやアンダーカウルなど外装はオーナーのデザイン案をベースにしてペイント・オブ・ジョーカーがペイント。今一番しっくりくるというハンドルはZZR1200純正セパレート、左右マスターはゲイルスピードVRC、ステップはWR'sだ。
オーバーホールとともに鍛造ピストンを組み圧縮を高めたエンジン。左右のカバー類はウイリー製ビレット、クラッチレリーズ/スプロケットカバーはケイファクトリー。エンジンスライダーはGSG MOTO製を使う。
キャブレターはダウンドラフト仕様のFCRφ41mm。これに組み合わされる排気系はワイバンエキパイ+Bagus!サイレンサー。フレームはカーボン製カバーも備わる。
フロントフォークはオーリンズ正立(φ43mm)、フロントブレーキはブレンボCNC レーシングキャリパー+ウイリー製サポート+サンスター・プレミアムレーシングディスク。
リヤブレーキはブレンボCNC 2Pキャリパー+サンスター・プレミアムレーシングディスク。リヤショックもオーリンズでウイリー製7N01目の字断面スイングアームを組み合わせる。
3.50-17/6.00-17サイズのホイールはアルミ鍛造のゲイルスピードTYPE-Rで他のビレットパーツとルックスを揃える。ドライブチェーンはEKの530SRX2だ。