ナップススポーツによる究極のプレミアムパーツ
大手用品チェーンのナップスが2022年10月に発表したプライベートブランド、『Naps Sports』。その第1弾として発表されたのが、現行=第3世代Hayabusa向けのフルドライカーボンボディKIT。これはその装着車両だ。
「Hayabusaのようなハイクオリティモデルをカスタムする時、定番のメニューで手を入れると、ノーマルの良さや存在感を崩してしまいがちです。ナップスでは『Naps Sports(ナップススポーツ)』というブランドを立ち上げて、ノーマルの良さやシルエットを生かしつつクオリティを上げるべく、ドライカーボンでフルカウルキットを製作しました」とは、ナップス戦略事業部の松倉さん。単なるカスタムパーツではない、究極のプレミアムパーツをリリースする新ブランドがナップススポーツなのだ。
そのブランド発・第1弾となるHayabusa用プロダクトはカーボンカウルの中でもホンモノ中のホンモノである『ドライカーボン』。MotoGPやF1など、世界最高峰のレーシングシーンに使われ、ハンドメイドでコストがかかり、製造も量産も難しい。
「通常の樹脂パーツのように、対象物をベースに雌型雄型を作り、そこから樹脂を積層貼り込みして製品化するのではなく、対象物を3Dスキャンし、そのCADデータをモディファイして製品化します。型データの精度を保ち品質も保証したいので、キットは30台分しか生産しません」(松倉さん)
スキャンするとは言え3Dデータ取りの手間は、通常の樹脂パーツ生産より数倍の時間と工数がかかる。でもこの方が形状変更が容易でパーツの合わせ精度もピタリと合うという。どんな形状も作れるのだが、今回はあえてHayabusaのノーマル形状を尊重した。
「データを取ってみると、純正外装パーツがいかによくできているか分かります。ですからキットでは、全体を見ればHayabusaだけれど、細かいディテールをオリジナルデザインとしました。Hayabusaのサイドカウルってこうだっけ? って思わせるモディファイです」(同)
このHayabusa用フルドライカーボンボディキットは開発に時間をかけ、松倉さん自身が実走テストを担当。’22年秋の「隼駅まつり」にも自走で参加し、走行中の強度や熱対策、取り付け強度の確認も行った。
「販売も1台ずつ車両持ち込みで、ナップスで組み付けを行い引き渡しします。納車後のケアも当社で行い、納車後1カ月で取り付け状況も点検。コンプリート車両の方は当社で車両を確保できた数台だけ、製作する予定です」
素材から製法、そして製品から納車まで、すべてがプレミアム。価格もフルボディキットで税込み209万円、車両込みのコンプリート車の乗り出しで税込み439万円(ともにクリア塗装仕上げ)と、何から何までプレミアムだ。
「ハヤブサはそれくらいのパーツでないと、ノーマルの存在感を越えられない。このプレミアムなモノづくりを理解してくれるお客さまはきっといる──そんな願いも込めた製品なんです」
’23年6月1日現在、’23年型の登録済未使用車両をベースにしたコンプリートは限定4台が用意されている。純正からは4kgの軽量化という違い以上に、他にないエッジの効いた質を楽しむ。これは大いに注目したいカスタムの姿と言える。ナップススポーツはこのハヤブサ以降も順次他車種向けの開発も行うとのことで、先の東京モーターサイクルショーでもイメージ車両が複数展示された。詳細はナップススポーツのブランドサイトでも参照できるから、続く発表も期待したい。もちろん、Hayabusaにドライカーボンボディをマッチングさせたい向きも、同サイトにアクセスしてほしい。
Detailed Description詳細説明
ノーマルではデカール仕上げの「隼」ロゴは、その位置や大きさをほぼそのままに、カウルサイドに凹形状のエンボス立体デザインで一体成形して再現している。
サイドカウルにあるエアダクトルーバーも一体成形。一見ノーマルのようなナチュラルさだが「こんなデザインだったらもっとカッコいい」という思いも込められた。
あくまでもノーマルの形状に忠実に、少しだけモディファイを加えてデザインを決定。ドライカーボンは純正と同強度と考えた場合、形状はそのままに部材を薄く設計できるため、アッパーカウルはより走行強度を上げるべく、マウント方法も強化している。ヘッドライト周囲のアクセントカラーパーツは純正(ここではキャンディバーントゴールド)を使っている。
機能部品である燃料タンク部分はノーマルの形状を踏襲し、前側はカバーの換装(内部にエアクリーナーがボックスが収まる)、分割線から後ろ側は燃料タンクをそのまま覆う形となる。
フロントフェンダーはノーマルの強度剛性、空力特性の高さとも非の打ち所がないため、スズキ純正の安全基準も尊重してノーマルと同形状を採った。もちろんマウント方法も同じボルトオンだ。
テールカウルはノーマル形状をさらにスタイリッシュに、上品にモディファイしている。純正でアクセントカラーパーツが入る分割部はなく一体化され、純正アクセサリーのシングルシートカウルではシートパッド正面に入る「隼」ロゴはナップススポーツのロゴに置き換えられる。
テールカウル後ろ側。純正テールランプやその下のアクセントカラーパーツはそのままに、純正よりもすっとした印象のデザインを継承した。
同じドライカーボンボディにマットクリア(つや消し)塗装を施した「SUZUKI Hayabusa 2021-MODEL NSMP-01 フルドライカーボンボディ KIT/マットクリア(艶消し)仕様」は税込み217万8000円、車両込みのコンプリート車(写真)が乗り出しで税込み447万8000円だ。マットクリア塗装は一般公道走行も想定した仕様。さらに未塗装の「NSMP-01 フルドライカーボンボディ KIT/未塗装仕様」は税込み198万円。これらの価格にはいずれもボディKIT取付作業工賃と初回点検費用が含まれている。