柔軟な考えで個性も持たせたコンプリートパッケージ
サンクチュアリーの17インチコンプリートカスタムニンジャ。RCMニンジャ・スポーツパッケージTYPE-Rとしてサンクチュアリー横浜大和が手がけた車両で、RCM-345と、通算600台を超えた今見ると比較的早めのシリアルナンバーが付いている。撮影は最近だ。
「この車両は一度にコンプリートカスタムとして作ったのではなくて、段階を追って手を入れた上でRCMとして完成したものです。その上で今回、外装などをアップデートしたんです」
こう、車両内容を教えてくれるのはサンクチュアリー横浜大和の川浪さん。長い付き合いをする車両オーナーも多い同店には、こうした段階的製作によってフルカスタムに至る例もかなり見られる。川浪さんが各車両の内容をきちんと把握していること、オーナーとの打ち合わせの中で先を見越した作り込みをしていることも効いているのだろう。
もちろん、サンクチュアリーのグループ店としてパッケージメニューの勘所も押さえているという点(川浪さんはRCM確立初期時代にはサンクチュアリー本店で作業に携わっている)、車両の仕様や作業内容もグループ内で共有できている点もプラスに働いている。
それだけでなく、いちショップとしての柔軟性を取り込んでいるのも興味深いところだ。この車両ではエンジンがその部分。ワイセコφ78mmピストンによる1050cc仕様という内容をぱっと聞くと、ニンジャヘッドをベースとしたスポーツパッケージのRCMニンジャとしてはかなり攻めたスペックに思える。
「トレーディングガレージ ナカガワさんのコンプリートエンジンを積んでいるんです。フルオーバーホール+スープアップメニューの内容で、RCMにも合います。実際に乗ってみるとパワフル。それでいてパワフル過ぎない、荒くないという絶妙な感じで、かなり魅力があるんです」とのこと。
これも段階的に作る中でのいち段階で取り込めたものですと川浪さんは続けるが、車両トータルが見えているからこそ、柔軟な考えで実現できたとも言える。自社製エンジンでもOKなところに、社外コンプリートエンジンで新たな印象ももたらすというハイブリッド。この車両はそんな独特の内容も魅力に加えて、これからも楽しまれるはずだ。
Detailed Description詳細説明
純正のラインとカラーをアレンジしたペイントは奥進による。クリアスクリーンはナイトロレーシング・レーシングスクリーンを装着。
メーターは純正にヨシムラ・デジタルマルチメーターを追加する。セパレートからバータイプとしたハンドルはアクティブ・ファナティックで左右マスターシリンダーはブレンボRCS。これらをまとめるステアリングステムはアルミビレットのスカルプチャー ステムキットφ43だ。
シートはスペックエンジニアリング・ライディングシートで、その下にはAMCフェンダーレスキットを装着してテール部をすっきり仕立てる。
ステップはナイトロレーシングで、ナイトロレーシング・TTアダプターによって同ダウンチューブキット・タイプ3と強固に連結、ダブルクレードルスタイルを作る。フレーム本体もドライブチェーンインライン加工などを施し、ブラスト処理後にパウダーコート仕上げされている。
エンジンはTGナカガワにコンプリートで製作依頼したもので、重量合わせしたワイセコφ78mm鍛造ピストン、重量合わせコンロッドにダイナミックバランス取りしたGPZ900Rクランクを組み合わせた1050cc仕様。カムは逆車用でバルブは吸気側を新品にし排気側はガイドを新品にしバルブは研磨される。TGナカガワでもお勧めというパッケージがRCMというコンプリートカスタムに載った興味深い例ともなった。
キャブレターはTMR-MJNφ36mmで点火はウオタニ・フルパワーキット。これに対する排気系は4-1のナイトロレーシング・チタンエキゾーストにナイトロレーシング・チタンストレートV-3サイレンサーの組み合わせだ。
フロントフォークはノーブレスト・オーリンズE×MパッケージによってオーリンズRWUを組む。フロントフェンダーやキャリパーサポートも同パッケージ。フロントブレーキはブレンボCNCレーシング アキシャル4Pキャリパー+サンスター・RCMプレミアムレーシングディスク。
リヤブレーキはゲイルスピードマスター+ブレンボCNCレーシング2Pキャリパー+サンスター・プレミアムレーシングディスクのセットが使われる。
スイングアームはスカルプチャー・ワイドスイングアーム17インチ専用でリヤショックはオーリンズ。ホイールはO・Zレーシング製アルミ鍛造のピエガで3.50-17/5.50-17サイズを履く。ドライブチェーンは各部干渉を避けるナローボディタイプのEK530RCMを装着する。