コンプリートに新たな個性を作るカスタムペイント
かつてのカスタムブーム時の多くのカタナカスタムで感じた、すっとしたイメージを現代流に解釈した。そう思えるスマートな1台だ。
「ベース車両はオーナーさんの持ち込みで、何年か不動だったと聞きました。それでまずは動くようにとレストアなど立ち上げ作業をするうちに、コンプリートカスタム製作に進みました」
こう、このカタナについて教えてくれるのはサンクチュアリー横浜大和の川浪さん。同店はACサンクチュアリーのフランチャイズ店で、川浪さんはかつてサンクチュアリー本店でも多くの車両製作経験を積んできた。それでこの車両にも同店コンプリートカスタム、RCMとしてのシリアルナンバー(製作番号)555が付いている。そんな背景から、川浪さん自身もよく知ったナイトロレーシングやスカルプチャーブランドのパーツも多く使われているのだろうと思ったが、それは少し異なっていた。
「ステムやスイングアームはスカルプチャーですが、あまりそこにはこだわらず、基本はオーナーさんの好みを反映しています。細かい部分などはこちらからの提案も行って、決めていただいています」
ヨシムラマフラーやゲイルスピードのリヤマスターはそんなパーツ。機能も高めながら、コンプリートカスタムにモアアクセントとなる個性を加えた点も注目だ。
その個性という点で見れば、カラーリングだろうか。車両のフロントからリヤにと流れるフレアパターンが施されているが、フロントカウルのパターンはフレアの枠を超えてトライバル調でもあり、現代的な感じも見せている。
「これはオーナーさんのチームのエンブレムがベースで、友人のデザイナーさんがフレアと合わせてデザインしたものなんです。ペイントはシェイキンスピードグラフィックスさんが行っているのですが、ここもオーナーさんの友人つながりでした」とも川浪さん。
なるほど、初見で感じた冒頭のスマートな印象はそんなところからも生まれていたということだ。コンプリートカスタムの中に好みも加え、さらにフルペイントで個性を高める。今こそ改めて注目したい手法だろう。
Detailed Description詳細説明
フロントカウルは純正でスクリーンはマジカルレーシング製。セパレートのハンドルはケイファクトリー製φ43mm用、ステアリングステムはスカルプチャー。フロントマスターはブレンボRCSで、これに合わせたクラッチホルダーはコーケン。メーターはカタナ純正でヨシムラ・プログレスメーターを追加した。
外観はオーナーの好みの色だというブルーをベースに、シェイキンスピードグラフィックスがフレアパターンを元にペイントが施される。
テールカウルは内部が小物入れになっているマジカルレーシング製SPLシートキットで、テールレンズが赤いレッドテール仕様を選択。アンダーカウルもマジカルレーシング製だ。リヤウインカーはナンバーホルダーサイド、フロントはミラー一体式をチョイス。
ステップはナイトロレーシング。フレームは7カ所を補強しリヤサスのワイドレイダウンやドライブチェーン軌道確保等、RCMの手法で製作されたものだ。
エンジンは'81年式GSX1100Sをベースにヴォスナーφ74mm鍛造ピストンで1074から1134cc化。クランクシャフトは芯出し、バルブガイドはワンオフした上で打ち替えるなど、しっかり再生しスープアップ。カムはヨシムラST-1、点火はウオタニSP2とフルメニューの構成を採る。
キャブレターはTMR-MJNφ40mmのサイドリンクタイプを使う。シリンダーヘッドのカムカバーはヨシムラのマグネシウム製だ。
フロントフォークはオーリンズRWUでブレーキはフロントがCNC Axial 4PキャリパーをSMBサポートでサンスター・ネオクラシックディスクに組み合わせる。
リヤブレーキはゲイルスピードマスターにブレンボCNC 2Pキャリパー/サンスター・プレミアムレーシングディスク。マフラーはヨシムラチタン手曲げ。
リヤショックはオーリンズ・ブラックラインでスイングアームはスカルプチャー ワイドスイングアーム(17インチ専用)。前後アクスルはJBクロモリを使う。