今後の使い方も見越した仕様設定やパーツ使いにも注目
「元々18インチカスタムのZに乗っておられたお客さんが、オーバーホールタイミングが来たのでそれに合わせて17インチホイール化して当店のカフェレーサーカウルを付けたいと希望されました。全面的に作り直しのような作業になりますから、それなら新しく車両を仕立てた方が早いですね、と元の車両は下取りして、新作したものです」
アメリカンドリームの松田さんが概要を言うこのZ。製作に当たってはフィーリングの確認のためにオーナーに松田さん所有の17インチカスタムZ1-Rに乗ってもらった。その乗り味が気に入り、作業に入ったという。
「カウル装着が前提でしたので角タンク車でなくZ1を元にして、足まわりは私自身の車両に近い仕様にしています。セパレートハンドルにしたかったということでしたから、当店オリジナルのステアリングステムを使ってハイパープロ・フロントフォークをセットした上で、トップブリッジの上にセパレートハンドルを付けています。
セパハンの雰囲気はカウルとも合いますし、位置もロータイプのバーハンドルくらいの高さで、きつ過ぎずにちょうどいい。このトップブリッジ上マウントはお勧めの仕様です」と松田さん。ほぼ同形状のZ900RS用カフェレーサーカウルでの開発ノウハウを転用し、カウルステーをアルミで新作できたのも新しい点だった。もちろんエンジンもフルメニュー仕立て。
「フルオーバーホールに加えて耐久性も持たせて、長く乗れるようにしました。クランクベアリングも交換してミッションもドッグ加工、カムはノーマルですが100psは出ますし、パンチもあるし中速もあって乗りやすい仕様です。アニーズ製ピストン(ここではφ72mm)にブルーサンダースさんのカムチェーンアイドラーも組んでますが、このふたつはお勧め。当店では多くの車両に組んでます。ステージ2カムを後からでも組めるような加工も先に行っています」
今後の使い方変更も可能性があるとして、イチからやり直すのではなくすぐ適応できるように配慮する。これも含め、長年のZ製作ノウハウにその都度の好パーツを採り入れ、これからを楽しむ。こうして完成したこの車両、オーナーは以前の車両よりも乗る機会をぐっと増やし、距離も伸ばしているという。そのことが、車両の出来の良さを物語っていると言えそうだ。
Detailed Description詳細説明
ロケットタイプのカウルはアメリカンドリームオリジナルのZ1/Z2カフェレーサーカウルキット、スクリーンはミラータイプを選択する。
カウルステー類はアルミで新作されている。マジカルレーシング・NK-1ミラー(タイプ2ヘッド)もこのカウルステーにマウントされる。
ハンドルはアクティブ・セパレートをアメリカンドリーム・プライドステムのトップブリッジ上側にセットし、スポーティなルックスとともに快適なライディングポジションも得ている。メーターは純正ベースでヨシムラ・プログレスメーターを追加、フロントマスターはゲイルスピードRMでクラッチホルダーもゲイルスピードを使っている。外装はZ1000A1/A2パターンでオリジナルペイントした。
エンジンはアニーズφ72mm鍛造ピストンによって1075ccの排気量を持たせ、シリンダースリーブもPAMS・ESTスリーブに打ち替え。ヘッド部はリフトの高いST-2カムも後加工なしですぐ組めるような加工も施されている。撮影時は純正カムでビッグバルブ/ヨシムラ・バルブスプリングを合わせ100psを発揮、パンチも中速もあって乗りやすい仕様(松田さん)となっている。クラッチハブもアニーズ、クランクもミッションも手が入る。発電系はPAMSジェネレーターコンバートキットTYPE-3、そのエンジン外観はセラコート・スミブラック(つや消し)を施工。
キャブレターはケーヒンFCRφ35mmをパワーフィルター仕様で使う。排気系はアメリカンドリームPRIDEチタンEXを組み合わせている。
フロントフォークはハイパープロAH1のゼファー1100用(φ43mm)で、フロントブレーキはラジアルマウントのブレンボCNC .484キャリパー+サンスター・プレミアムレーシングディスク。ホイールはMAGTAN JB4で3.50-17/6.00-17サイズを履いている。
リヤブレーキはブレンボCNC 2P 34キャリパー+サンスター・プレミアムレーシングだ。ブラックで統一感も高めている。
リヤショックはハイパープロ・ツインのDP-Sを装着。アルミ角型のスイングアームはアニーズ製。タンデムステップも別体で備えてある。