幅広い仕様を手がけてきたからこその高いまとまり
ホワイトで仕上げた純正外装とブラックベースの車体/エンジンまわりの対比が美しいZ1-R。ブルドックによるコンプリートカスタム、GT-M(Genuine Tuning Machine)として作られたものだ。このスタイルに積まれるエンジンの仕様はどんなものだろう。
「ピスタルレーシングのφ76mm鍛造ピストンで排気量は1200cc。カムはヨシムラ・ステージ1でマッコイ6速クロスミッションを組んでいます」とブルドック・和久井さん。まさにいつも通り、GT-M標準スペックという内容だ。だがよく考えてみればこれは、かつてあったような排気量やスペック上で何かが突出していればいい、それがカスタムらしいというのとは異なり、現代市販車のように普通に扱えるということでもある。
「夏場の油温も含めてまったく問題なく走ってもらえています」という和久井さんの言葉はそれを裏付けてくれる。そんな中にも新しい要素は加えられていて、この車両ではクランクケースの合わせボルトがすべて新作のクロモリボルトにされている。ネジピッチを正しく取るなどして、組んだ際の安心感もより高まっているのだ。
ところで冒頭に述べた美しい対比だが、どう構成されるのだろう。
「基本的にはお客さんの要望をきちんと聞いて反映していくことなんです」ということだが、そこにももうひとひねりがある。
「要望を噛み砕いて、整うようにするんです。私たちは本当に多くの仕様、ノーマルライクだったりセパレートハンドル、カウル装着……と多彩に手がけてきました。その中でバランスを整えることも繰り返して、ノウハウにしてきたんですよ」
1台を作る中でもそうした作業を繰り返し、ポジションもバランスもベストを取りつつバランスも探る。それが多くの車両で行われた上でのノウハウ。タイヤが進化してタイヤサイズが変化することにも車体姿勢やサスの動きを見直してベストでフィッティングするなど、機能面は当然、ルックスのバランスも見逃さない。だからこそ作り上げられる自然さも魅力なのだ。
Detailed Description詳細説明
純正に近いスタイルでという要望から外装類はZ1-R純正。カウルインナーパネルを兼ねるメーターパネルの中央にスタックST200エンジン回転計、手前左にモトガジェット・モトスコープミニ速度計とインジケーターランプ、右にヨシムラ・プログレスメーターを配置する。
クラッチは油圧駆動化し左右マスターシリンダーはブレンボRCSに換装、そのリザーバータンクもビキニカウル内側にスマートに収めてある。
ステップはマッコイで、後ろ過ぎない快適なポジションを築く。奥に見えるのはアウトボード&オフセットスプロケットで、適正なチェーンラインを確保するためのアイテムだ。
DOHC2バルブの空冷直4エンジンはピスタルレーシング製φ76mm鍛造ピストンによって排気量を[STD:1015→]1200ccに。カムシャフトはヨシムラ・ステージ1でミッションはマッコイ6速クロスと、GT-Mのメニューでしっかり構築される。クランクケースの合わせボルトもマッコイのクロモリを使っている。補機類はオイルクーラーを追加しシリンダーヘッドカバー/キャブレタートップカバーを結晶塗装している。
トップカバーを赤の結晶塗装仕上げしてカラーアクセントとしたキャブレターは、ヨシムラTMRφ36mmのファンネル仕様だ。
マッコイ・正立φ43mmステムキットでクランプされるフロントフォークはオーリンズRWU(φ[36→]43mm)。フロントブレーキはブレンボ・アキシャル P4 30/34キャリパー+サンスターディスク。車体色はホワイト、パーツはブラックを主体として落ち着いた印象を持たせ、アクセントカラーも効果的に配している。
リヤショックはオーリンズでスイングアームは7N01目の字断面材のマッコイ。リヤブレーキはブレンボP2 32キャリパー+サンスターディスクだ。排気系はフルチタン4-1(内部4-2-1)のWin MccoyフルエキゾーストでWin Mccoyサイレンサー・グラデーションを組み合わせた。
前後2.15-18から3.50-17/6.00-17へとホイールサイズも変更されているが自然な感じをキープするのも特徴で、そのホイールはオーナーの要望でゲイルスピードType-Sを履いている。これに組み合わされるタイヤはブリヂストンRS11で120/70ZR17・190/55ZR17サイズだ。