カフェレーサースタイルの中にタンデム要素も備える
艶のあるブラックを軸にすっきりまとめられた外装や各パーツに対し、シリンダーヘッドやキャブレターのトップカバーに施された赤い結晶塗装がアクセントとなっているZ1-R。ブルドックによるコンプリートカスタム、GT-M(Genuine Tuning Machine)の1台だ。Z1-R純正のカフェレーサースタイルをさらに洗練したような構えを持たせながら、それと相反するようなオーダーを昇華しているのも、特徴のひとつと言っていい。
「この車両はタンデム仕様というオーダーも盛り込んでいます。ただ二人乗りもできますよというのではなく、ちゃんとタンデムして走れるようにという作りにしています。タンデムステップも単に付けているというのでなく、きちんと使えるような位置設定にしています。これに合わせてマフラーもテールパイプを少し下げて、タンデムライダーの足が干渉しないように配慮しています。そのほかはいつも通りのGT-Mですよ」
ブルドック・和久井さんの言葉はいつも通りに切れが良い。ライダーのポジションは言うに及ばず、これならタンデムライダーも窮屈な思いをせずにすっと乗れる。それでいてコンプリートとしての基本の作り込みも妥協するところがない。
「エンジンはJ系ヘッドとJ系シリンダーにコンバートしていてヘッドバイパスオイルラインも設け、ピスタルレーシング鍛造ピストンで1200cc化しています。マッコイ・ギヤ式オイルポンプ、当社オリジナルの6速クロスミッションも組んでいます」
と、こちらも安定のGT-M最新定番メニュー。トルクがあって扱いやすい上に6速ミッションでその良さも使い勝手も増し、オイルポンプ交換で信頼性も十分に高めている。エンジンそのものも10mmアップしてマウントされていて、運動性も向上している。
カフェレーサースタイルであってもタンデムで楽しみたい。多くのライダーが考えつつもなかなか実現しにくい要素を、この車両はきっちりと作り込んでいる。このフレキシビリティも、GT-Mの持ち味と言っていいだろう。
Detailed Description詳細説明
ビキニカウルやアルミ製燃料タンクはマッコイ・ブランドで、カウル装着位置もバランスを取り直している。メーターはオリジナルカーボンパネルの中央にULTRAステッピングモーター式エンジン回転計を置き、その上に警告灯を配置。下側にヨシムラ・プログレスメーターやアクティブ・デジタルモニターV3 スピードを並べる。左右マスターはブレンボRCSでステムはマッコイ、その上側にハイパープロ・ステダンをセットしている。
フロント側ウインカーは純正のビキニカウルサイドからこのようにオイルクーラーサイドに移設。車体をすっきりさせつつ被視認性も高い。
リヤ側ウインカーは純正のテールカウルサイド(シートエンド近く)から、このようにナンバーホルダーサイドに。縦型タイプをスマートに配置する。
シートはGT-Mではおなじみマッコイ・スプリーム。ライダーの乗り心地や操縦性を高める一方で、ここではタンデム側の快適性も向上する。
エンジンはJ系ヘッド&シリンダーにコンバートした上で、ヘッドにオイルバイパスを追加。各部カバー類は結晶塗装される。排気量はピスタルレーシング鍛造ピストンで1200cc化し、ミッションはマッコイ6速クロス、オイルポンプもマッコイ・ギヤ式を組む。
キャブレターはFCRφ39mmのデュアルスタックファンネル仕様。ここに配されたゴールドとブレーキまわりのゴールドがいいアクセントになっている。
フロントフォークはナイトロンNTR43で、フロントブレーキはブレンボGP4 RXキャリパー+サンスター・プレミアムレーシングディスクだ。
リヤブレーキもブレンボCNC P2キャリパー+サンスター・プレミアムレーシングディスク。排気系はWin Mccoy Neoでテールパイプをわずかに低くセットしている。
スイングアームは7N01アルミ目の字断面材製のマッコイでリヤショックはナイトロン・ステルス。前後ホイールはマルケジーニのマグネシウム合金鍛造、M10Rで[STD:2.15-18→]3.50-17/6.00-17サイズを履く。タイヤはブリヂストンRS11でサイズは120/70ZR17・190/55ZR17だ。