新しい定番も取り込んで進化を止めないコンプリート
「ピスタルレーシング鍛造ピストンで1200cc化してカムはST-1。ヘッドバイパス加工も行って、ミッションはオリジナルの6速。ギヤ式のマッコイ対策オイルポンプも組んであります」
このようにエンジン仕様を教えてくれるブルドック・和久井さん。同店のコンプリートカスタム、GT-M(Genuine Tuning Machine)ではもはやおなじみの仕様と言っていい内容だが、ヘッドまわりも排気量も腰下も、どの部分のパーツや加工も設計段階からの吟味や試作後の入念なテストを得た上で採用され、定番化してきたと言っていい。最近ではGT-Mへの装着でも、パーツ単体としても人気だというオイルポンプがそれに当たる。純正では廃番となって久しい部分で、既に生産からは40〜50年が経過しているオイルポンプ。ここを純正に同じギヤ式で今の素材と技術によって新作。組み込むだけでもこれまでの劣化から新車状態に置き換わり、信頼性も向上。今組めば今後長く使えるという安心感も得られる。
一方で車体に目を向けると、きっちり仕立てられた17インチ仕様に、きれいなブルーの火の玉パターンやセパレートハンドルとなっている点に目を引かれる。ただ、少しだけ様子が違うようだ。
「この車両では、リヤに200/55サイズのタイヤを履いています。これにともなって、サスの長さやディメンションを整えているんです。今まで標準にしてきた190/50サイズよりもタイヤが大径になる分、ショックを短く設定したり、車高を合わせたりとセッティングし、データも取っています。
今後は新型車で200幅、55扁平を履くモデルが増えてきて、タイヤのメインサイズもそちらに移行する。すると今まで主流だった190幅のラインナップも減ってきます。
ただサイズが変わるだけでなくて、最新のタイヤは進化していく市販モデルに合わせてさまざまな改良も行われて出てくるわけですから、最良と言っていいでしょう。それを履くのが新しい標準=定番になる。この車両ではそんな変化への適応も行っているんです」
進化するパーツ(今回はタイヤ)に合わせてセッティングし、本体も進化する。こうしてGT-Mにはまた、新しい定番が生まれる。そうして、常に最新という仕様も維持されるのだ。
Detailed Description詳細説明
左右マスターシリンダーはブレンボRCSでミラーはマジカルレーシング・NK-1ミラーのタイプ1ヘッド。ウインカーは小型タイプを選択する。
ステムキットはマッコイで軽量ライトウェイトレーシングタイプトップブリッジ仕様だ。メーターはノーマルベースでステアリングステムのトップ部にヨシムラ・プログレスメーターを追加、ハンドルはセパレート。マスターシリンダーのリザーバータンクはクリアタイプをチョイス。
シートはホールド性や足着き性を高めると同時に車両の操作性も高めてくれるマッコイ・スプリーム。快適性ももちろん高めてくれる。
燃料タンクからテールカウルまで、メタリックを含んだブルーとブラックによって、すっきりかつ深みのある印象で火の玉パターンでペイントした。
丸型ヘッドのエンジンはピスタルレーシング製鍛造ピストンにより、GT-Mでも採用例の増えた1200cc仕様に。トルクがあり扱いやすい特性としている。カムはST-1、シリンダーヘッドにはオイルバイパス加工も行っている。ミッションはブルドックオリジナルの[STD:5→]6速が組まれ、アウトボード&オフセットスプロケットでチェーンラインも適正化し、オイルポンプもギヤ式のマッコイを組んでいる。
キャブレターはヨシムラTMR-MJNのφ36mmをヨシムラ・デュアルスタックファンネル仕様で装着する。この組み合わせもGT-Mの定番的と言えるものだ。
フロントフォークはオーリンズRWU(φ43mm)でフロントブレーキはイギリスHEL Performanceラジアルマウントキャリパー・ブラック+マッコイ×サンスターコラボφ320mmディスク。前後ホイールはアルミ鍛造のラヴォランテ・レジェンダでサイズは3.50-17/6.00-17を履く。
リヤブレーキはHEL リヤブレーキキャリパー 84mm+マッコイ×サンスターディスク。インナーはフロントともカラーはブラックを選択。
リヤショックもオーリンズで。リヤ200/55タイヤに合わせた設定を施している。スイングアームは高強度の7N01アルミ押し出し材による5角目の字断面ハンドメイドのマッコイで、ステップもマッコイ・バックステップ。ドライブチェーンはRKの520サイズ/ブラックを装着する。