走る曲がる止まるを高めるバージョンアップ・コンプリート
マットブラックの車体色。その各所に見えるパーツがアクセントカラーとなっているスズキGSX-R1000。ベースはL2=2012年型だ。手を入れたのはテクニカルガレージRUN。オーリンズショックやブレンボ+サンスターのブレーキ、マルケジーニホイールといったパーツ使いや仕立てからは、同店で手がけるコンプリートカスタム“バージョンアップ・コンプリート”ということが分かる。
「その通りで、1年半ほど前(※撮影は’21年初頭)に作ったものです。オーナーさんはとてもよく走られる方で、走って速い方なんです。それで車両がノーマルのままだと車両の能力を使い切って、危ないと思えるシーンすらある。それだけの腕があるんですね。そこでバージョンアップを図ったわけです」と、TG-RUNの杉本さん。それならば車両とオーナーのバックグラウンドも、各部に使われたパーツやブランドの理由も明確だ。
「ウチではいつも同じブランドで同じ箇所を換えていると思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも、オーナーさんの使い方を見ていって、どんな能力をバイクに加えたらいいか、どんなパッケージにするかを考えると、必然的という感じで使うブランドは決まるんです。
ノーマルにない、他メーカー製品にもない何か。その“何か”は、数値としては出てこなくても、操作感=タッチだったり作動性だったりと、明らかな感覚としてライダー、そして私たち作り手にも伝わってくるんです。
このL2は新車で買っていただいて、長く乗り続けていく中で、先述のように能力を底上げするべく私たちも試乗させていただいて方向性を吟味し、手を入れていきました。オーダーメイドで、オーナーさんの意志に沿った能力の底上げをしているんです」
ただパーツを付けるというだけなら、新型に乗り換えても済む話かもしれない。実際にそれだけの費用もかかっている。でも、好きな型式の車両で新型を超えるように、またオーナーが能力を引き出せるように作り込みをする。その点に満足と、安心・安全がある。バージョンアップコンプリートは、そんなパッケージなのだ。
Detailed Description詳細説明
ステアリングステムはTG-RUNオリジナルのアルミ削り出しに換装し、ステップやシートなどの操作系パーツを合わせた総合力でしっかりした操作性を作り出す。
ハンドルバーはノーマルでフロントマスターシリンダーは鍛造ボディのブレンボレーシング、左右レバーはZETAフライトレバーに換装した。
シートはTG-RUNスポーツ&コンフォートシートで乗り心地や操作性を向上。シングルシートカバーはGSX-R1000の純正オプション。フェンダーレス化も行う。
シンプルながら確実な操作性と剛性をライダーにフィードバックするライディングステップキットは、TG-RUNオリジナルを装着する。
999ccの水冷直4エンジンやアルミツインスパーのフレームはGSX-R1000 L2のノーマルで、上下2段のラジエーターにはそれぞれにコアガードを追加。このあたりも使用に応じた変更だ。マフラーはヨシムラ・フルチタンエキゾーストのR-11を装着している。
フロントフォークはオーリンズ倒立のFGRT205で、フロントフェンダー/リヤフェンダーはマジカルレーシング・カーボン。フロントブレーキはブレンボ・P4 30/34ラジアルキャリパー+サンスター・ワークスエキスパンドディスク。各部にベータチタニウム・64チタンボルトを使う。
リヤブレーキはブレンボCNC P2 34キャリパーをTG-RUNオリジナルサポートでセットしサンスター・ワークスエキスパンドディスクと組み合わせる。
スイングアームはL2ノーマルでリンクをヨシムラに変更、リヤショックはオーリンズTTX。ホイールはマルケジーニのアルミ鍛造M7RSを履く。