オリジナルにこだわらないベースとしてのLTDをカスタム
「Z1からMk.llといったモデルは、もうビンテージの域に入って来てるんですよ」。クラスフォーの横田さんは、もう10数年前からそう言い続けてきた。無理もない。1980年代終盤に起こった、Zを中心としたカスタムブームからももう30数年。長らく豊富だったように思えたベース車は減少どころか枯渇、高騰している。
そこでこの車両だが、まだ今よりも状況は良かったが、ZやMk.llの価格が上がり始めた頃、10年近く前に作られたものだ。
「Z系を買おうと予算を組んでも車両をきちんとした状態に直すまででいっぱいいっぱいとなってきたので、Zオリジナルにはこだわらない方に、カスタムして楽しめる余地を作りたいなとデモ車を作ったんです。ベースはLTDですけどね」と、当時の横田さんの言葉。
ここまでに記してきたように、LTDのノーマルフロント19/リヤ16インチから前後18インチ化するのはそれほど難しくない。しかもLTDのフレームはZ〜Mk.llと少し違う程度(見方によっては適度な補強がある上に、重過ぎないという良さがある)。外装もLTDにZやMk.llをポン付けできるとは行かないが、ステーを作るか、各種のコンバートキットによって載せ替えられる。
「Z1やMk.llそのものではなくても、その形や雰囲気、走りを楽しみたい。LTDをベースにしてZを楽しむというのも、大いにアリです。この車両ではブレーキまわりもフロントキャリパー以外はLTD、スイングアームもアメリカのマッキントッシュ製でアルミ品を新作してみました。こうした作り方もできるという例ですよ」
Zの形を、走りを楽しみたい。その工夫は、Zの兄弟機と言えるLTDなどの存在によって、まだ可能なようだ。
Detailed Description詳細説明
マイル表示の速度計などメーターまわりは基本的にZ1000LTDのノーマルで、ハンドルバーはクラスフォー・GPツーリングバーをセットする。
フレームはLTDで、Mk.ll外装装着にあたって現物合わせでマウントブラケット加工やリヤショックのレイダウン加工などが行われている。
エンジンはMk.Ⅱに同じ角ヘッドの'78KZ1000LTDをベースにバンス&ハインズφ[70→]72mmピストンで1075cc化/圧縮比11.5:1とし、WEB365カムをセット。キャブレターホルダーにZ1000J用を使うためポートを加工、吸排気はCRφ33mm+バンス&ハインズメガホンとした。
ステップはSato Racing。バー位置はやや前のLTD(写真のペダル部のあたり)から、Z1〜Mk.Ⅱ同様の位置へ無理なく移されている。
前後ホイールはゲイルスピードTYPE-Nで2.50-18/4.00-18サイズ。タイヤはブリヂストンBT-45Vで110/80-18・150/70-18サイズを履く。
リヤショックはオーリンズで、スイングアームはMcIntosh製アルミのロアスタビライザー&アクスルカバー付きを装着した。