驚きの出会いで2代目に移行された車体
1970年代末の現役ほぼそのままのルックスが格好良く見える、スズキGS1000。車両の製作者にしてオーナーは、着せ替えエキゾーストコンセプトほか、アフターマーケット用排気系製作で知られるスーパーバイクの田代さん。マフラーは4-4スタイルの4本出しが装着されている。
「もう長いこと集合管を作って、集合の音ばっかり聞いてきたから、ちょっと飽きて(笑)作ってみたんです。アメリカの映像でCBX(1000)の6-6マフラーというのを見つけて、その音が良くて、じゃあって自分のGSにと思ったんです。純正の4-2-4のような集合や排気干渉はなくて、4本独立。4本とも管長もインナーパンチングの長さも違ってて、それぞれ低回転から高回転と、音のいい範囲も違うんですよ」と当の田代さん。
「それで乗ってみると5000回転くらいまではバラバラ……という排気音ですが、6000回転くらいからはその音がだんだんハモってきて、いい音になります。驚いたのは、走っている時に左右で反射物(建物等)が違うとそれが反映されて音が返ってくること。まっすぐ走ってても音の違いが楽しくなります。
このマフラー、自分用に試しにワンオフしたつもりでしたが、見た人から何本かオーダーが入ったので、作って納品しました。スチール製なんですが、排気管1本が3つのパーツでできていて、それぞれにめっき加工する(単純計算で12個)んですね。それで手間もかかるので、お客さんには価格も少し高くなって30万円くらいになるですよとお話して、それを納得していただいてのことです。
かつてと異なって、今はマフラーも音量より音質という方が多数を占めるようになりました。このマフラーもスチールの音質や、めっきの質感に共感してもらえたのかなと思います」(田代さん)
ところでこの車両にはもうひとつ、驚きの仕様があった。田代さんがレーシングライダー(国際A級で全日本スーパーバイクや鈴鹿8耐にも参戦)時代に付けていたこだわりのゼッケン、#83(もっと遡れば#83はAMAスーパーバイクでヨシムラGS750/944を走らせていたスティーブ・マクラフリンのナンバーでもある)に同じ83のフレーム&エンジン番号。
「そんな車両にたまたま出会えたので購入して、先代の僕のGSからそっくり各部を載せ替えたんです」と。
めっきの鉄リムや当時風にまとめたブレーキ、当時感あるペイントは、スーパーバイク/田代さんが数年前から提案してきたオールドスタイルコンセプトによるもの。今カスタムやレストア車を作ると勝手にきれいに仕上がってしまい、そこから気負いも出てしまうから、あえて乗りこんだ風に見えるように作るという(内容自体は新品で心配ないもの)。4-4のマフラーとともに車両自体のこうした仕様も、魅力あるものとなっている。
Detailed Description詳細説明
現在の車両は打刻の末尾が「83」の車体を2年ほど前に見つけ、そちらに内容を全移行した2代目。メーターはマイル表示もあるUS仕様だ。
空冷DOHC2バルブ直列4気筒のエンジンとキャブレターまわり、またフレームまわりはGS1000のノーマル。赤×白の外装もノーマル。フルレストアはされているのだが今出来たてというような感覚を抑え、使い込んだ上できれいな車両という出来を見せる。これは同店の「オールドスタイルコンセプト」による仕上げ。塗装やめっきパーツ類もそのメニューで仕上げている。気になれば1度問い合わせを。
深いフェンダーも美しく仕上がるフロントまわり。フロントブレーキはシングルディスクとしている。AP・CP2696キャリパーをリーディングマウントし、サンスター・プレミアムレーシングディスク(HOLE)と組み合わせ、ブレーキラインはステンレスメッシュに置換。
フロント/サイド/リヤといずれも独特のルックスを見せるマフラーはスーパーバイクによるワンオフ品で、スチール+めっきの4-4。マフラーはエンド部が揃えられるが、管長は4本とも異なっている。本文のように音質の良さやルックスの良さで、数本のオーダーが入ったとのことだ。ほかにもスーパーバイクではチタンやスチールなどさまざまなマフラーやサイレンサーを製作/販売している。
フロント19/リヤ18インチのホイールはスチールリムにめっき加工を施したもの。リヤショックはMUPO製。
ステップまわりはノーマルだがステップラバーなどは新品に変更されている。クランクケース等も磨きあげて、めっきマフラーが映える。
クランクケース右上のあるエンジン打刻の末尾が83、これを積んでいたフレームの番号末尾も83。1台でこの組み合わせを見つけた。#83はスーパーバイク・田代さんが現役レーサー時代のゼッケン(GS750/944でAMAスーパーバイクを走ったマクラフリンも同ゼッケン)でYZF750SP等にも装着した。マフラーだけでなく、こうしたエピソードもこの車両の注目ポイントと言っていい。