キュッと引き締まって速い進化形ニンジャ
「現代車両とニンジャルックスの融合」というテーマに早くからアプローチしてきたNEN。その代表・田中さんがコンプリート車両として製作してきたのが“GPZ-10R”だ。
その名の通りにカワサキ・スーパースポーツのZX-10RにGPZ900Rを合わせるという独自手法を網だし、2005年にはGPZ900Rの10Rエンジン搭載車を送り出す。その後も徐々に数を重ねつつ手法を定量化し、’19年秋に完成したこの車両で10台目となった。
両車の融合については、エンジンがZX-10Rで、足まわりもZX-10R用前後17インチで構成。そう聞くと、10Rを用意して外装をGPZ-Rにした車両かとも考えてしまうが、そうではない。メインフレームはGPZ-Rで、これを加工してZX-10Rエンジンが載るように加工している。その搭載位置や載せ方は田中さんが手探りでベスト位置を探してたどり着いたものだ。
燃料供給もキャブレターからフューエルインジェクションになるからとタンク内に燃料ポンプ/リターンを追加、外装類はオリジナルでカーボンによって製作し、このルックスを得ているというのがまた凄い。
元々は「300km/h出るニンジャ」の製作がコンセプトだったという、このGPZ-10R。走る、止まる、曲がるも強化されて楽しめる1台(田中さん)とのこと。その一方で整備性も良くなるなどのメリットを得ているという。少し考えてみると、ニンジャ登場の1984年に、技術だけ現代のものがあったとしたら、こんなニンジャが生まれていたという歴史があったのでは……。そんなことさえ思わせてくれるのだ。
Detailed Description詳細説明
外装形状を見る限りは、GPZ900Rのカスタム。だが、内部はスーパースポーツというわけだ。200kg前後という車重に200psという、フルカスタムの性能を効果的に得ているのがこのGPZ-10Rと言っていい。スクリーンはMRA製。
ZX-10Rステムにバーハンドルを装着するため、アッパーブラケットを製作している。ハンドルバーはハリケーン。メーターはZX-10Rで、フロントマスターはブレンボ。左右レバーはZETAフライトパーチを使う。
燃料タンクはGPZ-RにFI用燃料ポンプの追加を行っている。NENではこのようなワンオフ加工も、個別に依頼できる。
メインフレームはGPZ900Rのダイヤモンドタイプを加工し、オリジナルのサブフレームを追加。そのサブフレーム前方にZX-10Rのシリンダーヘッド部マウントを連結する設定として、エンジン搭載問題をクリアしている。
ZX-10Rのエンジン自体がスリムなため、サブフレームがあることで逆に視覚バランスも取れている。FIのスロットルボディも見える。
この車両には'09年型エンジンを搭載。排気系はZX-10Rをベースにしつつ、サイレンサーなどはNENがオリジナルで製作、フィッティングした。
ステップはGPZ900R用社外品で、この個体の足まわりは、KYB倒立フォーク/スイングアーム/リンク/3.50-17・6.00-17ホイールなどZX-10R流用で構成している。