現代4スト250ccスポーツ的作りの2気筒レーサー
32年も前の1988年型とは思えない現役感でまとめられたこの車両。VJ21A型RGV250Γ…だが、どうも排気系が異なる。2ストロークの排気チャンバーでなく、4スト用マフラーが覗いているのだ。カウルを外してみると、確かにエンジンも違う…。
「この車両はその通り、スズキRGV250Γに、同じ’88年型ですが4ストエンジン、カワサキGPX250R-Ⅱの並列2気筒を積んだものです。オーナーの橋本さんが、ずっとそのままにしていた車両を起こして作り始めて、そのうちレースにでも出てみようかと2016年からツインリンクもてぎの“もて耐”にコアーズレーシングさんを通じて参戦したんです。その後、’19年から当店が作業のお手伝いをするようになったものです。50歳過ぎた方たちが、若かった頃に現役で乗ってた当時のバイクをいじってひと花咲かせてみようかという感じで楽しんでられますよ」と、ベアリアスの三好さん。
ベアリアスは自社内で各種パーツを削り出しや旋盤、NCマシニングでワンオフ製作したり追加工したりして合わせる。またキャブレターや車体全般のセットアップなど、バイクを下支えするような作業を主業務としている。もちろんカスタム車製作も行うが、この車両では各部調整/追加工やセットアップが中心のようだ。
「今まで使ってきた上で出てきた加工箇所、あるいは作る上でちょっと合わなかったりしたような箇所を加工修正する感じです。エンジンとフレームが別メーカーで、しかも4ストエンジン+2スト用の車体。ですからワイヤ類を初めとした可動部分も、もう少しこうすると動きがスムーズになるかなとか、細かいところが多いんです。でもそんなところに手を入れて調整していくことで、より楽しく走れればいいかなと」(三好さん)
。
レーサーではあるけれどカスタムらしいマインドのある車両。三好さん&ベアリアスという心強い味方も得ての活躍も楽しみに思える。
Detailed Description詳細説明
ハンドルバーは'90~'95年型V-Γ(VJ22A)用。メーターはZXR750、AEM製A/Fメーター等を追加している。ハンドルスイッチはベアリアス製だ。
シートカウルはΓでなくヤマハの市販レーサーTZ250用で、シート高はスポンジを重ね貼りして調整。
GPX250Rのエンジンが載るようにRGV250Γのアルミツインスパーフレーム側は加工。そのエンジンはノーマルピストン/カムながらオーバーホールとバルブタイミング変更、クランクメタル合わせなどを行っている。キャブレターはTMRφ32mm。ハーネス類は新作している。またラジエーターまわりを主として冷却ラインも加工製作した。
ステップバーとシフトペダルはバトルファクトリー製で、シフトロッドはベアリアスで新作。こうした加工で作動性の向上を図っているのだ。
ドライブチェーンはRKでリヤスプロケットもベアリアスで新作。細かい製作パーツも各部に見られるが、こうした部分がきちんと揃うことでバイクはよくなるという視点も三好さんは持っている。
ピボット奥に見えるリヤショックはアプリリアRS250用をオーバーホールしてリセッティング、リヤスプリングも新作品だ。クラッチワイヤホルダも新作パーツ。
フロントフォークはVJ22A(SP)用をオーバーホールして、フォークスプリングと内部カラーを製作した上でセッティング。ステムもVJ22A用だ。フロントブレーキはVJ21A用キャリパーにRC30用マスターで、ディスクローターはブラケットを新作してサンスターのZ900RS用をマウントしている。
特徴的な湾曲タイプスイングアームもリンクまわりともにVJ22A用だ。ただ、ここから覗くのが排気チャンバー('88RGV250Γでは右2本出し)ではなく4スト用マフラーなのが、この車両の大きな特徴だろう。レーシーなイメージも醸し出す中空3本スポークのホイールもVJ22A用で3.00-17/4.50-17サイズ。オイル受けアンダーカウルも新作だ。