好きなV4を今でも使いやすくとカスタム
「このホンダVF750F(RC15)は私の個人所有車で、ツーリングに行ったり普段乗ったりもするんです」。こう車両を説明してくれるのは、パワーコンプレックスの代表・鈴木さん。同社は現在開発中のサクラスピード・砂型鋳造18インチホイールを初めとしたバイクパーツの扱い元として、またバイクの輸入販売元として活動している。そんな業務の中で車両も整備し、仕立てるのだから、こうしたカスタム化も難しくない。
「元々17インチになっていた車両でしたけど、私自身が’70年代後半~’80年代前半の車両、そしてAMAスーパーバイクが好きだったもので、いきおい当時の仕様に寄っていったんです。VFR750(RC24)も好きでそっちも所有して手を入れていますけど、RC15の方がエンジンも見えるむき出しの良さも持っていて、より好きかも」
そう語る鈴木さん。好き者なら一度は通るだろうAMAの’83年開幕戦、デイトナ100でのフレディ・スペンサー車をモチーフに、かなりの雰囲気を作り出している。足まわりもクイックリリースフォークをCB1000SF=SC30用で表現、ホイールもダイマグ3本スポークで作りつつ、実用的な17インチを選択。
「ブレーキキャリパーもバッテン(当時のニッシン製)にしたかったんですけど、HRCのは対向ピストン。市販品は片押ししかないのと、TRACまわりの干渉もあって見送りました」(鈴木さん)というように、モチーフに寄せる部分も検討したが、ここでは機能面を重視したというわけだ。この辺の柔軟さも逆に好ましく思えてくる。ほかにはこだわりのワンオフマフラーや外装にアップハンドルと、分かる人ならではの作りも見える。
同店ではこのRC15以外にもRC24/30も得意で、カスタムの受付も行うとのこと。前述のサクラスピード・ホイールも含めて、要注目と言えそうだ。
Detailed Description詳細説明
ハンドルはバータイプに変更するが、そのホルダーにHRCロゴ入り(HRC製トライアル車純正)を使うVFカスタムの定番も押さえている。
タンク上にはスペンサーが'82~'84年のAMAスーパーバイク開幕戦・デイトナ100(デイトナ200は'84年まではTTF-1規定の別レースだった)を3連覇(その後'85年まで4連覇。'82年CB750F、'83~'85年VF750F)した記念のフリーハンドレタリングもレプリカされる。
ベースプレートを角型スチールフレームとツライチに収めるようにしてホールド性を高めたステップも、現車を再現した形状にした。
ノーマルで上下2枚タイプのラジエーターは、シュラウドも含めてスペンサー車同様の大型に。センターには飛び石防止プレートも設置している。
鈴木さんが「むき出しの状態もいい」と話すエンジンは90度V4/748ccのノーマル、ダブルクレードルのフレームも同様だ。排気系は集合部までが鉄、そこからテールパイプがステンレス、サイレンサーがアルミで左右出しという凝った作りで、スペンサー車仕様としているのだ。
フロントフォークはSC30用のφ43mmで、ブレーキはブレンボ4Pキャリパー+サンスター・カスタムディスクのインナーは特注ブラック。
リヤブレーキはブレンボ2ピストンキャリパーと'88NSR250R用ディスクにオリジナルキャリパーサポート&トルクロッドの組み合わせ。
ホイールはダイマグ3.50-17/5.50-17でスイングアームはノーマル、リヤショックはナイトロンをチョイス。排気系は左右出しとされている。