きちんと作れば旧車も軽く感じられるようになる
スズキブルー×白に少し大きめのビキニカウルをまとったこの車両、いわゆる“クーリーレプリカ”のスズキGS1000Sだ。手がけたのはブライトロジック。同店ではこのところGS1000/750にも力を入れ、フルレストア車やライトカスタム車を多く製作・販売してきている。
この車両もそうした一連のGS同様にレストア&フルオーバーホールを受けたもの。ホイールも星型キャストでサイズもフロント19/リヤ18インチのノーマルのままながら、現代の社外ホイールかと見まがうほどのきれいさだし、同様に細部まで行き届いた配慮からは、下手なフルカスタムよりも強めの存在感さえ漂ってくる。
「同世代のZやちょっと後のカタナ(GSX1100S)なんかでもそうですけど、こうした旧車でもきちんと作れば軽い感じで使えますし、今も十分乗れるんですよ」とは同店代表・竹中さんの話だが、そこには相応の手間もかかっている。フレームがきちんとまっすぐかどうか、ステムベアリングやホイールベアリングは新品か、ちゃんとメンテナンスされているか。可動部の摩耗はないか。消耗品が消耗しきっていないか……。
そうした、一見普通の作業に見えること。そこがきちんとされていることこそが、まず重要。その上でこの車両ではブレーキラインがステンレスメッシュに、フロントマスターがブレンボラジアルに、リヤショックがオーリンズにと、必要な箇所には信頼できるパーツ群が組まれて作動の精度も高めるようにされている。
「さっき言ったように、これで十分なんですけど、もうちょっと手を入れるともっと良くなるんです」という竹中さんのノウハウからキャブレターが後の油冷車用負圧タイプ(とても扱いやすくなるとのこと)に換わったり、フロントフォークをカタナ用にしてGSノーマルで出てくるブレーキング時の切れ込みを防いだりという変更も行われ、軽さをさらに生かすように仕立てられている。
単に当時そのままでなく、今なら多様な手法を注ぎ込むことでもっと楽しめる。旧車を今乗るならの見本にしたい1台だ。
Detailed Description詳細説明
メーターはノーマルレストアで、ハンドルバーは純正品よりやや低めのものに換装。ビキニカウルはABS製を装着する。フロントブレーキ側マスターシリンダーはブレンボ・ラジアルでクラッチホルダーはコーケン、カーボンボディのミラーはマジカルレーシング・TYPE-5ヘッドを装着。
燃料タンクには当時のAMAスーパーバイクでこの色のヨシムラGS1000Sを駆った本人、ウエス・クーリーのサインも見える。
ダブルタイプのシートはノーマル形状/表皮だがインナーから作り直し、ノーマルシートの身体が前に滑る感じも抑えているという。
エンジンも内部フルオーバーホールがされ、キャブレターはノーマルの強制開閉から現代の負圧タイプ(ケーヒンCVK)をパワーフィルター仕様で使う。この負圧キャブのマッチングがかなりいいとのことで、同店では多くのGSで使ってきた。
排気系はブライトロジックオリジナルのスチールエキパイ+アルミサイレンサーに。ここを軽くすることで車両も軽く感じられる。
片押しのフロントキャリパーは純正パーツをレストアしたもので、ブレーキラインはステンレスメッシュとして制動性を高める。フロントフォークはサイズが同じφ37mmながらGSX1100Sカタナ用で、GSに使うとフロントが少し上がって車体とのマッチングがいいとのことだ。
丸パイプのスイングアームもノーマルレストア品で、チェーンはRKで530サイズにコンバート。スプロケットはサンスター製をチョイスした。
リヤショックにはオーリンズを装着。1.85-19/2.15-18の星型キャストホイールもGS1000Sのノーマルをレストアし、新品以上に仕立てる。
ステップまわりもノーマルで、ホイールやステムのベアリング等は新品に交換。ボルト類はすべてヘキサゴンヘッドで統一した点にも注目したい。