「走りも見た目もドキドキするような車両」への回答
「今考えられる究極のカワサキZRXを見せてほしい」と言われたらこの車両を挙げる……。
そう思わせるほどの作り込みをTGナカガワが行ったZRX1200Rだ。特徴的な耐久仕様ビキニカウルをマウントする車体は鈴鹿8耐を走ったノジマレーサーをベースとする、リヤをモノサス仕様としたノジマ製NJ1。そしてここに積まれるエンジンがまた凄い。内容を聞くと……。
「オーナーさんはいつも走りも見た目もドキドキするような1台を、とリクエストしてくださるんです。10年ほど前には180ps超仕様、その次にも同様のエンジンをノジマNJ2フレームに積みましたが、今回は両者ともさらにスープアップ。
エンジンはφ81mmピストン+JAMビッグシリンダーキットで1224cc化して圧縮比[純正値:10.0→]13.0となるまで1.3mm面研。燃焼室もマシニングセンタで再加工し、TGNビッグバルブはロッカーアームのレバー比も維持しつつショートステム化して組み、シートリングも奥に埋めるようにベリリウムカッパー製を入れてます。これは面研分の変化に対応したもので、実圧縮に近い数値を先に計算した上で加工してます。
クランクとカム軸はラッピング加工。ほかの部分、カムホルダーにバルブステム、オイルポンプにピストンやバルブ、ロッカーシャフトにカムスプロケット、カムチェーン、ミッションはすべて当社のR-SHOT加工(樹脂メディアを対象表面に打ち込んで強度を高め油膜保持性を高める処理)。メタルほかもWPC処理しています。
その他組み立てはいつも通りの弊社メニューですが、今回はどうフリクションを減らすかに腐心しました。生まれる力はある程度分かりますから、それをいかにロスしないように後軸に伝えてやるか。点火もHIRの専用マップにダイレクトイグニッションにと、できることのすべてを注ぎ込んでやった感じですが、それで後軸203ps出せました。200psという数値にはオーナーさんの強い思いがあったので、まずはピークを達成することが大前提でした。過渡特性はこれからしっかり詰めてあげられると思いますし、耐久性も確保してますから、今回やった作業内容もこれからのZRX/GPZ-R系のTGNエンジンメニューに生かせます」と、TGN中川さん。
これなら文句なしの究極! また一歩、ZRXは高みに登ったようだ。
Detailed Description詳細説明
エーテック製耐久仕様(一眼)ビキニカウルを、ステーを介してフレームにマウントしている。燃料タンクはビーター製アルミを装着。
TGN製カーボンメーターパネルの中央にスタックメーターが置か、れ車速やエンジン回転数等をモニター。油温やギヤ段位、タイヤ温度なども追加メーターでモニタリングされる。左右マスターシリンダーはともにゲイルスピードのエラボレート。ハンドルはZRX1100純正をセットする。
シングルシートタイプのシートはTGナカガワオリジナルで、ホールド性や足の捌き良さ、サイドカバーラインとのつながりに配慮したもの。
リヤウインカーはアクティブ製で、ナンバープレートホルダー左右にマウントできるもの。外装ペイントも含め、細部まで高質な手が入る。
エンジンはφ[純正値:79→]81mmヴォスナーピストン×59.4mmストローク(キャレロコンロッド)による1224cc。オイルをカムまわりに直接噴射するTGN・DOS-Rなども装着。点火もTGNオリジナルのDIS(ダイレクト・イグニッション・システム)に、ミッションも5→6速化するなど、TGNフルメニューで組み上げられた。
フレームは右ダウンチューブも一体化しモノサスとしたノジマNJ1。「ループも詰めてあってエンジン搭載は知恵の輪でした」と中川さんは言う。
キャブレターはFCRφ41mmで、マフラーはノジマでのワンオフによるSCチタン。冷却系はTGNセットアップビッグラジエーター&オイルクーラーを装着している。
フロントフォークはZZR1400用オーリンズ倒立をフィッティングし、前後ホイールはマグ鍛造品のゲイルスピードType-GP1Sで、サイズは3.50-17/6.00-17を履く。
ノジマNJ1フレームに合わせて、そのNJ専用品となるウイリー目の字断面アルミスイングアームとリンク、オーリンズ・モノサスを装備している。
ブレーキも前後ブレンボ製キャリパー+サンスターディスクの組み合わせ。エンジンパワーをきっちり受け止めて走れるような構成を取るのも、同車の特徴となっている。