TOT参戦を始めてからの2年間は、なかなか1分10秒が切れなかった僕+ヤマハTZR250だが、ここ最近はタイムがグングン詰まってきて、なんと今回の決勝レースでは、ラストラップで自己ベストとなる1分7秒071をマークできた。この調子でどんどん行けば、近いうちに6秒台に突入しそうだし、そうすれば念願の表彰台が、ぼちぼち視野に入って来るかもしれない?!
この原稿を書いているのは、7度目のTOT参戦から4日が経過した2018年の11月14日。約1年とちょっと前のこと。この時点で僕の頭と身体には、ZERO-4の決勝レースで感じた高揚がまだ残っている。これはいわゆる、興奮冷めやらぬというヤツなのか。改めて振り返ると、あんなにもライディング中にエキサイトしたのは、僕のバイク人生では初だった。
もっともエキサイトしすぎた結果として、決勝後半で黄旗を無視してしまったことは、しっかり反省するべきだろう。でも今回のTOTで数多くのNSRと繰り広げた熾烈なバトルは(スタートからゴールまで、サイド・バイ・サイドにしてテール・トゥ・ノーズな印象だった)、僕にとっては忘れられない思い出になりそうだ。
さて、初っ端から感情的な文章を記してしまったが、’18年秋のTOTにおける僕+TZRの戦績は、予選:19位、決勝:23位(黄旗無視で30秒が加算された結果でゴール時は17位)で、順位は今までと大差なかった。ただし、レースが楽しめた上に、最終ラップで自己ベストを1秒以上短縮する、1分7秒071がマークできたことは、これまでの戦績を考えれば大躍進だ。そしてその大躍進の根っこには、以下の3つの要素があった。
まず、ひとつめの要素は、決勝のスターティンググリッドで、クオリティーワークスの山下さんがかけてくれた「まさかもう、満足しているんじゃないでしょうね? ここからが本番ですよ」という言葉である。実はこの時の僕は、公式記録で初めて8秒を切れたことにホッとしてしまい、決勝は無難に完走できれば……と思っていた。だが、山下さんのその言葉が僕の戦闘意欲をかきたてた。逆にそれがなかったら、僕はいつものように決勝の序盤で、後続に飲み込まれていたのかもしれない。
続くふたつ目の要素は、前後サスのセッティングが、かなりいい感触で決まって来たこと。と言っても、僕がそれを実感したのはレース後だったのだけれど、他車とのバトル中に普段とは異なるラインが臆することなく走れ、前走車をコーナー進入でパスする際に思い切ってインに飛び込めたという事実は、前後サスのセッティングが正しい方向に向かっている証明だろう。もちろん、そうした足まわりを構築できたのは、テクニクス/ナイトロンのおかげである。
そして3つ目の要素はといえば……。チーム員として積極的に仕事をこなしてくれた、旧ロードライダー編集部のコイちゃんの存在だ。少し前まで一進一退を繰り返していた僕+TZRの戦績は、コイちゃんがチームに加わった’17年の秋以降はずっと上り調子で、今回のTOTでもその感触は維持されていた。と言うことは、コイちゃんは僕にとって勝利の女神なのか?! まあ、それはさておき、コイちゃんや山下さん、そしてナイトロン/テクニクスのスタッフの皆さんを筆頭とする、多くの人の協力を抜きにして、現在の僕+TZRのレース活動は語れないのである。
決勝レースの序盤で4台のNSRに囲まれながら、第1ヘアピンを目指しているところ。近年のZERO-4クラスではNSR勢が圧倒的な多数派で、今回は21台がエントリーしていた。全参加台数は39台だったから、なんと半分以上がNSRだったというわけである。
2018年5月のSATSUKIステージと同じく、今回のKAGURADUKIステージには、僕も含めて6台のパラツインTZRが参加した。最上位は7位でフィニッシュした♯60辰巳選手で、2度目の参戦となった♯93樋口選手は、前回の公式ベストタイムを3秒以上も短縮する1分8秒788をマークしていた。♯2下田選手、♯10小川選手、♯69小沼選手(3MA)は、すでにZERO-4クラスの常連になっているライダーたち。