ここ最近はサーキットで着実なレベルアップを実現している僕とヤマハTZR250だが、いざ、本番のTOTでは2回連続でスタートを失敗する体たらく……。この問題を解消するべく、今回は福島スカイパークで開催されるドラッグレース、JD-STERの2018年第2戦に参戦してみた。
2018年春のTOT後、6月16/17日に僕は人生初のJD-STERドラッグレースに参戦してきた。そもそも僕がTZRでドラッグレースに出ようと思ったきっかけは、前回と前々回のTOTで、スタートから1コーナーまでの間に、後続車にゴボウ抜きされたことである。だからロケットとはいかなくても、人並みのスタートが切れれば、TOTでもっと上位に進出できるはず、と思っていたのだ。
そうした個人的な思惑はさておき、JD-STERはムチャクチャ楽しかった。ドラッグレースと言うと、「直線だけを走って何が楽しいの?」などと言う人がいるけれど、乗り方や足まわりの調整でタイムが変わるのは、ロードレースもドラッグレースも同じ。むしろ調整がタイムにハッキリ反映されるという点では、ドラッグレースのほうが上かもしれない。
ちなみに今回の僕のタイムは、初日の練習走行では9秒前後だったものの、各部の調整が進んだ2日目の本番レースでは8秒5〜7をコンスタントにマーク。ごくわずかなタイムアップでも、自分とマシンの成長が実感できるのは、なかなか嬉しいことなのだ。
もっとも、僕がレース当日の午前中に行われた予選で記録したタイムは、35人中29番手だった。参加車の多くが1000㏄以上のバイクであることと、僕がドラッグレース初心者であることを考えれば、29番手は決して悪くないものの、これがロードレースだったら、決勝に向けてテンションを上げていくのは容易ではないだろう。
でも僕が参戦したオープントーナメントクラスは予選タイムに応じてブロックを分け、タイムが近いライダー同志で決勝を競うので、全員に優勝のチャンスがある。となれば、自ずとテンションは上がる。Dクラスに振り分けられた僕は、虎視眈々と優勝を狙っていたのだが、残念ながら僅差で二回戦敗退。でも稲澤選手+VMAXと、平間選手+KH400とのバトルを通して、僕はドラッグレースならではの面白さが、これで少しは理解できた気がする。
なおJD-STER参戦で僕が感心したのは敷居の低さだった。もちろん、本格的にトップタイムを狙うとなったら、敷居はどんどん上がって行きそうだけれど、普段から街乗りで使っているバイクでそのまま参戦でき、装備や道具の費用があまりかからず、1日10本前後の走行が可能なドラッグレースは、どんなライダーでも気軽に楽しめるんじゃないだろうか。
正直言ってロードレースは、安易に人にはお勧めできないと感じている僕だが、ドラッグレースなら乗り手の技量や車種を問わず、「試しに1回参加してみませんか?」と言いたい気分なのだ。
ところで、冒頭で述べたスタートに関しては、意外にも悪くはないことが判明。初日の会場でそう言ってくれたのは富樫カメラマンで、事実、10本の練習走行後に、区間タイムや最高速が記載されたタイムスリップカードを見ると、リアクションタイムは0.4〜0.5秒前後で安定し、明らかなスタートミスは一度しかなかった。
ではどうして、TOTではダメだったのか? その答えは、後にクオリティーワークスの山下さんと行った、車載動画を見ながらの反省会で判明した。僕はスタートではなく、スタート直後のギヤチェンジがヘタクソだったのだ。具体的には、1/2速で引っ張りすぎている上に、3速に入れるべきところで入れていない。いやはや、これは意外な展開だが、JD-STER参戦を通して、僕のスタートに対する苦手意識は払拭された。今後のレースが楽しみである。
JD-STERに参戦するにあたって僕がTZRに行った変更は、スプロケットのローギヤード化(14/45→13/48)と、ナイトロン製リヤショックの自由長短縮だった。タイヤの空気圧はサーキットと同じ温間2.0kg/㎠にしたが、これが正解かどうかは何とも言えないところ。
練習走行前に車体セッティングの勘所を教えてくれたのは、クラスフォーエンジニアリングのメカニック、熊本さん。中でも興味深かったのはリヤショックの話で、プリロードとダンパーはほぼ全抜きから始め、様子を見ながら強くしていくのが良いという。
レッドモーターの中村さんに、バーンナウトのコツを教わっているところ。もちろん250ccのTZRだって、ちゃんとできる!
毎走行ごとに参加者全員分が製作されるタイムスリップは、ドラッグレースならではのデータカード。今回の週末で僕がもらったカードは19枚。ある程度経験を重ねて来ると、これを見ただけで今後の課題が理解できるらしい。
門外漢からすると、ロー&ロング車のみが対象と思えるドラッグレースだが、JD-STERはギヤ付きならどんな車両でも出場可能。ちなみには、Z900RS用リヤショックのテストを兼ねて参戦した、ナイトロンジャパンの羽柴さんだ。