2018年春のテイスト・オブ・ツクバ SATSUKI-STAGE。その予選:13位、決勝:17位、ベストタイム:1分8秒202という数字は、いずれも過去最高のリザルトとなった。まだまだ満足できるレベルではないけれど、参戦準備から数えて4年目を迎えた僕とヤマハTZR250は、着実な成長を遂げているようだ。
6度目のTOT参戦で印象的だったのは、予選でも決勝でも、走行を終えてピットロードに戻って来た時に、チームスタッフと友人知人が、過去のレースでは見たことがないような、とびきりの笑顔&拍手で迎えてくれたことである。
…と言っても、結果は決して自慢できるレベルではなかった。予選13位はなかなかだと思うけれど、決勝は17位だったし、公式ベストタイムは0.084秒しか更新できていない。じゃあどうして、ピットロードでとびきりの笑顔&拍手に対面できたのか……。
予選ではなんと、ごく僅かな時間だったが、1〜8位しか表示されないコントロールタワーのリーダーボードに、ゼッケン55が表示されていたらしい。その背景には、路面状況が腕と性能差が出づらいセミウェットだった、ブリヂストンのレインタイヤ=W01が素晴らしく好感触だった、という事情があるのだけれど、これまでの戦績を考えれば、仲間たちが盛り上がるのは当然か。
ただし決勝レース序盤では、その盛り上がりがイッキに急降下したに違いない。例によってスタートを失敗した僕は、1周目を終えてホームストレートに戻って来たときは、20位にまで順位を落としていたのだから。そして過去のTOTを振り返れば、以後の僕は可もなく不可もなくの走行を続けてチェッカーになりそうなものだが……今回は違った!
NSRを駆る♯78本田選手、♯96黒田選手と熾烈なバトルを繰り広げた僕は、ピットロードとその上のスタンドからよく見える1コーナーで、アグレッシブなパッシングシーンを2度も披露できたのである!
もちろん前述したように、最終順位は17位だったけれど、僕の予想外の頑張りに、皆は大いに盛り上がったらしい。これはいわゆる、記録ではなく、記憶に残るレースってやつだろうか。ま、そこまで大げさなものではないと思うけど。
ちなみに、僕が1コーナーでパッシングシーンを披露できた最大の要因は、前号で紹介したテクニクスのTASC(テクニクス・アドバンスド・スマート・カートリッジ)である。純正フォークの内部構造を一新するこのチューニングによって、僕のTZRのフロントまわりの安定感は劇的に向上し、だからこそ思い切って走行ラインを変え、前走車を抜くことができた。また、レース数日前に、僕のTZRの主治医であるクオリティーワークスの山下さんから、パッシングラインを教わったことも重要な要素で、このふたつがあったからこそ、僕は気持ちのいいレースが出来たのだと思う。
とはいえ、僕が今回の結果に満足しているかと言うと、まったくそんなことはない。恒例のスタート失敗がなければ、もっといい結果が得られただろう。そんなわけでスタートの基本を学ぶべく、僕は6月16/17日のJD-STERに参戦するつもりだ。このドラッグレースでロケットスタートを身に付ければ、次のTOTではトップ10圏内も夢ではなくなるはずだ?!
予選で使ったレインタイヤはブリヂストンW01。果たして、その性能はと言えば、ほとんどドライと同じ感覚で走れてしまった。最初は恐る恐るだったものの、慣れれば普通にコーナーでヒザが擦れるし、ブレーキングもかなりの無理が利くのだ。このタイヤがあったから、僕は予選で13位になれたのだろう。
今回のZERO-4で決勝グリッドに並んだのは30台。予選13位の僕+TZRは5列目で、この位置からなら、あわよくばトップ集団に食らいつけるかも? という妄想さえ芽生える。しかし現実には、後続に思いっ切り飲み込まれてしまった……。
ここ最近は減少傾向だったものの、今回のTOTには6台ものTZR勢が参戦した。最上位は4位入賞の♯10小川選手+1KT。初参戦の♯39樋口選手+1KTと♯21白石選手+3MAはいろいろと戸惑いもあったようだけれど、今後もTZRの勢力拡大を目指して(?)皆で頑張りましょう!