過去に連載していた月刊ロードライダー、そして今春から新たにスタートした、月刊ヘリテイジ&レジェンズでの連載を通して、当連載は50回弱を数える連載回数となるご長寿企画。ヘリテイジ&レジェンズへ移ってからの当連載を読んだ皆さまには「????」なところも多いのでは……ということで、前回までの都合3回はおおまかな“あらすじ”的なものを書き綴ってきた。
そしていよいよここからは、時系列に合わせての詳細レポートに移ろう。日にちは巻き戻して、一昨年前の秋、2017年の11月。僕のヤマハTZR250(1KT)が主戦場とするテイスト・オブ・ツクバの同年秋の大会、 KAGURA-DUKI STAGEの参戦レポートからご覧いただきたい。
さて、遡ること2年ほど前。2017年11月11日に開催された、テイスト・オブ・ツクバのZERO-4に参戦した僕のリザルトは、予選/決勝共に18位(出走は33台)。この結果をどう感じるかは読者それぞれに任せるが、僕にとってはいずれも過去最高の順位だし、予選では公式ベストを2秒以上も更新できたから、個人的には上出来だと思う。ちなみにTOTの決勝で、僕が規定周回数の10周を走れたのは今回が初めてのこと(従来は上位数台にラップされていたため、8〜9周しか走れなかった)だった。
当たり前だけれど、今回の僕+TZRのレベルアップは、いきなり実現したわけではない。事前の練習走行で、すでに僕は成長の手応えを感じていたのだ。そんなわけで、TOTの話をする前に、まずは本番前の状況を報告しよう。
最初に大前提の話をすると、僕+TZRが過去のTOTで記録した公式ベストタイムは、1分10秒328である。吸排気系を刷新して臨んだ2017年9月末の練習では、クオリテォーワークスの山下さんがライディングテクニックのアドバイスをしてくれたこともあって、コンスタントに9秒台をマークできるようになった。
で、せっかく掴んだ9秒台の感覚を忘れたくなかった僕は、10月に入ると週1ペースで筑波に練習に出かけ、10月末の時点では8秒台がある程度続けて出せるようになったのである。
こうなると僕の勢いは止まらない。タイムアップに拍車をかける手段として、ASウオタニのSPⅡハイパワーコイルキットを入手し、フロントブレーキパッドを新品に交換(ブランドは従来と同じZCOO)。僕+TZRのラップタイムは、11月1日の練習で、なんと7秒台に突入したのだ(2回だけだけど)。
改めて文字にすると、何だかトントン拍子の展開に見えそうだが、これまでの3年間の僕+TZRの筑波におけるラップタイムは、ずっと伸び悩んでいたのである。だから当連載の読者の皆さんには、トントン拍子などではなく、“ようやく?”と感じる人も多いのではないだろうか。
それはさておき、TOT前日の特別スポーツ走行に参加した僕は、最後の調整として2種類のファイナルをテスト。従来のスプロケットの歯数が14/46(STDは14/41)だったのに対して、この日はさらにショートとなる14/48、ロング指向の15/44を試したのだが、ラップタイムはどの仕様も似たりよったり……。とりあえず、最も最高速が伸びた14/48で、翌日のTOT本番に臨むことにした。
そして迎えたレース当日の11月11日。8時20分から始まった予選で僕が記録したタイムは、非公式の自己ベストよりコンマ5秒ほど遅い1分8秒286だったのだけれど、本番に弱い僕としては、これは悪くないタイムである。もちろん、決勝では上位陣に引っ張ってもらって、7秒台をマークするつもりだ。そうすれば、自ずと順位も上がって行くに違いない。そんな気持ちで、午後の決勝に臨んだのだが……。
残念ながら決勝ではスタートをしくじってしまい、1コーナーに入る頃には、予選19位以下のライダーにバンバン抜かれることになった。その時点での僕は、ここからバンバン抜き返してやるぜと思っていたのだが、3周目に転倒車に乗り上げそうになって怯み、以後はなかなかペースが上がらず。それでも先行するNSR勢に追いつこうと、僕はコーナーへのアプローチをいろいろと工夫してみたものの、焦りもあったのか第2ヘアピンでコースアウトしそうになる始末。最終的には上位数台がリタイヤして、予選と同じ18位でレースを終えることになった。
冒頭に書いた通り、僕は今回の結果を上出来だと思っているのだけれど、だからと言って満足しているわけでもない。来春のTOTでは何としても、今回を上回る成績を獲得したいものである。
筑波サーキットの1コーナーを攻めるの図。連載当初はここまでマシンをバンクさせると、チャンバーとカウルをガリガリ擦ったものだが、ナイトロンのリヤショックを導入してセッティングが進んでからは、まったく擦らなくなった。
2017年9月から導入したTM32キャブを点検するのは、僕のTZRの主治医を務めてくれている、クオリティーワークスの山下さん。そうしたらなんと、僕が適当にいじったチョークバルブが、きちんとシールされていないことが発覚。
僕がTZRで愛用しているブレーキパッドは、岡田商事が独自に開発したZCOO(ジクー)。抜群の制動力を発揮する一方で、温度依存が低いのがこの製品の特徴で、走り始めから安心してブレーキングが行えるのだ。
深く刻まれたローレットと独創的な形状のおかげで、絶大な食いつき感が得られるこのステップバーは、TOT前日の特別スポーツ走行で隣のピットになった、ライダーハウス宮島の宮島さんから譲ってもらった。
11月からTZRに装着したASウオタニのSPⅡパワーコイルキットは、全国のカスタム好きからも絶大な支持を集めている点火コイルなのだ。今回使用したのは、プラグコードがセットになった1002P(価格は1万3824円)というセットで、この製品を装着してからは、低中回転域での燃焼が瑞々しく感じられるようになった。なお、僕がお世話になっているクオリティーワークスでは、SPⅡパワーコイル+NGKパワーケーブルのセットが定番商品になっている。最下段の写真はRZへの装着例だ。