オーナーが進めたい部分を汲み取って行うパーツ&手法の提案
カワサキZRXシリーズをカスタムの柱のひとつに据えるしゃぼん玉。パーツはただ勧めるのでなく、店舗で販売するいろいろなパーツを知り抜き、ユーザーのやりたいことを汲み取った上でどうするといいかからの提案を行っている。
「こちらの車両はフレームに当店のオリジナル補強を加えて、ビキニカウルもフレームマウント化。エンジンもめっきシリンダーですからボアアップはしないで、ハイコンプレッション化などをTGナカガワさんに依頼して行うことでスープアップしてます。ほかにも足まわりやペイント、操作系もと、本当に隅々まで手が入っています。名実ともに“日本一のZRXカスタム”という1台です」
こう、しゃぼん玉本店のマネージャー・滝川さんは説明する。トレーディングガレージナカガワへのエンジン作業依頼などは、パーツセレクトのみにとどまらない、いいもの(ここでは作業メニュー)を使うという姿勢の一環だ。こうした内容は、滝川さんたちがどんどん主導しているのでは? とも思えるが、そうではなかった。
「私たちはただ一生懸命、お客さんのサポートをするだけ。この車両の場合も、オーナーさんがやりたいことをしっかり見据えているわけです。例えばマスターシリンダーでブレンボとゲイルスピードを迷うというより、もうどちらか決めた上で、ボルトはどうしようかという感じで。私たちはそこに向けて、それならこういうものが、こういう手法がありますよという提案をしていく。この車両のオーナーさんとは20年以上お付き合いしていただけてますし、今後もZRXに新しいことを考えたら、それを採り入れていくでしょう。
“単に物がたくさんある、セールをやっているというようなお店ではなくて、しっかりとした商品が置いてあって、その意味も使い方も教えてほしい。そんな面白さがあるお店でいてください”とお客様も言ってくださるし、信頼してもらっています。
こちらもそんなお客さんをがっかりさせないよう、アンテナも張るし、確かな情報や技術、もちろんパーツも。これは当店に来ていただいて分かるようなコアなものもありますが、提供していきたいと思います」
ユーザーの使い方を受け止めた上で、それに合うソフト&ハードを提供し、アップデートも行う。これなら、車両ともショップとも長く付き合いたくなる。ZRXはその中心にあり、この車両はまさにその好例ということだ。
Detailed Description詳細説明
一見、ノーマルに見えるメーターはノーマルケースの速度計をスタック製に入れ替え、ヨシムラ・マルチメーターを追加。ステアリングステムはウイリー・モノブロックで、左右マスターシリンダーはゲイルスピード・エラボレート。オーナーの意向をショップのお勧めが支えているのだ。
ドクターSUDA製ブラケットでビキニカウルをフレームマウント化し軽快感をアップ。ほかにフレームはネック部とピボット上部を補強している。
バッテリーは軽量小型で電力も安定するアンチグラビティ製でリチウムイオン化、シートはスプリーム製、ペイントはYFデザインと隙なし。
エンジンはめっきシリンダーのためボア×ストロークは変えず、ハイコンプピストンやヨシムラST-1カム組み込み、点火を現代車のようにするDIS(ダイレクトイグニッションシステム)追加などのチューニング作業は、TGN=トレーディングガレージナカガワに依頼した。
クラッチカバーやオイルバイパスキット、シリンダーヘッドカバーはウイリー製ビレット品を装着、冷却系も強化済み。キャブレターはTMRφ40mmをチョイス。
フロントフォークはオーリンズ正立で、フロントブレーキはブレンボ・アキシャルビレット4Pキャリパー+サンスターディスクの組み合わせだ。
前後ホイールはマグネシウム鍛造のMAGTAN JB4で3.50-17/6.00-17サイズ、スイングアームはウイリーのアルミ7N01目の字断面5角材製。
リヤショックはオーリンズで、リヤブレーキはブレンボCNC・2Pキャリパー+サンスターディスク。マフラーはノジマエンジニアリング製スパイラルコレクターのチタンエキパイに、オオニシヒートマジック製サイレンサーをセット。ステップキットもウイリーだ。