信頼感抜群の操安性と上質な乗り心地が得られる
2020年9月の発売以前から、大きな待望感を持たれていたカワサキNinja ZX-25R。カワサキとしては2007年に生産終了したバリオスⅡ以来の直列4気筒250ccモデルとなる。そのエンジンは新設計でスチールトレリスフレームに積まれ、倒立フォークやホリゾンタルバックリンク・リヤサスと組み合わされる。いきおい、各種カスタムパーツも続々輩出しているが、その口火を切ったひとつが、ナイトロンのリヤショック。この車両はその装着デモマシンだ。
装着されるショックは同社製ショックのうち最上位品となり、3WAYダンパーアジャスターを装備する「R3」。スプリングレートはノーマル+2.5㎏/mmとなる12.5㎏/mmと、最近の車両では珍しく、20%ほどと大幅にレートアップしている。
空車状態ではノーマルとはほとんど差がないが、ライダーが跨った際のリヤサス沈み込みは、ノーマルよりナイトロンの方が少なく、適度に尻上がりになる。それでも、足着き性が悪くなったとは思えない。
このリヤショック換装によって、フロントに理想的な荷重がかかるようになるようで、フロントタイヤの旋回性が高まり、ハンドリングが良くなった印象がある。具体的には、狙ったラインにフロントを乗せやすいという感じだ。
では交換した側、リヤはどうかと言うと、コーナー中盤から立ち上がりに、グイグイ曲がる手応えを感じつつ、早い段階からスロットルをワイドオープンできる感触がある。もちろん、スプリングとダンパーの相性、凹凸の上質な吸収性もさすがサス専門メーカーの専用設定品という感じがする。
ノーマルも決して悪いわけでなく、多くのライダーに多くのシチュエーションでそのまま適応するという作りにおいては手堅い。でも、そこに乗り心地を良くしてみたいという考えが起こったなら、この車両のようにリヤサスを換えるのはとても有効だ。このナイトロンNinja ZX-25Rのように、本来のハンドリングまでも引き出してくれるからだ。
カスタムとはこうして楽しむ。それがリヤサスからでも分かるというわけだ。
Detailed Description詳細説明
ナイトロンのイメージカラー、ターコイズブルーのスプリング。ほかにタイタニウムブラックも設定がある。スプリングの自由長はノーマルより2mm長い310mmで、スプリングレートはノーマルより20%≒2.5kg/mm高い12.5kg/mm。写真手前に見えるのが伸び側ダンパーアジャスター(+/-の文字部分)と車高調整機構(ロックナット式のハイトアジャスター)で、アクセスもしやすい。
デモ車両が装着しているのは、圧側高速16段/圧側低速18段/伸び側24段の3WAYダンパーアジャスター(減衰力調整機構)を装備する「NTR R3」。うち、圧側については写真上側のホースタイプリザーバー部に設けられた外(黒い部分、高速側)と内(1段高い銀色の部分、低速側)のふたつのダイヤルによって簡単に調整できる。下側はスプリングの油圧式プリロードアジャスター(初期荷重調整機構)だ。
ナイトロンNTR R3のNinja ZX-25R用はこのようにショックユニット本体、ホースタイプリザーバー、油圧式プリロードアジャスター、そしてZX-25Rのフレームにリザーバーとアジャスターを取り付けるための取り付けブラケットがオールインワンとなっている。ほかにもNinja ZX-25R用にはNTR R3のアジャスターを伸び/圧の2WAYタイプとしたNTR R2、別体のリザーバー/アジャスターを持たない1WAYのNTR R1がラインナップされている。