軽く、動かしやすくをパーツ選択時点から作り込む
ブライトロジックによる空冷GSX1100Sカタナ。カタナが現役だった当時から長年同車を扱ってきた代表・竹中さんをして「カタナで最もまとまりがいいパッケージ」という1台で、かつて紹介した2020年東京モーターサイクルショー出展予定車とキャブレター以外、ほぼ同じ構成を持っている。
「前後18インチホイール化で軽く、各部の作動もしっかりしていますよ。エンジンもやり直して、普通に乗れるようになってます」と竹中さん。
「パーツそのものはどれがお勧めとかではなくて、実際に使った時にいいかどうかで判断する。可動部分、ステムならシールやベアリングがちゃんとしてて、ステアリングヘッドがガタなくスムーズに動く。スイングアームも同じで、適切なトルクで締めた時に正しく動く。これはカタナに限らず、どのバイクでも一緒ですよ」
ごく当たり前のことを実行して、それに合うパーツを使っているだけだと言う竹中さん。全バラから組み立てる際にラバーシール類やベアリングが新品にされていることや、フレームやエンジンの仕立てがしっかりしていることも、どのバイクでも共通だった。
「カタナだから何か特別にしないと、ということはないんですよ(笑)。ただ、さすがに古くなってる車両でしょう? 初代SZだと40年、ファイナルでも20年超え。そのことは考えておきたいですよね。長く持ってる人ならなおさらという気もします。
その中でも一番気にしたいのは電装系です。フレームも古ければ見直したいし、エンジンも同じですけど、これら機械的なものは突然壊れるというよりも、だんだんと摩耗、劣化していきます。でも電装系は突然壊れるし、そこがだめだと動きません。ですから電気、ハーネスにコイル、点火ユニットもまとめて新しくしたい。ノーマルでもいいですけど、そこにこだわることはないと思います。
今回取材した車両でもブラックボックスはGSX-R系だったり、ハーネスも水冷GSX-Rを元に引き直したりして、新しいものを使っています。世代が新しい分、機能も高まります」
この電装系以外にも、各部には何が必要で、何が必要でないかを重視し、換えた方がいいところは積極的に換え、ノーマルでいい部分はその長所を生かす。ブライトロジックでバイクに手を入れる際に重視されるこの要素は、カタナに限らず他の車両でも同じだ。そこから導き出されるパーツ使いや各部の作り方は、空冷カタナに大きな参考になる。この車両はそんなパッケージとしての見本と考えていい。
Detailed Description詳細説明
スクリーンはオオノスピード製でフロントマスターはブレンボRCS、クラッチレバーはdomina、スロットルホルダーはアクティブ製をチョイスした。
ノーマル同様にワンボディのメーターはエースウェルのACE-4533だ。ステアリングステムはGS1200SSの加工品でセパレートハンドル仕様としている。
シートはスプリームシート。テールライトはLEDタイプに変更し、その下側にあるナンバー部との間に高輝度LEDウインカーを収めてある。
エンジンもオーバーホールとピストン変更の定番メニューでパワーとライフを両立。ブライトロジックでのエンジン組み直しは俄然調子が高まるとして人気も高い。シフトシャフトはヨシムラカバー部のベアリングで支持し、確実なシフトと良好なフィールを得る。
キャブレターはTMR-MJNφ40mm。負圧キャブもカタナには合うとのこと。電装はハーネス引き直し、ブラックボックスもGSX-R系でアップデートした。
フレームはレストアとともにピボットまわりやリヤショックマウント部の補強が行われている。ドライブチェーンはRKの50XW(530相当)を装着する。
フロントフォークはオーリンズRWUでφ[37→]43mmに。フロントブレーキはブレンボラジアルブレットキャリパーにサンスターディスクを組み合わせた。
スイングアームはルックスのバランスも良く取り付け精度が高いというアドバンテージ製で、排気系はブライトロジックオリジナルが装着される。
[純正値:1.85-19/2.50-17→]2.75-18/4.50-18インチの前後ホイールは、マグネシウム鍛造のMAGTAN JB4。リヤショックはオーリンズをセット。