要所にこだわりを込めた実力派マックス
ドラッグレーサーイメージのマッスルデザインや、アメリカンV8を思わせるV4エンジンのトルク感やサウンド。これらによって手堅い人気を得てきたヤマハVMAX。この車両はその後期型、1700がベースだ。
「この車両のオーナー、弘瀬さんは元々前期型=1200を持ってらして、1700に乗り換えたんです。その車両はJD-STERドラッグレースに参戦するうちにどんどんチューニングが進んで、今ではものすごいことになってるんです。そのうちに仲間内でもう1台、1700があるよって譲ってくれる方が出てきたので買い足して、そちらはツーリングや街乗りに使うようにしたんですね。それがこの車両です」
レース用車両も街乗り用車両も面倒を見ているレッドモーターの中村さんは、このVMAXの素性をこう言う。
街乗り用としてリヤキャリアを備えるが、エンジンはじめ多くの部分はノーマル。駆動系もハイチューンVMAXによく見られるシャフト→チェーン化はしていない。ただ、チタンマフラーやBSTカーボンホイールなど、ストリートでも有効な軽量化等はしっかり行われる。
「ホイールベアリングはセラミックで転がりを良くしていますし、ヨシムラ/バザーズ(サブコン)で燃調もきっちり取ってますから、走りはかなりいいですよ。マフラーは背圧でエンドの隙間が変わるエンドバッフルを4輪用から弘瀬さんが見つけて、それを加工してます。低回転は静かで、回せばパワーが出ます。
ウインカーも弘瀬さんが見つけたキジマの超小型Nanoで、パッと見、どこにあるの? と思いますがしっかり明るい。この辺はこだわり」(中村さん)
この車両、ツーリングだけでなく、レース仕様車両がメンテナンス等でドック入りしている時には、ピンチヒッターとしてレースにも使われている。それだけの実力も備えているのだ。「レースする人が同じ機種でレース用とストリート用と2台持ちできるのは理想ですよね」という中村さんの言葉にもうなずける1台なのだ。
Detailed Description詳細説明
シフトライトも付き、ドラッグレース仕様に作り替えたかにも見えるメーターまわりはVMAX1700ノーマル。ヘッドライトやハンドルまわりもノーマル。ミラーはマジカルレーシングのカーボンモノコックボディ、NK-1に換えてスタイリッシュに仕立てている。
前後ウインカーはキジマのNanoタイプLEDウインカーで1円玉ほどの径なのに、点けるとこのように昼間でも明るく光り被視認性が良い。
リヤウインカーはこのようにナンバーホルダーの両サイドに収まる。
国内仕様ノーマルで151ps(欧州仕様では200ps)を発揮する65度挟角の1679cc・V4エンジンやフレームまわりはノーマルのまま。そこにECUセッティングとバザーズ・サブコンとで燃調を合わせて乗りやすさとパワー感をしっかり作り込んでいる。最高速は291km/hを実測した。
シンプルな構成のステップキットはベビーフェイス製(ブラック)をチョイスし、バザーズ製オートシフターも加えられた。
φ52mmの極太インナーチューブを持つフロントフォークやリヤショック、フロントの6ピストンキャリパー、鋳造スイングアームにシャフトドライブなどはノーマルだ。フロントディスクはブレンボTドライブに変更。アクスルシャフトも前後PeOのクロモリ製に置換している。
マフラーは後半部をチタンとしたワンオフ品。これには4輪用で背圧によって内部隙間を変えるバッフルを内蔵(そのエンド部が写真でも分かるだろう)して、普段は静かで、ドラッグレース使用時など、回せばパワーも出せるようになっているという。
ホイールはBSTカーボンでフロントは純正同等の3.50-18、リヤは[純正:6.00→]8.00-18サイズとする。これに合わせ、リヤのタイヤサイズは200/50-18から240/40-18にワイド化。なお、ホイールベアリングはレッドモーターでドラッグレース用にもよく使うセラミック製で、走行抵抗を減少できるものだ。