保管車のエンジン状態が良かったことが幸いに
オリジナルルックスに近い状態をキープしつつも、足まわりなどが現代化しているカスタムニンジャ、カワサキGPZ900R。ずっと乗り続けられてきて、その都度アップグレードをかけてきたような印象も持っている。
「大筋ではそのような感じですね」と説明してくれるのは、ストライカーワークスの店長・鈴木さん。続きを聞いてみよう。
「オーナーさんは若い頃、15年くらい前でしょうか。このバイクに乗ってたそうです。当時は何となくという感じで。それで忙しくなって乗らなくなってたのですが、処分するかどうするかの相談をいただいて、直し始めて乗るようになられたんです」。冒頭に抱いたイメージはこれで分かった。それにしても、乗っていなかった間の劣化はどうだったか、気になるところだ。
「引き取りに行くと、エンジンはかかりましたし、割と調子よく回るんです。聞くと、これは元々行きつけのショップで買った中古車だったとのことですが、前オーナーが女性で丁寧に乗っていたと。それだけではないんでしょうが、とにかくちゃんとかかり、回った。
再始動に当たってのチェックもして問題なく、キャブレターを掃除するくらいだったんです。その後はサスやスイングアーム、ステムにブレーキまわりと、今(取材は2020年夏)お勧めの仕様で、と換えていったんですが、エンジンもノーマルのまま快調です。
オーナーさんも良く乗れて楽しいと、そのうち走行会も走るようになりました。そちらも気に入られて、サーキット用にスーパースポーツを増車しましたが、このニンジャもちょい乗りやツーリングで活躍してますよ。それにしても本当にエンジンが良くて、予算的にも良かったんです」
保管を挟んでこのような状態のエンジンはまれです、とも鈴木さん。そのおかげでオーナーは復活ライダーライフも満喫中なのだ。
Detailed Description詳細説明
ステムはギルドデザインでハンドルバーはアクティブ・ファナティック、メーター部にはヨシムラ・プログレスメーターやZiixラップタイマー、プロテック・シフトインジケーター(ギヤ段位を表示)等を追加するなど、サーキット走行も視野に入れた構成だ。
左右マスターシリンダーはある意味現代標準と言えるブレンボRCS。ハイスロットルも装着。ハンドルバーエンドはアクティブ製。
GPZ900Rノーマルの形状をキープしつつ、シートはTo'sカスタム製スプリームに変更される。このあたりも今の標準と言っていいだろう。
本文のように、保管からの再始動時にも異音が出たり煙を噴くようなこともまったくなかったエンジンは、水冷DOHC4バルブ直4・908ccのニンジャフルノーマル状態。まだ開けられたことがないという。ただしそれは希なケースで、「普通はダメージがあることが前提」とも鈴木さんは言う。
キャブレターも当時から装着されていたTMR-MJNだったが、これを清掃して問題なく使われている。このケースも希と言えば希だろう。
ほかにエンジン/フレームまわりではアルミサブフレームも装着している。もちろん、こちらもチェックして使われているが、滅多に見かけない好保管車だ。
フロントフォークはオーリンズRWUでリヤショックもオーリンズ。フロントブレーキはブレンボキャリパー+サンスターディスクの組み合わせ。
前後ホイールはO・Zレーシング・アルミ鍛造のPIEGAで、3.50-17/5.50-17サイズ。こうした再構築により、ドライブチェーンも520サイズを装着する。