ないものを作り、自然に装着するという醍醐味
縦置き直列4気筒のK100RS(2バルブモデル)が大好きなオーナーが、オリジナルの雰囲気を壊さないように不満な部分を解消したいという望みを持ち、それを反映したBMW K100RS。
最大の変更点は、純正でFI(フューエルインジェクション)のTDMRキャブレター化。エアの流路が曲がっているという特殊構造に対応すべく、スピゴットやマニホールド、オイルキャッチタンクなどなどをベアリアスがワンオフで製作して対応。それだけでは済まず、セッティングには2年近くの試行錯誤を要することとなったが、エアダクトも製作した上で楽しいエンジン特性を獲得した、とオーナーも認める作りが得られた。
車体側にも’80年代当時の輸入車に見られがちな内容をアップデートしている。そのひとつがスイッチボックスと一体化した左右レバー。これもレバーホルダーからワンオフ製作。ホイールも現代の鍛造品を履くために形が近いモデル用を加工流用するなど、K100RSに専用品がないがゆえ、構造が独自ゆえの加工/製作を次々行っていくなど、カスタムらしい成り立ちも得ている。
こうして「あえて純正に見えるように狙って」(オーナー談)作り込まれたK100RS。自社にNC加工機を持つベアリアスの手腕と、オーナーの熱意が見事に結実したと言える仕上がりには感心しかない。
Detailed Description詳細説明
右レバーはマスターシリンダーごとブレンボRCSとして換装。レバーホルダーを兼ねていたスイッチボックスも別製作している。
左レバーはレバーホルダー(写真中央部)を新作してこちらにレバーをマウント。スイッチボックスはZRX1200用を流用した。
クランク縦置き×横倒し(エンジン左側がヘッド)直4エンジンの'88K100RSがベースだ。右後ろから見ても複雑なレイアウトが分かる。
写真右に見える左側エアダクトはキャブレター化した後にセッティングを詰めていく過程で必要となり、ワンオフされた。
左側エアダクト本体。付いているのを見ると一見普通だが、知っている人なら「よくこんな難しいことを…」と思えるはずだ。
純正のFIをダウンドラフトキャブレターのTDMRφ40mmに換装した。燃料ポンプはZZR1100用に変更しタンク内から出し、オイルキャッチタンクも製作。上で紹介した左側エアダクトは、ここに新気をダイレクトに供給するように後から加えられたものなのだ。
ホイールはMAGTANのR1100S用(3.50-17/5.50-17サイズ)をカラーを加工・製作して装着している。リヤのオーリンズショックはレイダウン。
スイングアームはK100の4バルブ車(ベースは2バルブ)用。シートはスプリームのワンオフ。マフラーもノーマルを使う。