スタートエディションからカスタムを重ねられる
17インチ化したカワサキZ用に、最適なディメンションを持たせたフレーム“1R9S”をアメリカRCM USA社が製作。そこにフルリビルドのKZ1000エンジンとフューエルインジェクション、現代の17インチ足まわりを組み合わせた完成車(A16スタートエディション)をACサンクチュアリーが輸入した後にカスタム化を図ったのが、“RCM USA A16”だ。
「今は005のカスタム化が進行中で、ひと桁台は006がまだあります。ですから、全30台(001~030)のうち、残り22台です(取材当時/’20年5月)」と言うのは、サンクチュアリーの中村さん。スタートエディションを元に、この002のようにシングルシートを装備してレーシーなスタイルを持たせたものがA16R、旧いZ系をモチーフにしたルックスを持たせたものがA16Sとなる。
この002は、同じA16R仕様となったA16R-003とほぼ同時に、最初に作られたユーザー向けA16だ。
「オーナーさんは元々Zも、RCM・Zも所有し、メカにも造詣の深い方です。それでA16プロトタイプ的な001が出来た当時、これを見て興味を抱かれたんです。オーナーさんのRCM・Zはバーハンドルでツーリングにも使えるようにしていますし、ノーマルZとの違いも知っておられる。そこで、積載などの要素を省いて走りを楽しむZとはどうなのかを知りたい、ということでオーダーいただきました。
1R9Sフレームは剛性と言うよりもステアリングヘッドの高さを抑えてコンパクト化を図る。そしてステムベアリングも大容量化してストレスを減らす。この2点が大事でした」とも中村さん。
今ではエンジンも1200cc化やハイカム化、6速クロス化など、さらなるカスタムも施して楽しまれているという、このA16R-002。空冷ZがRCMを経てA16に至った進化の経緯を知り、かつさらなるカスタムを楽しむという、まさに特別な楽しみを持った1台となっていると言っていいだろう。
Detailed Description詳細説明
フレームマウントのアッパーカウル(含むスクリーン)はZ1-Rで、ミラーはマジカルレーシングによるカーボンモノコックボディ製を装着。
メーターはZX-10R用+STACK。ステアリングヘッドは大径/大容量ベアリング仕様で、17インチZでここにかかる負荷を軽減している。
燃料タンクはアルミで製作(A16各車に合わせ作られるもの。ZスタイルのA16Sではアルミタンク+カバー仕様も選べる)、マウント類もすべても新作だ。
シングルシートはTOMO FRP製カウル+ワンオフシートで、シートレールはこれに合わせたアルミ製。リヤカウルの前側(シートパッド部)には着脱式リッドがあり、内部のオリジナルツールケースにアクセスできる。塗装はYFデザインが担当した。
エンジンは空冷のKZ1000フルリビルドを搭載。現在ではカスタム化され、ハイカムやフルリビルドクランク、6速クロスミッションを投入、1200cc化もなされている。燃料供給はA16スタートエディションから装備されるフューエルインジェクションをそのまま使用する。
排気系はO2センサーも備えたウエルドクラフトチタン3Dを装着。1R9Sフレームは17インチ専用設計のため、当初からワイドスイングアームに対応したものだ。
Zではプレス成形のスイングアームピボット・ブラケット部はSS400材から3D切削したもので、ピボットシャフトもφ20mmの大径クロモリ中空シャフトをオリジナル製作している。なお1R9Sフレームはストリート用として、クロモリ鋼ではなくSTKM13Cシームレスパイプをベースとして作られている。右側ダウンチューブは着脱可能として整備性にも配慮される。
フロントフォークはオーリンズRWU。ブレンボGP4 RXキャリパーも含め、各部はオーナーリクエストを濃密に反映した構成とされる。
前後ホイールはO・Zレーシングのアルミ鍛造、GASS RS-Aで3.50-17/6.00-17サイズ。リヤサスはオーリンズ・グランドツインをセット。
スイングアームはスカルプチャーのRCM専用タイプの下側にモナカ合わせタイプのスタビを追加してブロンズアルマイト仕上げする。