水冷2ストと空冷4ストという違いを超えた造形が秀逸だ
日本のバイクファンにも“ああ、ヨーロッパにはこういうイベントがあるんだ”と認知が進んできたホイール&ウエーブス・フェスティバル。毎年6月にフランスの南西部、スペインに近い海沿いのリゾート地、ビアリッツ(Biaritz)で行われる。
そのコンテンツのひとつとして、ヨーロッパホンダは’20年からカスタムコンテストを行っている。現行モデルから車種をひとつ指定し、エンジンがスタンダードなこと以外は基本的に自由で走れることを念頭に置くという比較的緩めの条件で、ヨーロッパ全域のホンダディーラーやカスタムビルダーから選抜された参加者はカスタム車を作り、このイベント期間中に展示を行う。展示はそのまま人気投票の対象となり、イベント来場者はその場で投票できる。またHondacustoms.comのサイトでも投票が可能で、’25年は3万の票数を数えるほどとなった。
2025年はGB350Sが指定され、夏の終わりに上位5台が発表された。1位はハチマーン(Hachimaan、1月28日掲載)、2位はホンダ ミア(Honda Mia、2月18日掲載)、3位はグランブリ・スポーティバイク(Grand (B)rix Sporty Bike、2月27日掲載)。これらに続いた4位となったのが、ここに紹介する、スペインのセルビホンダ・マガラ(Servi Honda Malaga)製“MBX350”。
車名を聞いて、いや、実際のルックスを見て“おや?!”と思った人も多いのではないだろうか。そう、1980年代ホンダ車のレプリカだ。モチーフはスペインで展開した現地製2ストスポーツのMBX80。日本だと1983年にハーフカウルを備えたMBX80インテグラがあったが、むしろ1982年の原付スポーツ、MBX50の方がイメージしやすいはずだ。ビキニカウルを備えているから、’85年に現れたMBX50Fが形もカラー&グラフィックもまんまと言えそうだ。
MBX80/50/50Fはブーメランコムスターホイールや大きめで丸みを帯びた燃料タンク、上級モデルにも迫るような車格に当時規制上限の7.2PS(MBX50。MBX80インテグラは79ccから12PS)を発揮する水冷2ストロークエンジンと、歴史に残るような1台でもあった。
それが分かればあとは話が早い。そのブーメランコムスターホイールを思わせるように明るいシルバーで仕上げられたホイール、同じくシルバーのフロントフォーク。GB350Sの丸型から角型に変えたヘッドランプにMBX80/MBX50Fそのままのビキニカウル。エンジン前には色味こそ異なるが小ぶりのアンダーカウルを備え、MBXのプロリンクでこそないけれど同じシルバー仕立てで赤いPRO-LINKステッカーを貼ったスイングアームと小技を効かせる。
外装はMBX用をGB350Sのフレームに合うように加工、さらにMBX80F/50F近似のカラースキームで仕上げた。つまり、当時のMBX80Fが持っていたような気軽さや日常性を今表現するには水冷2ストと空冷4ストという違いを超えたところでGB350Sがベースとして向いていて、その造形を今に持ってきていいのではないか。そんなことを表現して、当時を知る向きにはなかなかに刺さってくる。
Detailed Description詳細説明
フロントカウルはMBX80でヘッドライトは角型に。同じく角型のミラーや角型ウインカーも当時を彷彿させる。カラーリングは日本のMBX50Fでは濃紺×白に赤と金のラインを入れた、いわゆるロスマンズカラーだったがこの車両では濃紺は濃いめの青に変更した。
メーターやステムまわりは間違いなくGB350Sだが、MBX用を加工してGBに合うようにした燃料タンク(含むタンクキャップ)やハンドルまわりはしっかりとMBXを再現しているのだ。
1980年代らしい角張ったデザインをGB350Sに投影。テールランプやウインカーをビルトインしたテールカウルもMBX加工、シートもMBXの形状に合わせる。リヤサスはMBXではモノショックのプロリンクだが、ここではGB350Sのツインショックをそのまま使っている。
サイドカバーのMBXロゴも当時そのままに再現される。まさにアイデア賞ものと言える作りだ。







