自由な作りで進めるとともに新しいパーツの元にも
2025年に創業30周年を迎えているACサンクチュアリー。同店がオリジナルの17インチコンプリートカスタム、RCM(Radical Constructor Manufacture)を作り出して25年となった。’25年3月時点でその数は700台に及び、うち約30台が海外(欧米豪にアジア[台湾、ドバイ]からと、世界的だ)のオーダーだった。
そこでこの車両、RCM-688だ。通算製作番号となるシリアルナンバーは「688」。’25年東京モーターサイクルショーのスフィアライトブースで、同社のライト類に負けない輝きと鮮やかさを見せていた。車両のベースは直6エンジンを持つホンダCBX。
「台北でCH MOTOというショップを営む陳さん、もう長い知り合いなんですが、彼が来店して、車種に仕様、カラーリングを指定してオーダーされたんです。ベースは後期型のモノサス車でしたがそれを前期型のような2本サスにする、オーリンズ倒立フォークを組むというのも入っていましたから、それに忠実にやってみようと手を入れました」
ACサンクチュアリー・中村さんは言う。車両は目の前の現車の分解から始まるのでなく、RCMとして初めてのCBXなのでまず各部の寸法を測り、内部欠品パーツの多い車種だからエンジンの調子を確認して状態を知る、ステムシャフトの寸法を測定してCAD図面化しておく。こうした先回り段取りを行うことで、後の作業をスムーズ化する。
エンジンはサンクチュアリーの内燃機加工部門DiNxでバルブガイド入れ替えほかヘッド加工、シリンダーの精密ボーリング&ホーニングにクランクダイナミックバランスも取って1129cc仕様に。ここで純正欠品しているコンロッドボルトとナットを、アメリカのアフターマーケットトップシェアメーカー、ARPに依頼し、いくつかの修正も加えて製作。これは市販に移され、以後のオーバーホールにも使えるようにした(もちろん他のCBXユーザーも買える)。
ステップや6-2-1-2のチタンマフラーはワンオフ、エンジンも車体も組み上がり後に細かい修正を入れて完成度を高めながら、3年をかけて出来上がった。異例のベースに内容だがオーナー・陳さんには納得いく作り、サンクチュアリーには新しいパーツとノウハウを提供する1台となったのだ。
Detailed Description詳細説明
後期型CBXのカウルを生かし、ペイントはYFデザインが担当。ミラーはマジカルレーシング・レーサーレプリカミラー・タイプ4ヘッド、フロントマスターはブレンボ・レーシングでクラッチホルダーはコーケン製だ。
メーターはアルミとカーボンでパネルをワンオフしSTACK3連装に。左からST3309油温計、ST700SRダッシュシステム、ST3316電圧計だ。フロントはノーブレスト・オーリンズ・ユニバーサル倒立E×Mパッケージで構成され、スカルプチャーSPステムキットTYPE-1にデイトナRCMコンセプトLowハンドルバーをセットする。
ステップはナイトロレーシングでCBX1000専用品を作り、スプロケットカバーにはジェイズを選択。
シートは張り替えと肉抜きを行う。大きなカウルをスマートに見せるようにリヤカウルのカット加工も行った。
キャブレターは6連でCBXのエンジン幅に合わせたV字レイアウトのJB-POWER・FCRφ33mmを使う。
補強されたフレームに積まれる空冷DOHC4バルブ直6のエンジンはJB POWERφ67mmピストンで純正1047から1129ccに排気量拡大。クランクはDiNxでダイナミックバランスにジャーナルラッピング、ボーリング&ホーニングにバルブガイド入れ替え、シートカット加工等を精密に行う。純正欠品のコンロッドボルト&ナットは米ARP社でオーダー製作、後に製品としての販売に至った。
フロントはオーリンズ2ISF5200倒立フォークにブレンボGP4 RXキャリパー+サンスターRCMコンセプトφ320ディスクのブレーキシステムをセットする。
6-2-1-2左右出しの排気系はナイトロレーシング“ウエルド”クラフトチタン3D EXマフラーのワンオフ。リヤブレーキはブレンボGP2-SSキャリパー+サンスターφ250mmディスクの組み合わせ。
後期型CBXのモノサスから前期型CBXのように2本サス化したリヤまわりはスカルプチャーR.C.M専用ワイドスイングアーム+オーリンズ・レジェンド・ツインでの構成。アルミ鍛造のO・ZレーシングGASS RS-Aホイールは3.50-17/6.00-17サイズを履いてドライブチェーンはEK530RCMを使う。








