Z1-Rビキニカウルの追加も違和感なく行いまとめられる
「先にCB900FでRCMを製作されたオーナーさんがそのCB900F、RCM-604を気に入ってくださって、ではと新たにMk.Ⅱを車両持ち込みでRCM化してほしいと依頼されたものです。シリアルナンバー(通算製作番号)は642です」
こうACサンクチュアリー・中村さんが言う車両。RCM(Radical Construction Manufacture)は同店が製作するコンプリートカスタムで、
旧車に現代17インチタイヤを履かせる車体再構築やエンジン見直しを軸として、各部アップデートも行われる。
このMk.Ⅱでも車体は測定・修正から作業が行われたが、シートレール後半が潰れていたためドナーを用意してそこから移植し溶接。さらにサンクチュアリーST-2補強(Mk.Ⅱでは12カ所を補強し)を施した上で17インチに適正なディメンションも与え、ドライブチェーンライン確保、リヤショックのワイドレイダウン加工等を行った。
エンジンもこのところ本サイトで紹介するRCM-Z同様の高精度作業を受けるが、それがフルスペックに近い仕様というのも同様だ。内燃機加工は同社内燃機加工部門のDiNxによる。
「ピストンはそのDiNx製φ75mm鍛造を使っての1166cc仕様ですが、この排気量の選択は最近増えました。今までも多かったφ71mm(1045cc)やφ73mm(1105cc)よりもパワーがあって魅力的。その一方で熱もこもりにくいなどの利点もあります。
この車両ではハイカムも組んで、ミッションは6速、ドライブチェーンラインEVOシステム(ロングカウンターシャフトによってフラットフロントスプロケットが使えるなど)にトロコイドオイルポンプ、深底オイルパンと、今組みたいものはほとんど入れています。その手前で必須としたいオーバーホールも行って、パワーとライフが両立できています」
その上でオーナーリクエストによってZ1-Rのビキニカウルも追加される。
「Mk.Ⅱ純正メーター(Z1-R純正ではカウル内側に沿ったオリジナルパネル化している)のままでカウルを追加して、その気になればカウルを外してMk.Ⅱ通常のヘッドライト/メーターまわりに戻せるようにと考えました。ただZ1-Rのカウルステーが特殊でじつは要望にすぐ応えるのが難しく、次回持ち越しとなりました。(撮影時点で)もう着手はしています」
続々と出てくる個性化の方法に応える。それは個性化を不安なく楽しめるベース(ここではRCM)があるからこそとも言える。高い精度と安心感。カスタムの進化はこんな部分にも現れるのだ。
Detailed Description詳細説明

スカルプチャー SPステムKIT Type1でフォークオフセットはZ1-R純正60mmから35mmとし、前後17インチに適合。これにデイトナ・RCMコンセプト・ローハンドルバー、左右にブレンボRCSマスターをセットする。メーターはMk.Ⅱ純正砲弾タイプで、今後改めてZ1-Rビキニカウルを着脱可能にする予定だ。

外観はZ1000Mk.Ⅱの純正ルミナスダークブルーで再塗装。ビキニカウルもこのカラー&パターンに沿って装着している。

シートはCOZYシートRCMコンセプトを装着しRCMらしい、またMk.Ⅱスタイルらしさも表現する。

フロントスプロケットはオフセットタイプでなくフラットで、これはロングカウンターシャフトを使うドライブチェーンEVOシステムによる。スプロケット奥に見える金色のパーツはEVOミッションカバーの一部で、カウンターシャフトの支持幅を広く取りミッションへの悪影響を抑え、スムーズな回転を得る。ドライブチェーンはEK530RCMのBK;GP(ブラック×ブラック)だ。

エンジンはDiNxφ75mm鍛造ピストンによる1166cc仕様。ハイカムも組まれバルブまわりも精密加工、クランクもフルリビルドされる。ミッションはサンクチュアリーメカニックブランド(SMB)・Z系6速にSMB・17インチワイドホイール専用EVOロングカウンターシャフトを組み合わせる。SMB・トロコイドオイルポンプ+深底オイルパンコンビネーションKITも組まれ、万全と言える構成でもある。

キャブレターはヨシムラ・ミクニTMR-MJNφ38mmをヨシムラデュアルスタックファンネル仕様で組みこんだ。

ノーブレストE×MパッケージによってオーリンズRWUフォークを組み、フロントブレーキはブレンボ484 cafe racerキャリパー+サンスター・プレミアムレーシングディスクの構成。

リヤブレーキはブレンボCNC 2Pリアキャリパー+サンスターディスク。排気系はナイトロレーシング4in1“ウェルド”クラフトチタン 3D EXマフラー+ナイトロレーシング・グレネードチタンV-Ⅲサイレンサーだ。

リヤサスはオーリンズ・レジェンド・ツイン(KA132)にスカルプチャーR.C.M専用ワイドスイングアームを組み合わせる。アルミ鍛造のホイールはO・Zレーシング・GASS RS-Aでサイズは3.50-17/5.50-17。