確たる定番を元にしてオーナーの望みに仕様を合わせる
シンプルでいつつ、パッと乗りたくなるような魅力も見せるZ。手を入れたアニーズ・寺田さんに、内容やポイントを聞いてみた。
「17インチのフルカスタムをとお願いされたものです。あとは速くして遠くに行けて峠も走るという感じでしたので、それに合わせるようにしています。
エンジンはワイセコピストンで1200cc仕様にして、カムはヨシムラST-2。クランクは芯出ししてと、当店では定番的な、要所を押さえる感じの作りです。排気系はオーナーさんの要望でナイトロレーシングのチタンを使っています」
その通りに1200cc仕様はアニーズでは定番で、トルクフルな仕立てで楽に走れ、高速道路でも回転を上げ過ぎずにイージーに走れる。もちろん好みでヘッドチューンなどによって仕様の方向や特性を変えることもできる。そんな定番に今回ひと味加えているのが、キャブレターだ。FCRを装着しているが……。
「口径はφ37mmを選択しています。普通だと1200にはφ39mmを選ぶところですが、あえて小径のφ37mmとして、さらにファンネルもロングを使っています。それで吸気の流速が上がりますから、低回転域からぐっと付いてきて、回転を上げなくても楽に走れます」
なるほど、回して乗りたいならショートファンネルや大口径に振るなどもできる。そうして定番仕様のカバー範囲は広がるわけだ。車体側にも注目点がある。
「不要なものは外して、乾燥で190kgくらい(Z1の乾燥重量は230kgを公称)と軽くなっています」
逆に必要なものはきちんと付いているのだが、これは軽い。パーツの選択も効いているのだろう。ホイールもマグタンJB1で、これには17インチ設定がないのだが特注で製作している。寺田さんも設定のある18インチ版と同じ形のはずなのに、小径になったことでスポークが太く見えて格好良くなっていると言う。確かにそう見えるし、これは面白い現象だ。
同店で意識する車体姿勢も楽さを考えて低めにしながら、それが自然で格好良く見える。聞けば聞くほどに興味深いのだが、基本はオーダーにどう応えるか。それがしっかり反映されているということだ。
Detailed Description詳細説明

ステムはアメリカンドリーム・プライドで左右マスターはブレンボRCS。メーターはエンジン回転計をスタックST200として純正ケースに組み込んでいる。ハンドルバー中央にはヨシムラPRO-GRESS2マルチテンプメーターも加えた。

ステップはスピードショップイトウのZ用ステップキット(アルミ削りだしバータイプ)、油圧クラッチシリンダーはウイリーのTYPE-Ⅲでドライブチェーンは現代大型市販車の標準サイズとなる525サイズ(RK 525XXW)に置換。

排気系はナイトロレーシング・4in1手曲げチタンEXマフラーに同コニカルチタンサイレンサーV-Ⅲの組み合わせだ。

フレームはネック下やピボット部などに補強を加え、リヤサス部もレイダウン加工している。エンジンはワイセコK1200鍛造ピストンで1200cc化しヨシムラST-2カムを組み合わせ、要所を押さえてチューニング。クランクも芯出しされる。オイルクーラーはラウンドタイプを備える。

FCRキャブレターは1200ccに対してはあえて小径のφ37mmを選択し、ロングファンネルと併用することで流速を高め、低速からトルクを高めて楽に走れる仕様へチューニングされている。こうした点も注目したい。

前後ホイールはMAGTAN JB1で、基本的に17インチの設定がないところを17インチ特注したもの。サイズは3.50-17/5.50-17。18インチだと細身に見えるスポークがここで太めに見えるのもポイントだ。フロントフォークはオーリンズRWU、フロントブレーキはブレンボ・アキシャル4Pキャリパー+サンスター・プレミアムレーシングディスク。

リヤブレーキはブレンボP2-CR84 リアキャリパー+サンスター・プレミアムレーシングディスク。車高は低めにしているがそれを思わせない全体セットアップも注目すべきポイントだ。

リヤサスはナイトロン・ステルスツインR3ショックにアニーズ・Z系17インチ用スイングアームの組み合わせとしている。