ノスタルジックルックに先進の機能を取り込む
「この車両はオーナーさんのオーダーによるスペックをそのまま投影したRCM(Radical Construction Manufacture。ACサンクチュアリーによるコンプリートカスタム)です。長年持っていらした車両が分解状態になっていて、そこから各部チェック、必要な加工を行って組んでいきました」
ACサンクチュアリー・中村さんがこう説明するタイガーパターンのZ1。RCMの通算製作番号であるシリアルナンバーは641が付く。フレームはレーザー測定からストレッチや補強、リヤワイドレイダウン等を行い、エンジンは外観ガンコートや内燃機加工部門DiNx(ディンクス)による各部精密加工がされた上でサンクチュアリーで緻密に組まれ、ストレートな作りの18インチコンプリートとしての定番的に完成した。
ところでここで注目したいのは、エンジンの下側、オイルパンだ。アルミ削り出しで、ナイトロレーシング・メガホンEXの集合部左に純正のそれと異なるスリムな船底状の突出部がある。これはサンクチュアリー・メカニックブランド(SMB)の「Z トロコイドオイルポンプ用ビレット深底オイルパンKIT」で、オイルパン内部(エンジン内側底部)にはSMBの「Z トロコイド オイルポンプKIT」が収まっている。
「これは純正のギヤ式に換えて使います。圧送油圧は最高回転域ではギヤ式と同じ程度ですが、低〜中回転域ではギヤ式より多くて安定している。それで9インチ13段のオイルクーラーのコアをきちんとオイルで満たした上で、それをコア内に滞留させずに回すことができるんです。街中や渋滞時でもエンジンオイルをエンジン内から冷却系にきちんと循環できて、油温が上がりにくいメリットができるんです。
深底オイルパンは現行車と同じ考えで、オイルに気泡が入らない、冷却性が落ちないように底から吸う。つまり、冷却効率向上を狙ったアップデートになるんです。オーナーさんは暖かい地方におられて高速より街中を走る機会の方が多いとのことで、この選択は理に適っていると思います」とも中村さん。
レース由来だが一般公道、街中でその効果が強く出るトロコイドオイルポンプ。パーツとしても販売されているから、熱対策に配慮したいというZ系オーナーは注目していいのではないだろうか。
Detailed Description詳細説明

オフセットを純正60から45mmとするスカルプチャーφ38フォークステムKIT Type-1にデイトナRCMコンセプトLOWハンドルバーをセット。左右マスターにはブレンボRCSを使う。

赤タイガーのパターンを生かし下側ラインに絶妙なグラデーションを加えるなどのアレンジを行った外装ペイントは奥進によるものだ。

シートはデイトナRCMコンセプトCOZYシート。

バックステップKITおよび油圧作動化したクラッチのクラッチレリーズプレートKIT Type2はともにナイトロレーシングで、ドライブチェーンはEK530RCMを使う。

エンジンはDiNxφ71mm鍛造ピストンで1045cc化し、クランクはDiNxで芯出し、PAMS HFバルブを組むためのバルブガイド入れ替えやシートカット加工等はDiNx。サンクチュアリーメカニックブランド(SMB)New6速クロスミッションやトロコイドオイルポンプ&深底オイルパン(写真中央下に突出部が見える)等の装備も先進で、アールズ9インチ13段オイルクーラーとともに油温を下げる効果を見込む。フレームはサンクチュアリーオリジナルST-II補強で12カ所を補強した。

キャブレターはFCRφ37mmをセットする。

フロントフォークは純正φ36mmより2mm大径のKYBφ38mmでフロントブレーキはブレンボP4-40Cアキシャル4Pキャリパー+サンスタートラッドディスクφ320の構成だ。

リヤブレーキはブレンボP2-CR84 2Pリアキャリパー+サンスター・トラッドディスクφ250。排気系にはナイトロレーシング4in1機械曲げスチールメガホンをチョイス。

リヤサスはオーリンズ・ブラックライン(KA963)をスカルプチャー 18インチ専用セミワイドスイングアームに組み合わせる。ホイールはMAGTAN JB1でサイズは2.75-18/4.00-18を履く。