余裕の排気量でいつでも乗り出せる気軽さを楽しむ
古くは2010年頃、テイスト・オブ・ツクバで同爆仕様や不等間隔爆発仕様といったチューニングを施したZレーサーをモンスターEvoクラスに出走させたこともあり、現在も全国のZオーナーに頼られるサポートショップ的存在でもあるアニーズ。この車両は岐阜県養老郡で建築業・ヤスフク建築を営み、また当地の静かな住宅街に建つライダーズカフェ、ドルチェカフェ R/Uのオーナー(Dolce Cafe R/U https://www.instagram.com/dolcecafe.r_u/)でもある、安福 守さん/梨絵さんご夫妻のご主人、守さんのものだ。
愛知Zミーティングのメンバーに紹介されて、アニーズでの製作を決めたというこの車両、スマートでいながら迫力も持つ独自の角型デザイン外装から、ベースはKZ1000Mk.IIのようだが、これはアニーズの“MK2外装換装キット”によって再現されたもの。ベースは’79Z1000LTDで、守さんの憧れだったというZ1000Mk.IIスタイルを手に入れているのだ。
一方、アニーズ・寺田さんに聞けば、16歳の免許取得時から数多くのバイク遍歴を持ち、今もGPZ900Rを所有する守さんのニーズを汲み取って、前後17インチ化などで気負わずに、現行モデルに近い乗り味を作り出したという。LTD自体も内容はそのままZ系だし、手の入れ方は当然と言えるほどに熟知しているというわけだ。
17インチ化にあたってはギルドデザイン製ゼファー1100用ステムの加工流用とアニーズオリジナルスイングアームを組み合わせ、かつ寺田さんが車両製作時に重視する車体姿勢をきちんと設定。3.50-17/5.50-17サイズのJB MAGTANホイール、また前後にナイトロンショックを組み合わせて基本を構成し、Mk.IIの角型外装にも似合う17インチスタイルを確立した。
エンジンについては望めばピストンヘッドも高い攻めたオリジナルピストンも提供できるアニーズなのだが、ここではワイセコφ73mm鍛造品を使った1105cc仕様とし、その他のパーツはノーマルのまま組み上げている。
「実績あるこの1105ccで組めば、ツーリングを主体とした楽しみ方だったら必要にして十分なはず。ぱっと思い立って跨れば、気軽に走り出せる。そんな、楽しんでもらえる仕様としたんです」と寺田さん。
先の現行モデルに近い気負わなさに合う、このエンジン。これらによって守さんは奥様の梨絵さん&KZ1000(少し前のこの欄で紹介)とともに、Zライフを楽しんでいる。そうそう、「私の建築の信念と同様に、ウチでしか味わえないこだわりを楽しんでほしい」と安福さんが言うドルチェ カフェR/U。うまいコーヒーに同店こだわりのドルチェ(スイーツ)を目当てに。そして店舗がガレージ見本にもなっているというから、ここにツーリングに、憩いに、見学に行ってみることも合わせて勧めておこう。
Detailed Description詳細説明

ギルドデザイン製ゼファー1100用ステムキットを加工流用したステムにはKZ1000LTD(Mk.IIも同形状)のメーターを装着。その上で右側のエンジン回転計はスタックST200クラブ万メーターをビルトインし、ハンドル中央部にヨシムラPRO-GRESS2テンプメーターを追加する。フロントマスターはブレンボRCS、クラッチ側も油圧作動化した上でブレンボRCSマスターを備える。ビレットボディのミラーはデイトナ・ハイサイダー・ロッドミラー・モンタだ。

エンジンはワイセコ製鍛造φ73mmピストンで1015から1105ccにスープアップし、気負わず使える仕様に。カーボン製エンジンカバー3点(Z系/J系レーシングエンジンカバー:ポイントカバー、Z系レーシングエンジンカバー:クラッチカバー、Z系レーシングエンジンカバー:ジェネレーターカバー)はアニーズの新作パーツだ。9インチ13段のラウンドオイルクーラーはPMC製を使う。

キャブレターはFCRφ35mmでビトーR&D製75mmロングファンネルは黒アルマイト処理して装着。

ステップはスピードショップイトウのZ用ステップキット(アルミ削り出しバータイプ)。ウイリーのZ1/2/Mk.II用油圧クラッチシリンダーTYPE-IIIでクラッチも油圧作動化している。ドライブチェーンはD.I.D.の525ZVMX2だ。

フロントフォークは純正φ36mmに換えてφ43mmのナイトロンNTF43CR2シリーズとし、これにアメリカンドリームのZRX1100/1200R オーリンズ正立用 ブレンボ40mmピッチ フロントキャリパーサポートを介してブレンボP4-40C アキシャル4Pキャリパーをマウントし、サンスター・プレミアムレーシングディスクを組み合わせる。

リヤブレーキはブレンボP2-CR84 2Pリアキャリパーにサンスター・プレミアムレーシングディスクの組み合わせ。マフラーをナイトロレーシング(4in1手曲げチタンEXマフラー+コニカルチタンサイレンサーV-III、ともにハーフポリッシュ)としたのは守さんの好みを反映してのこと。こうしたパーツ使いにもいいもの、オーナーの好みのものを自由に使うのもアニーズ流のひとつだ。

リヤサスはアニーズ Original Swing Arm [17inch]にナイトロン・ステルスツインR3シリーズショックを組み合わせる。ホイールはMAGTAN JB1でサイズは3.50-17/5.50-17。なお外装はテールマウントステーやサイドカバー、フェンダーなども含めてアニーズのMK2 外装換装キット各種によってKZ1000Mk.IIスタイルにコンバートされている。