市場の変化を考慮して気軽な楽しみ方を提案する
2017年末にZ900RSが登場した直後から、Z900RS/CAFE適合のカスタムパーツを多く開発してきたケイファクトリー。これはそんな同社の最新デモバイクだ。以前は足まわりを軸に多くのパートにケイファクトリー製パーツ等と配したフルカスタムだったが、今回はライトカスタムと言うべき仕様に改められている。そこには大きく興味を引かれる。
「Z900RSは相変わらずの大人気車で、当社のパーツもよく売れているのですが、最近の傾向として興味深いのは、新車ではなく中古車を購入する方が増えたことです。どうして中古車を選ぶのかというとやはり価格が安いからで、そうしたライダーはなかなかフルカスタムに目が向かないと思います。ですから逆に、Z900RSの中古車を手に入れた方は、どんなカスタムなら興味を持ってくれて、自分の愛車でやってみたいと思うのか。そんな意識をもって、この最新仕様を作ったんです」とケイファクトリー代表の桑原さんはその背景を言う。
今回車両に装着されるケイファクトリー製パーツの中で桑原さんが推すのは、CSS=クラシックスタイルスリップオンマフラーだ。スリップオンだから、サブチャンバーよりも後ろの部分を差し替えるタイプ。それでいながらCSSのポイントは、マフラーの外側が純正でサブチャンバーの右に置かれるマフラーカバーとほぼ一体化、いわゆるツライチになっていること。そして前半分、つまりエキパイやサブチャンバーなどをCSSと同じ耐熱ブラックで塗装したことで、排気系全体がパッと見で直管タイプ・フルエキゾーストの印象になっている。
「そう思ってもらえれば、私としては大成功です(笑)。私が言うのも何ですが、CSSはルックス重視のアイデア商品で、性能はあまり意識していません。でもCSSを付けると車両全体の雰囲気がガラリと変わって見えるでしょう。CSSの狙いは、そんな変化をお客さんにまずは実感してもらうこと。できることならスリップオンマフラーの装着をきっかけにして、カスタムの魅力に目覚めてほしいと思っているんです。このCSSだけでなく、当社にはフルエキもありますし、ほかにもたくさんZ900RS用パーツはありますし」(桑原さん)。
このケイファクトリーZ900RS・最新仕様は、そんな、カスタムを始めるのに最適なパーツが選ばれて付けられているとも取れる。そのパーツ群は、エンジンスライダーにラジエターコアガード、フレームをダブルクレードル風に見せるアンダーチューブ。ナンバープレートの曲がりを防ぎながらチタンの焼き色も楽しめるチタニウムプレートホルダー、アルミ削り出しのハンドルクランプやフレームプラグ。ステンレス製のバーエンドと、ここまでがケイファクトリー製パーツ。ほかにもマジカルレーシング製カーボンハンドルバー、ナイトロン製リヤショックなどが装着される。主にルックスを引き締めたり、軽さや強さを簡単なところから味わえるパーツが軸で、ショック変更での乗り心地アップ、またマフラーもスロットルの開けやすさを得られる特性があった。
まずはマフラー。かつてのカスタムでは最重要項目に挙げられていたアイテムが、ちょっとしたアイデア、ルックスの一体感や低価格(ケイファクトリー・CSSは8万8000円だ)で買いやすいことで再び脚光を浴びる。その上で、他のパートのカスタムのきっかけになる。車両を手に入れる要因の変化を、カスタムの楽しみにつなげるケイファクトリー・Z900RS。ヘビーカスタムに慣れた目にも、これは面白そうと感じられる1台と言える。
Detailed Description詳細説明
ケイファクトリーはZ900RS/CAFE用に、昔ながらの直管(ショート管)スタイルを彷彿させるフルエキゾースト、「CSR」と「CSR+」を販売してきた。今回装着したCSS(クラシックスタイルスリップオン)はCSR/+のスタイルをスリップオンで実現し、ボディの外側と純正マフラーカバー(写真の右下、銀色の部分)が見事に一体化しているのが一番のトピックだ。
CSS(クラシックスタイルスリップオン)マフラーはスチール製でカラーは耐熱艶消しブラックのみ。製品にはアルミ削り出しのステーとK-FACステッカーが付属する。JMCA認証品で'18〜'22年型の型式「2BL-」、'23〜'25年型の型式「8BL-」とも適合する。価格は8万8000円。
CSSのボディ外径はφ80mmで、内径はφ42.7mm。エンド部を後方から見ると、まさにかつての直管を思わせるような大きな排気口だ。近接排気騒音は92dB、加速走行騒音は82dBでJMCA認証も取得され、車検も当然クリアする。ジョイント部(ノーマル部分との差し替え部)のガスケットは純正を使う。
CSSを含めたケイファクトリー製スチールマフラーの耐熱ブラックをノーマルマフラーに再現するためのスプレー缶、K-BLACKは3740円で別売。
エンジン前側のフレーム両サイドにはケイファクトリー製エンジンスライダー(1万2980円)を装着。ベース部とスライダー本体の間に硬質ゴムをサンドした2重構造で衝撃を和らげる。スライダー本体はジュラコン削り出し、ケイファクトリーロゴエンブレムも備える。
ラジエーター前部にはケイファクトリー・ラジエターコアガード(1万9800円〜2万2000円)を備える。ステンレスをエッチング処理することでハニカムメッシュパターンを作り、中央部は密なパターンで飛び石からの保護性を高め、両サイドは冷却効果も確保する。'18〜'20年型用、'21年型〜用それぞれ設定あり。
フレームの各ホールに収めるフレームプラグセット(S/M/L各2個入り、1万4520円は)、誇りや水の浸入を抑え、フレームのルックスアクセントになる。リヤショックはフルアジャスタブルのナイトロンR3で、エンジン右側のケースカバーにはドレミコレクション製を装着する。
カーボン素材によるハンドルバーはマジカルレーシング製。これをケイファクトリーのアルミ削り出しによるハンドルクランプ(1万450円)で純正トップブリッジに装着する。このハンドルクランプは左右一体型で、カメラ等の固定で重宝するM8のサービスホール×2が設けられる。独創的なパターンが刻まれたビレットバーエンド(1万4080円)は高回転域の振動抑制を意識してステンレス素材から削り出している。