初代の持つ魅力を引き出し当時のカスタムらしさも表現
「1100と1200、DAEGという3つのタイプ。当店にもそれぞれに多くのお客さんがいらっしゃいますが、同じZRXの中で、それぞれのタイプのオーナーさんで傾向は異なります」。しゃぼん玉の取締役社長を務める滝川さんは言う。大型の二輪洋・用品店として。また整備からヘビーカスタムまでを手がけるカスタムショップとして。そんなふたつの側面から多くのZRXユーザーに接し、多くの車両を仕立ててきた中で見えた印象という。
「初代となるZRX1100は鋳鉄スリーブということもあって、エンジン含めどんどんカスタムされて、サーキットも加えて走りを楽しむ傾向。最終型になるDAEGはアフターマーケットパーツをよく選んでくださって、それを使ってカスタムとツーリングを楽しむ方が多い。
1200は両車の真ん中で、DAEGと同じめっきシリンダー。でもDAEGのFIに対してキャブレターの良さを味わいたい、カスタムもしたいという感じで手は入れるという傾向です。鍛造ピストンにして圧縮も上げて、ポート研磨と面研はやってという具合ですね」
1100は加工も含めて手を入れ尽くす。DAEGは豊富なパーツを使いながら変化させ、長距離含めたツーリングも楽しむ。1200はその中間。言われればなるほどと思える。その背景には、今も少し出てきた各車の仕様の違いがあるのだとも滝川さんは言う。
「現況としては1200のオーナーさんにも動きはあるのですが、DAEGと1100の二極化が目立っています。1100ではずっと乗っておられる方がさらに手を入れるという感じです。乗り換えはされずに、1100を続ける。
1100(1052cc)ではφ76mmボアに58mmのストローク、1200/DAEG(ともに1164cc)はφ79×59.4mmになるんですが、1100の短いストロークにこだわる方が多い。数字では1.4mmだけですけど、サーキットなどでブワーっと上まで回っていく感触が好きだと。ボアを1200と同じφ79mm(1136cc)にしたとしても1100ベースがいいという具合なんですね。私も1100(φ77mmの1107cc化ほか行ったフルカスタム車)に乗っていて、同感できます。
車体も1100はスイングアームピボット位置が高く、30mmのフォークオフセットと合わせてコーナリング性能が高い。この味は他にないということで、これからも乗り続けたいとエンジンをリフレッシュ、エンジンが下りているうちにフレームを見直して塗り直し。合わせて各部パーツも換えてより好みに、そして新しい仕様に作り直すというものが多いです」
そんな今のZRX観を聞くと、この車両にフルに手の入った理由も理解できるだろう。このZRX1100は4輪メカニックを務め、バイクを作るのも乗るのも好きでゼファー1100も所有するオーナー・林さんがフレームとエンジンを入手し、格好良さとルックスアップを目指して好みのパーツでプライベートで組んでいったものだ。エンジンもZZR1100ピストンや腰下での6速仕様でしっかりスープアップと、滝川さんの言う内容も施される。
各使用パーツは、オーナーの好んだ仕様のもので、ずっと付き合っているしゃぼん玉一宮店でアドバイスを受けながら購入。さらにパネルからワンオフしたメーターまわりオリジナルペイントなど、個人では難しい部分の作業を同店で行っている。イチから組み上げられていく中に、パーツセレクトやそのコンビネーションというところは確かにしゃぼん玉流が色濃く出ている。そして最新パーツを使うことで内容の進化も行う。最新のZRX1100カスタム例となる1台と言い変えてもいいだろう。
Detailed Description詳細説明
ウイリー製ストリートEVOステム(フォークオフセットはZRX1100純正に同じ30mmを選択)にはしゃぼん玉一宮店ワンオフのメーターパネルをセット。エンジン回転数をアナログ、速度等を多機能デジタルパネルで表示するスタックST700を中心としてYOSHIMURA・プログレースメーター1/2を配し、右下にトップパネルと同一面を構成するようにTANAXスマートモニタを組んでさらに防振機能も加えた3枚仕様のパネルはまさに現代的。左右マスターはゲイルスピードVRCを選択した。
ドクターSUDA製フレームマウントステーでビキニカウルをフレームマウント化し、フロントまわりへの荷重を減らすのはこのところのZRXカスタムでも多く見られる手法だ。ミラーはマジカルレーシング・NK-1ミラーのタイプ3ヘッドで全体をシャープに見せる。
燃料タンクはアルミで全体の軽量化や低重心化にも貢献するものだ。
シートカウルはレオパルド製ZRX1100、1200 シングルシート(LEO)で全体のカスタムペイントは奥進が担当した。
エンジンはZZR1100ピストンを組んで排気量は1052ccのまま圧縮比を10.1:1から11:1にアップ。ZZR1100ミッションを使って5→6速化し、ハイカムも組んで「スタートからもウイリーできる仕様」(しゃぼん玉一宮店店長/熊木さん)という仕立て。クラッチ/パルサー/ジェネレーターの各カバーとクラッチレリーズはウイリー・ビレットに変わる。冷却系もナイトロレーシング・ワイドラジエータKITとOILクーラーHIGHマウントKITで強化する。
キャブレターはFCRφ39mm。点火系はトリニティガレージNAKAGAWAの点火キットHIR(ハイパーイグニッションリーダー)に、現代車のように点火コイルをプラグキャップ内に収めるトリニティガレージNAKAGAWA・DIS(ダイレクトイグニッション)を組み合わせてアップグレードしている。
フロントフォークはオーリンズRWU、フロントブレーキはブレンボ・アキシャルCNC 4Pキャリパー+サンスターディスク。
リヤがブレンボCNC 2Pキャリパー+プラスμディスクでホイールはマルケジーニのアルミ鍛造、M10S Kompe-Evoで純正よりリヤが1インチワイドな3.50-17/6.00-17サイズを履き、リヤタイヤは200幅と最新スポーツモデルのサイズを選んでいる。
ステップはウイリー3Dステップでリヤサスはブラック仕上げのウイリーBIG目の字スイングアーム・ハイトコントロールHC-5HIタイプにオーリンズ・ブラックライン(HO963)。こうした足まわりのブラック仕上げも今人気が高いとのこと。ドライブチェーンはRKの50XXWをチョイス。