これから持つ人にも今持っている人にも参考になる愛車
エディ・ローソンのカワサキZ1000J1改に施されたライムグリーンカラーを施し、KERKER製4-1メガホンエキゾーストなどを装備した限定車がZ1000R。その車両の大判ポスターを見てZ1000Rに惚れ込み、’95年にショップをオープンしたというのが、神戸・BLファクトリーの梅木さんだ。梅木さんはそこから25年、ZやZ1000J/R系を中心に各種整備やカスタムを手がけてきた。そしてこの車両は梅木さんが所有するZ1000R。現在は前後18インチ仕様で、軽く走れるのも持ち味となっている。
「私の経験を振り返ると、このローソンで一番印象に強いのが、最初に換えたアンダーステムでした。S1(KZ1000S1)レプリカの強化タイプで、これを付けたらすごくフロントが安定しました。当時これ以外の足まわりはノーマル、フロントも19インチ。フォークオフセットはノーマル50mmのままでしたが高速コーナーもきっちり曲がる。そんな理由でまずこれは勧めています。
ほかに当初、換えていたのはキャブレターとオイルクーラーでした。キャブはフラットバルブのTM。セットアップには苦労しましたが、ノーマルの負圧タイプからはぐっとパワー感も高まりました。後にCRに換えましたが、FCRも含めて、キャブ交換時には同じ感覚が味わえると思います。ただ、スロットルワイヤの取り回しが悪いと途端に操作が重くなりますから、そこには配慮したい。1台1台で違うんですが、あえて言えばワイヤに負担がかからないように、ベストな通し方を探すことです。当時はハイスロも開度が狭くてガバッと開くのしかなくて、そうしたものが付いているなら、今の緩やかに開くようなタイプに換えるという手も勧めます。
操作系はスロットルもクラッチもブレーキも、軽いに越したことはない。だんだん年を取って、乗っててしんどいなあ…ってなるなら見直しをお勧めします。実際に操作系を軽くしてくださいっていう依頼も増えてます。ここが軽ければバイク全体も取り回しも軽く感じられますし、そうなればバイクもより身近になるんです。
話を戻すと、キャブ、アンダーステムの次に換えたのは足まわりでした。ホイールにブレーキ、スイングアームまわり。昔はスイングアームを換えてからホイールという順でしたが、今はまずホイールを換えるというケースが増えました。ここを元の19/18から前後17インチ化する際には長めのスイングアームにして、車体姿勢をきちんと出したいところです。
当時の17インチカスタムは速く走るために作りましたが、今履いている18インチは、楽しむ要素が増えたようにも思います。先ほどの操作系が軽いのと同じで、軽く乗れるバイクは触れる機会も増える。歩いて5分くらいのところでもバイクに乗って行っちゃうような。すると調子も維持できると思います。
そう考えると今は、ノーマル同様のフロント19インチホイールで、キャブを換えたくらいが意外と理想型かなと思えます。いろいろやってきた上での話ですが。タイヤもいいのがありますし。手を入れる方にはその楽しみももちろんあると言えます。
整備的には発電(コイルの焼け)と充電(レギュレーターと、コネクターの焼け)、点火(コイルとイグナイタ)、バッテリーは常に気をつけて調子を維持してほしいですね。車体側ではステムベアリングとスイングアームベアリング。定期的に見ていればいつ起こったかも把握しやすいです。そのあたりに気をつければ、いろいろと楽しめると思います」
Detailed Description詳細説明
アンダーステム(フォーク・ロアブラケット)は車体系で最初に換えた部分で、それだけで大きくフロントの安定性が高まったとのこと。
スロットルにブレーキ、クラッチといった操作系。この作動が軽ければバイクの取り回しも軽くなり、すぐ乗りたくなる印象が作れる。車両1台1台で変わるものの、曲げない、邪魔なものがないようにとワイヤにできるだけ負担をかけない取り回しが軽さのポイントになる。
CRやFCR、TMRなどへのキャブレター換装は純正負圧キャブに比べるとダイレクト感、パワー感が高まる。当然だがセットアップも不可欠だ。
レギュレーター(写真)の劣化、コイルの焼け(徐々にへたる)、コネクター(接点)の焼けなどに注意し発電・充電・点火の好調を維持したい。
足まわりは基本的に好みでいいとのこと。ノーマル19インチでも今はタイヤ選択肢が増えたことで、悩むことも減ってきているという。
ダイマグホイールによる前後18インチ仕様。操作系が軽くなるように作ることで18インチの軽快さはより強化されるので、これも梅木さんのお勧めだ。
リヤショックはオーリンズ。ステップはZ1000S1(ローソン用J1改の要素を生かして作られた市販レーサー)タイプを装着している。