パーツを選ぶという楽しみも感じつつ作る
前回=第45回東京モーターショー(’17年秋)でアンベール後に即発売されたカワサキZ900RS。以後2年間のセールスは好調で、現代バイクとしては異例と言えるほどにアフターマーケットパーツも送り出されている。
「じゃあ実際どうなんだろうって自分で’18年末に買ったんです。それで慣らしだって、乗ってみたら尻が痛くなる。これはオプションのハイシートにしたら治るかなって換えたけれど変わらない。ああ、乗れないなあってちょっとイヤになりかけたんですけど、いやいや、これ(Z900RS)に手を入れてみようって決めたんだから、逃げないようにしようってRODS DESIGNの佐伯君にフルペイントを頼んだんです」と、スピードショップイトウの伊藤さんは言う。
元々空冷Z系やGPz系を扱うことで知られ、このところは“ちょい曲がりスピードメーターケーブル”を筆頭に、ブレーキキャリパーやフロントフォークの種類/組み合わせに細かく対応するキャリパーサポートなどの芸の細かいパーツ群を多く送り出している。
「せっかく出てきたバイクだからバイク界も盛り上がるといいよねって感じで、このRSでカスタムしていこうと思ったんですよ。パーツメーカーさんもパーツを作ってくれてるけど、メーカーデモ車だとどうしても自社パーツってなるので、僕としては自分でいいな、面白いなと選んだパーツを付けて、’90年代のカスタムバイク的なのを作りたかった。だからサンスターディスクが付いて、ゲイルスピードホイールが付いて……という感じで進んで、今はこういう風になってます。自分とこのパーツはラジエーターコアガードくらいかなあ(笑)。
シートの問題は、このバイクをじっと見てたら結局ノーマルだとテール部がフラットで、リヤの車高が下がり過ぎてることが原因だって気がついた。とりあえずリヤのプリロードをかけてみたところ、尻が全然痛くなくなった。だから社外サス換装はまずお勧めで、ウチでもアラゴスタショックの対応品を用意しました。ノーマルの人も6500kmくらい走ったら各部がなじんできてリヤが下がって尻が痛くなると思うので、そう感じた時にプリロードをかけると、体感できると思います。そんなことも自分で乗ってみて分かったわけで、そういう情報もユーザーさんに伝えたいと思います。Z900RSは、Zみたいな味の濃さはない(笑)けど、気軽に走れるいいバイク。いろいろ聞いてください」
フロントサスにもいくつかのメニューが加わり、カスタムチックな外観やパーツ選択に、伊藤さんの体験も生きる車両。何かしたい、Z900RSで困ったと思ったら、問い合わせするのも手だろう。
Detailed Description詳細説明
一見ノーマルのコクピットだが、ハンドルバーがZ1000用に換わっている。少し下がりわずかに引いた自然なポジションになるとのこと。
SS Itoカラーのグリーンを使ったペイントはロッズデザインによるもの。伊藤さんからのオーダー「'90年代カスタム的に」に応えた。
シート自体はノーマル。リヤが下がってしまうとお尻が痛くなるので、悪影響を与えない程度にテールアップしておきたい、と伊藤さん。
下側中央に控えめにSS ITOロゴを入れたラジエーターコアガードは、その製造をエッチングファクトリーに依頼した製品。ブラックカラーも用意している。
フレームおよびエンジンはノーマルで、排気系にはACサンクチュアリー製チタンエキパイ+SSイトウサイレンサーをセット。その変更した排気系に合わせてパワーコマンダーユニットで燃調を取っている。乗って各部を詰めることでアドバイスが出来る利点も生まれるという。
ステップはゲイルスピードによる'19年秋の新製品、フットコントロールキット。かかとまわりはフラット、ペダルはナイフエッジ形状を採る。
「悪くないけど少し固いかな」(伊藤さん)というフロントフォークは、①外観(アウターチューブ色)変更、②サスペンションエッジの協力で外観ノーマル+内部モディファイ、③(①+②。この車両で採用)の3パターンのサービスをリーズナブルに提供する予定だ。
リヤブレーキキャリパーはゲイルスピード・ラジアルマウント2ピストンでサポートもゲイルスピード。スイングアームはノーマルパーツ。
リヤショックはSSイトウのZ1000Jレーサーでも結果を出したアラゴスタショックの油圧プリロードアジャスター付き最上級モデルのタイプPAで、現在Z900RS用にも販売中だ。標準スプリングレートは9.5kg/mm設定だがオーダーによって変更も可能。
ホイールはアルミ鍛造のゲイルスピードGP1-Sに履き替える。前後サイズはノーマルに同じ3.50-17/5.50-17だが、その軽さと密度が効くのだ。