パーツ選択も車両構成も望むスポーツ走行に振っていく
ブラックをベースにエッジの効いたホワイトやゴールドのラインが入るC型ZX-11。K-2プロジェクトが手がけたと聞けば、フラッグシップモデルを軽量化したり快適性の向上に振ってまとめたのだろうと思える。だが、この車両は少し違った。
「元はC3純正ブラックカラーで、オーナーさんはキャブレターセッティングで困っておられて来店されました。それを仕上げたところ喜ばれて“エンジンに手を入れると走りは変わりますか?”と聞かれ、エンジンに手を付けました。
2mmオーバーサイズの鍛造ピストンを使い、ヘッド面研やハイカム組み込み、バルブ一新。ポートもストレート化してクランクも芯出し&メタル交換もしました」
K-2・北村さんの言う作業内容はオーバーホール+スープアップに精密組み立てを加えたような形で、オーナーからも走りが楽しくなったと評価を受けた。その主なステージはスポーツ走行だった。そこでここから、もっと楽しさを増したいと足まわりに手が及ぶ。
前後サスにスイングアーム、ブレーキ。より軽くとホイールも換わる。そして気に入り度も深まっていく。こう記していくと冒頭の“違い”とは何か? と思うだろう。それは、ステージに合わせたセットアップだった。“もっと良くしたい”を叶えるため、バンク角不足が起きないようにトップブリッジを逆ガル形状で製作し、車高を上げる。普段使いでも困らないようにサイドスタンドは延長しておく。こうしてツクバ・コース2000でも楽しく走れる仕様になって、オーナーと北村さん、YFデザインとで相談しながらフルペイントを施した。
いつも通りに、オーナーさんがバイクに乗って思う次のポイントの相談を解決しているだけですよと北村さんは続けるが、それをお客さんの使いたいパーツを使いながら実現した点、使い方に合わせる点はいつも以上に注目したくなる。
フラッグシップの秘めた一面を引き出す手法によるパッケージ、十分納得いくし、楽しそうで参考になるのだ。
Detailed Description詳細説明
スポーツ走行のために車高を上げるべく両側の下がったトップブリッジをCTSで製作。バー仕様のハンドルはハリケーン。カウルインナーパネルはカーボンになり、メーターも回転計がスタックST200になりヨシムラ・デジタルマルチメーターも備わる。左右マスターにはブレンボRMCをチョイス。
ひと通りハード面を形にした後、外装はYFデザインでフルペイントされた。
シートもホールド性を高めるように変更。オーナーのやりたいことや使いたいものを優先したK-2プロジェクトのセットアップ力にも注目したい。
ステップはアルミ削り出しでアグラス製。リヤマスターシリンダーはゲイルスピードを装着。
エンジンはワイセコφ78mm鍛造ピストンを使い1108cc化、バルブ一新やハイカム化にポート加工、クランク芯出しなどほぼフルメニューの仕様。エンジンスライダーはGSGmoto、クラッチレリーズはウイリーだ。
フレームとタンクの間からわずかに覗くキャブレターはFCRφ39mm。対する排気系はオーナー所有のR-ismチタンエキパイ〜テールパイプにノジマ・ワンオフサイレンサーを合わせたもの。
フロントフォークはオーリンズRWU。フロントブレーキはブレンボ・ラジアルCNC 4Pキャリパーにサンスター・プレミアムレーシングディスクのK-2別注品を組み合わせだ。
リヤブレーキはブレンボCNC 2Pキャリパー+サンスター・プレミアムレーシングディスク。
リヤサスはウイリー・ビッグ目の字断面スイングアームにアラゴスタ・PHASE2ショックを組み合わせる。ZX-11C用社外サスも減り選択肢が少なくなった中で的確な選択が光る。ホイールはマルケジーニM7RSで3.50-17/5.50-17サイズを履く。